米中首脳会談「トランプ氏は実利、習近平氏は面子」 台湾専門家、対立緩和は「時間稼ぎ」と分析 台湾大学政治学科の明居正名誉教授は「動くべき時に動き、メスを入れるべき時にメスを入れる」と表現し、米中は首脳会談後も、科学技術、経済・貿易、安全保障、そして地域問題において、それぞれ独自の政策を推進していくと指摘した。(柯承恵撮影)
中国の習近平国家主席が訪米し、トランプ 米大統領と会談し、晩餐会に出席した。複数の有識者の見解を総合すると、今回の米中首脳会談の特徴は、どちらかが圧倒的な勝利を収めるということはなく、双方とも一時的に関係を安定させる理由を有していた点にある。トランプ氏は国内向けにアピールできる外交、経済的成果を必要とし、習氏は大国間の対話と最高位の首脳外交の維持を望んでいた。これにより、双方が対立を一時的に緩和すべきとのインセンティブが働いたのだ。
台湾のシンクタンク、国策研究院文教基金会 は26日、「第2次米中首脳会談と米中の覇権争い」と題した座談会を開催した。アジア太平洋平和研究基金会の董立文 執行長、匯理国際政策諮詢集団(マクロ・ポリティクス・コンサルタント)の譚耀南董事長 、国立台湾大学政治学科の明居正名誉教授 、中央研究院欧米研究所の林正義兼任研究員 ら有識者を招き、ワシントンで開催された首脳会談後の米中関係の行方について分析した。国策研究院が発表した議事録によれば、会談内容を分析する 第1セッションには林氏と明氏が参加、 「会談後の影響」をテーマとする 第2セッションでは、董氏と譚氏がパネリストを務めた。
首脳会談は「時間稼ぎ」、明言を避けた米中両国 アジア太平洋平和研究基金会執の董立文 執行長 は、今回の首脳会談では米中両首脳が「共に時間を稼ぎ、変化を待つ」という異例の特徴が示されたと指摘する。同氏の表現を借りれば、トランプ氏が実質的な政治的成果と国内向けの宣伝材料を手にした一方で、習氏は最高待遇の歓待と外交の舞台を獲得し、「トランプ氏が実利を得、習氏が面子を保つ」構図となった。
トランプ氏が自らアンドルーズ空軍基地に出向いて習氏を 出迎え、ホワイトハウスが盛大な国賓待遇の儀式を用意したものの、会談に関して公開された情報は限定的で、双方が実際に何を取引したかについて外部の憶測を呼んでいる。米国の主要メディアも同様に、盛大な演出の一方で、貿易戦争の休戦延長などの措置を除き、二国間関係を根本から変えるような重大な進展は見られなかったと報じている。
26日、国策研究院文教基金会主催の座談会に出席したアジア太平洋平和研究基金会の董立文執行長。(26日、柯承惠撮影)
際立つ儀礼感、消えない米中の覇権争い 一方、匯理国際政策諮詢集団の譚董事長 は、今回の会談を「実質的な進展よりも儀礼的な意味合いが強かった」と位置づけた。同氏によれば、米国が長期にわたり維持する「一つの中国」政策は今回の会談によって変化しておらず、台湾海峡問題は重要であるものの、現時点では米中両政府が重大な政策取引を行うための主観的、客観的条件が欠如しているという。
そのため、今回の首脳会談は「限界ラインが極めて明確な」首脳外交の様相を呈しており、双方が協議可能な問題をすり合わせると同時に、現段階で触れてはならない核心的利益(コア・インタレスト)を互いに確認し合う場となったと分析した。
譚氏の指摘によると、習氏はホワイトハウスでの演説で、米中間の競争関係の存在を認めた上で、それが「健全かつ境界線のある」ものであるべきと強調し、両国が「非衝突・非対抗」という最終ラインを死守するよう求めた。また、習氏は「トゥキディデスの罠(Thucydides Trap、既存の覇権国家と、その地位を脅かそうとする新興国との間では必然的に戦争が勃発するとの説 ) は乗り越えられる」と改めて表明。この発言の核心は、競争そのものを排除することではなく、競争を制御可能な範囲内に留めることにあるとの見方を示した。
両岸政策協会の元理事長で、匯理国際政策諮詢集団の董事長を務める譚耀南氏。「台湾独立は偽のイシューであり、社会各界はトランプ氏と頼氏の電話会談に過度な期待を抱く必要はない」との見解を示した(楊騰凱撮影) 国立台湾大学政治学科の明名誉教授 もまた、今回の会談は「実質よりも形式が先行した」とみている。同氏の分析によれば、トランプ氏は米国内の政治的圧力に直面し、習氏にも自身の政治的思惑があったため、双方がそれぞれの目的を追求した結果とみられる。
しかし、首脳会談によって雰囲気が改善されたからといって、今後の競争が停止するわけではない。明氏は「手出しすべき時は手出しし、メスを入れるべき時はメスを入れる」と表現し、首脳会談終了後も、米中は先端技術、経済・貿易、安全保障、および地域問題において、それぞれ独自に政策を推し進めていくとの見方を示した。
中国を待ち受ける「トゥキディデスの罠」とは別の罠 中央研究院欧米研究所の林兼任研究員 は、視点を国際関係論へと戻した。同氏の指摘によれば、習氏は長期にわたり「トゥキディデスの罠」に対して強い警戒感を抱いている。この概念は通常、新興の強大国と既存の覇権国との間で、権力移行に伴い軍事衝突のリスクが高まる状態を指す。習氏は5月の北京での会談に続き、今回のワシントンでの首脳会談でもこの言葉を公の場で再度口にした。
中央研究院欧米研究所の林正義兼任研究員も座談会に出席(柯承惠撮影) しかし林氏は、中国政府はむしろ、これまであまり議論されてこなかった「キンドルバーガーの罠(Kindleberger Trap)」により注意を払うべきだと主張する。米国の政治学者、ジョセフ・ナイ(Joseph Nye)氏は、経済史学者、チャールズ・キンドルバーガー(Charles Kindleberger)氏の観点を引用し、新興の強大国が台頭しても、国際公共財を提供する責任を負う意思がない、あるいはその能力がない場合、同様に国際秩序の機能不全を招く可能性があると指摘した。1930年代に米国が英国に取って代わり主要な経済大国となったにもかかわらず、グローバルな指導的責任を十分に引き受けなかったことが、この理論の重要な歴史的背景となっている。
このため、林氏が提示する問題提起は、単に「中国が米国を追い越すかどうか」にとどまらない。中国が国際社会でより重要な役割を果たすつもりであれば、周辺海域や地域秩序をより高い不確実性に陥れるのではなく、航行の自由や金融の安定、気候変動対策といった国際公共財を進んで提供する意思があるのか、という点にある。言い換えれば、台頭そのものは終着点ではなく、真の試練は「中国が単により強大な国家になりたいだけなのか、それとも大国として果たすべき重責を担う覚悟があるのか」という点に集約される。
国策研究院は26日、「第2回米中首脳会談と米中の覇権争い」座談会を開催。第2セッションは国策研究院の郭育仁副院長(左3)が司会を務め、アジア太平洋平和研究基金会の董立文執行長(右3)、国立台湾師範大学東アジア学科の范世平教授(左1)、国防安全研究院国防戦略資源研究所の蘇紫雲所長(右1)、元米国防総省高官の胡振東氏(左2)、匯理国際政策諮詢集団の譚耀南董事長(右2)らを招き、「会談後の影響」について分析した。(中央社提供) 更多新聞請搜尋🔍風傳媒日文版
最新ニュース
新横浜駅高架下に醸造所併設のシェア型フードホール「BREWERY BASE 新横浜」が開業 新横浜ステーション開発株式会社、株式会社PERFECT BEER、株式会社favyの3社が連携し、神奈川県横浜市港北区の新横浜駅高架下に、醸造所を併設したシェア型フードホール「BREWERY BASE 新横浜」を2026年9月26日にグランドオープンした。同施設は新横浜駅や横浜アリーナ至近の立地を生かし、ビールを軸とした体験型の新たなにぎわい拠点を目指す。飲......
台湾向けF-16V、66機の年内納入は困難 米側が補償措置に前向き、予備部品増など協議 台湾が米国から調達する66機のF-16V戦闘機を巡り、当初の計画では今年第3四半期(7~9月)までに1機目の引き渡しが完了する予定だったが、未だ到着しておらず、遅れが生じているもようだ。一部メディアの報道によると、政府間取引のため違約金は発生しないが、台湾国防部(国防省に相当)は米国側に対し、技術サポートや予備部品の追加、保証期間の延長といった、金銭以外での......
「渋谷阿波おどり2026」10月3日開催へ 本場徳島や関東三大連が集結、会場規模を拡大 渋谷阿波おどり実行委員会および一般社団法人渋谷駅前エリアマネジメントは、2026年10月3日に「渋谷阿波おどり 2026」を開催する。東急不動産とSansanが特別協賛として参画し、昨年の反響を受けて渋谷中央街などへ会場を大幅に拡張、渋谷駅周辺の計5演舞場で開催される。同イベントは「この街を、もっと熱くする。」をステートメントに掲げ、多様なカルチャーが交差す......
ツーリズムEXPOジャパン2026が閉幕 4日間の来場者数は18万3270人を記録 日本観光振興協会、日本旅行業協会(JATA)、日本政府観光局(JNTO)は、9月24日から27日までの4日間、東京ビッグサイトで世界最大級の旅の祭典「ツーリズムEXPOジャパン2026(TEJ2026)」を開催した。2年ぶりの東京開催となった今回は「進化する旅のカタチ」をテーマに掲げ、海外74カ国・地域および国内46都道府県から1420の企業・団体が参加した......
「えもじの子(仮)」初のポップアップが渋谷で開催中 完売続出、大阪・全国巡回も決定 2026年9月25日、『風傳媒 』記者がLINE FRIENDS SQUARE SHIBUYAの1階で開催中の、人気キャラクター「えもじの子(仮)」初となる限定ポップアップストアを現地取材した。同イベントは2026年9月19日から10月12日まで開催されており、営業時間は11時から20時となっている。同イベントは現在渋谷で開催中だが、10月16日より大阪ポッ......
再生医療EXPO大阪が9月30日開幕 細胞を壊さず見る技術など最新鋭の研究開発製品が集結 RX Japan合同会社は、2026年9月30日から10月2日までの3日間、インテックス大阪で関西最大級の再生医療分野の専門展「第12回 再生医療EXPO 大阪 2026」を開催する。再生医療の実用化が進み、治療に用いる細胞の品質評価と安定した製造が課題となる中、会場には細胞を壊さず観察する技術や成分分析、品質の自動選別といった次世代の再生医療を支える最新技......
西武渋谷店、2026年9月30日で営業終了 再開発で58年の歴史に幕 百貨店大手のそごう・西武は、西武渋谷店(東京都渋谷区宇田川町)の営業を2026年9月30日をもって終了することを決定した。同店は1968年4月の開業以来、渋谷のファッションやカルチャーをけん引する中核施設として親しまれてきたが、58年にわたる営業の歴史に幕を下ろすこととなる。西武渋谷店は、再開発に伴う定期建物賃貸借契約の満了を受け、2026年9月30日で営業......
陽岱鋼、現役最終戦で満塁から同点打 恩師の前で涙、盟友集結 日台野球界への貢献誓う プロ野球イースタン・リーグのオイシックス新潟アルビレックスBCは26日、本拠地のHARD OFF ECOスタジアム新潟で、陽岱鋼選手の引退試合および引退セレモニーを開催した。スタンドには、稀代のスーパースターの最後の勇姿を目に焼き付けようと、4000人を超えるファンが集まった。陽岱鋼は試合で気迫あふれる全力プレーを見せて完全燃焼。セレモニーには高校時代の恩師......
陽岱鋼、現役最後は原点の「1番・中堅」 恩師に「僕の唯一無二のヒーロー」 プロ野球イースタン・リーグのオイシックス新潟アルビレックスBCは26日、本拠地のHARD OFF ECOスタジアム新潟で、日本と台湾で高い人気を誇る陽岱鋼選手の引退試合と引退セレモニーを迎えた。試合前にメディアの取材に応じた陽岱鋼は、首脳陣に自ら希望を伝え、かつて黄金期を築いた「1番・中堅」でのスタメン出場が実現したことを明かした。「準備こそが自分のすべて」......
「カスタードケーキ」が40周年で大幅リニューアル ロッテ、開発4年の「半熟」新商品を発売 株式会社ロッテは、1986年の発売から40周年を迎えるロングセラーブランド「カスタードケーキ」シリーズを大幅リニューアルするとともに、開発に約4年をかけた新商品「半熟カスタードケーキ」を2026年9月29日から全国で発売する。あわせて、ビスケット事業50年の集大成となる「Theシリーズ」と共同で展開する消費者参加型企画「私を甘やかす、ご褒美ケーキ対決〜202......
APAMAN加盟企業の朝日不動産が東京・品川区に「アパマンショップ大井町中央西口店」を開店 APAMAN株式会社は、フランチャイズ加盟企業の朝日不動産株式会社が、2026年9月28日に東京都品川区において「アパマンショップ大井町中央西口店」を新規オープンしたと発表した。同店は東京都品川区を中心とした賃貸物件情報を取り扱い、進学や就職に伴う単身向けから、転勤、二人暮らし、家族構成の変化に伴うファミリー層の住み替えまで幅広いニーズに対応する。家賃や間取......
よつ葉乳業、価格据え置きを基本方針に 脱脂粉乳対策と東南アジア展開を強化 よつ葉乳業は28日、東京都内で2026年度秋季新商品記者発表会を開き、原材料費や物流費の高騰が続く厳しい市場環境の中でも、商品の販売価格を当面据え置く方針を示した。同時に、北海道産生乳と乳原料100%にこだわった低脂肪加工乳や、機能性表示食品ののむヨーグルト、台湾産茶葉を使用した乳飲料など、秋季の新商品を発表した。同社は、国内で深刻化する脱脂粉乳の在庫増加に......
【独占取材】北海道の「よつ葉」が台湾で定番に 牛乳販売10年、次は新商品と東南アジアへ よつ葉乳業は28日、東京都内で開いた2026年度秋季新商品発表会で、北海道産生乳の価値向上とグローバル展開の加速を打ち出した。これに先立ち、同社は台湾メディア『風傳媒(ストームメディア)』の独占書面取材に応じた。同社は2013年の輸出開始以降、台湾で着実に支持を広げてきた。主力商品の牛乳は2025年12月に現地での販売開始から10年を迎えた。これまでの台湾市......
李駐日代表が熊本県の木村知事を表敬訪問、地震被害に見舞いの意を表明 台湾の李逸洋駐日代表は9月25日午後、熊本県庁を訪れ、木村敬知事を表敬訪問し、熊本地震の被害に対する見舞いの意を伝えた。李代表は、震災発生から間もなく2カ月を迎えることに触れ、熊本の一日も早い復興への期待を示した。木村知事は、台湾の人々から寄せられた善意と温かい配慮に深く感動したと述べ、復興は順調に進展しているとした上で、観光や経済・貿易などの分野における熊......
台湾・花蓮で最も人が訪れた観光地は? 太魯閣・鯉魚潭を上回った夜市に109万人超 台湾東部の花蓮は、太魯閣(タロコ)や七星潭といった著名な観光地だけでなく、市内の夜市や歴史的な集落、花東縦谷の自然景観にも多くの旅行者が訪れている。台湾交通部観光署が発表した2026年1月から7月までの花蓮県内各観光スポットの訪問者数統計によると、上位3カ所は順に「東大門国際観光夜市」「寿豊豊田地区」「羅山レジャーエリア」となった。中でも東大門国際観光夜市は......
台湾で「国内旅行より海外」を選ぶ人が増える? 「韓国・沖縄と費用が大差ない」と話題 連休を利用して旅行に出かけ、心身をリフレッシュする人は多い。台湾の匿名掲示板「Dcard」にこのほど、あるユーザーが投稿した内容が話題となっている。投稿者は数日前、交際相手とともに有給休暇がまだ残っていることに気づき、3~5日間の旅行を計画したという。台湾国内で2泊3日の旅行費用を計算したところ、香港や済州島、釜山などへ行く場合とほとんど変わらず、「同じくら......
雨が降る前に「土の匂い」がするのはなぜ? 正体は「ペトリコール」、科学で分かった仕組み 空が暗くなり、空気が湿気を帯びてくると、まだ雨が降っていないにもかかわらず、どこからともなく馴染み深い「土の匂い」が漂ってくることがある。特に、乾燥した日が長く続いた後に雨が降る際、この匂いは強く感じられやすい。多くの人はこれを「雨の匂い」と呼ぶが、実際に匂いを生み出しているのは雨水そのものではなく、土壌や岩石、そしてそこに生息する微生物だ。科学者は数十年前......
【寄稿】東アジアの海空で緊張高まる 日米韓・日米豪演習と中国軍の多海域訓練が交錯 米国、韓国、日本の3カ国は9月7日から11日にかけて、済州島の東方・南方の国際水域で合同演習「フリーダム・エッジ(Freedom Edge 26)」を実施した。また日本、米国、オーストラリアは8日から、北海道や鹿児島県などで「オリエント・シールド(Orient Shield 26)」を開始した。こうした多国間の合同軍事演習が北東アジアで進むのと同じ時期、中国......