日米の円買い協調介入は「重大な誤り」 アイケングリーン氏、ドルへの信認低下を警告
日本を訪問したスコット・ベッセント米財務長官。(AP通信)
今年8月、円相場が約40年ぶりの安値水準に沈む中、米財務省は異例の市場介入に踏み切り、円を下支えした。しかし、国際通貨体制の権威、米カリフォルニア大学バークレー校のバリー・アイケングリーン特任教授 の目に、この「米国の円救済」行動は米ドルを深く傷つける失策だったと映っている。
アイケングリーン氏は台湾メディア『風傳媒(ストームメディア)』のインターネット番組『下班国際線』の単独インタビューに応じ、「あの2度の介入は重大な誤りだったと考えている」と断言した。
アイケングリーン氏は8月の円安進行について、日本銀行がインフレに直面しながらも利上げを先送りしたこと、さらに日本の首相が大規模な予算措置や追加支出を含む極めて急進的かつ高リスクな財政政策を打ち出したことが背景にあると分析。「中央銀行のインフレ対応の遅れが重なり、通貨の脆弱性を招いた」と指摘した。
通常であれば、日本は保有する潤沢なドル建て外貨準備を活用し、ドル売り円買い介入を行うことができる。しかし、スコット・ベッセント米財務長官 は「このアイデアを全く好まなかった」とアイケングリーン氏は語る。当時、米国債市場はすでに強いストレスに晒され、金利が上昇局面にあったためだ。米国債の最大の海外保有国である日本が米国債を売り立てれば、供給増によって債券価格はさらに下落し、利回りが急騰する恐れがあった。
訪日し、高市早苗首相と会談した スコット・ベッセント米財務長官 。(AP通信)
米財務長官の策、いずれも不発に これに対し、ベッセント氏が二つの代替策を講じたとアイケングリーン氏は指摘する。第一 の策はレポ取引の活用だ。日本側が米国債を売却する代わりに、米側に国債を担保として差し出してドル現金を調達し、円高進行後に買い戻すという仕組みだ。第二の策は、米国が保有するユーロを売却し、日本の代わりに円を吸収するというものだった。海外メディアの報道によると、このレポ取引は事実上、米連邦準備制度理事会(FRB)の既存ツールであるFIMAレポ・ファシリティーを通じて実行されたという。
しかし、結果として「この二つの策は機能しなかった」とアイケングリーン氏は斬り捨てる。第一に、円相場の顕著な上昇が見られなかった点。第二に、米国債市場に対して極めて悪質なシグナルを送ってしまった点だ。これは日本や同様の立場にある国々に対し、「多額のドル準備を保有していても、米財務省の意向次第でそれを動かすことはできない」と宣告したに等しいと述べた。
アイケングリーン氏の目には、この「米国の円救済」行動はドルに致命傷を与える失策として映っている。(蔡親傑撮影)
FRBの利上げ、くすぶる独立性への懸念 ドル基軸体制のもう一つの綻びはFRBにある。番組司会者の路怡珍氏が、ケビン・ウォルシュ新議長率いるFRBが全会一致で利上げを決定し、ドナルド・トランプ米大統領 が求める利下げに応じなかったにもかかわらず、なぜ依然として独立性に疑念が持たれているのかと問うと、アイケングリーン氏は次のように答えた。今回の利上げは、政策が委員会によって決定されるという事実を再認識させるものであり、「ウォルシュ氏がいかなる代償を払ってでも利下げに傾注すると表明したところで、単独では実現不可能だということだ」。
アイケングリーン氏によれば、最大の脅威はトランプ氏が委員会を自らの息のかかった人物で固めようとしている点にある。「でっち上げ疑惑」を理由にリサ・クック理事を解任し、トランプ派を送り込むという手法だ。「もし1人の理事を排除できれば、他の理事も排除される可能性がある」と危惧する。同氏はフォーラムでも、ベッセント氏が地区連銀総裁の任命権を財務省やホワイトハウスに大きく移管するよう提案したことに触れ、「当然ながら国際投資家の心証は極めて悪い」と論じた。
年内に予定されている残り2回の連邦公開市場委員会(FOMC)について、アイケングリーン氏はそのうち1回で追加利上げが行われると予測する。鍵となるのは利上げの理由だ。力強い経済を背景とした利上げであれば株式市場にとって好材料となるが、高インフレを抑制するための利上げであれば悪材料となる。同氏は、現在の主要な課題は依然としてインフレであると指摘。FRBが利上げを通じてインフレ高止まりのシグナルを発した場合、「株式市場の反応は芳しくないだろう」と見通しを示した。
FRBは3年ぶりに利上げ(0.25%)を実施。市場は年内の追加利上げの有無や米国債利回りが低下するかどうかに注目している。(イメージ画像/AI生成)
更多新聞請搜尋🔍風傳媒日文版
最新ニュース
米国務副長官、日本の安保3文書改定で米戦略との一致要求 対中抑止力強化へ クリストファー・ランドー米国務副長官は24日、東京で開催された国際シンポジウムにオンライン方式で参加し、日本政府が年内改定を目指す「安全保障関連3文書」について、米国の国家戦略と一致させるべきとの認識を明確に示した。ランドー氏は、米国が日本の南西諸島から台湾、フィリピンへと連なる「第一列島線」に沿って抑止力を全面的に強化する方針であることを強調し、日本政府に......
「六本木アートナイト2026」オールナイト開催が3年ぶりに復活 約60のプログラムが街を彩る 六本木アートナイト実行委員会は、日没から夜明けまで街全体がアート空間に変貌する「六本木アートナイト2026」について、待望のオールナイト開催が3年ぶりに復活することに伴うプログラムの新情報を公開した。15回目を迎える今年は、10月31日から11月1日にかけて開催され、現代アート、デザイン、音楽、映像、パフォーマンスなど世界各国から約60のプログラムが街の至る......
軍港・佐世保のもう一つの顔 豪華客船「三井オーシャンフジ」で巡る三川内焼と老舗酒蔵 長崎県の佐世保港。商船三井クルーズが運航する「MITSUI OCEAN FUJI(以下、三井オーシャンフジ)」がその優美な船体を接岸させると、海上自衛隊や米海軍の艦船が並ぶ、日本屈指の軍港ならではの力強い光景が広がる。乗客たちが降り立ったこの地で待っていたのは、商船三井クルーズが企画した地域密着型の寄港地観光ツアー「佐世保の逸品~三川内焼と梅ヶ枝酒造~」であ......
【寄稿】台風で休業、給与はどうなるか 有給の強制消化や出社命令で企業が注意すべきポイント 近年、異常気象が頻発し、台風による被害も軽視できない。多くの外国人経営者や人事担当者にとって、台風の進路予想が出るたびに、「従業員を休ませた場合、給与はどう計算するのか」「欠勤した場合、会社が一方的に有給休暇として処理できるのか」といった悩ましい問題が生じる。こうした実務上のジレンマに対し、社会保険労務士(労務の専門家)の立場から、企業が理解しておくべき法的......
高市首相、日米同盟の抑止力・対処力を「一層強化」 第13回富士山会合にビデオメッセージ 高市早苗首相は24日、第13回「富士山会合」にビデオメッセージを寄せた。高市首相はメッセージで、同会合の開催に祝意を表するとともに、長年にわたり日米両国の有識者による最高峰の対話の場として、知的交流の促進や日米同盟の強化に大きく貢献してきたと評価した。日米同盟の抑止力・対処力を強化 首脳間の信頼関係を重視続いて、日米同盟は日本の外交・安全保障政策の基軸であり......
「三井オーシャンフジ」で味わう贅沢な一日 中山勝利総料理長が語る船上グルメの魅力 台湾メディア『風傳媒(ストームメディア)』は、商船三井クルーズが運航する「MITSUI OCEAN FUJI(以下、三井オーシャンフジ)」の船内メインダイニング「ザ・レストラン富士」にて、中山勝利総料理長に対する単独インタビューを行った。インタビューでは、船内レストランの運営体制から、季節や寄港地に合わせたメニュー展開、台湾人乗客をはじめとする多様な食のニー......
豪華客船「三井オーシャンフジ」が追求するおもてなし 阿部哲也氏が語る和洋融合の船旅 台湾メディア『風傳媒(ストームメディア)』は、商船三井クルーズが運航する「MITSUI OCEAN FUJI(以下、三井オーシャンフジ)」の船内にて、阿部哲也ホテルゼネラルマネージャーに対する単独インタビューを行った。アメリカのSeabourn Cruise Line Limited.(シーボーン社)から購入、改装した世界基準の快適性を誇る西洋のラグジュアリ......
伝統とラグジュアリーが交差する「三井オーシャンフジ」 五感を満たす至福の乗船レポート 東京から釜山へ、伝統と革新が交差する海上の楽園。MITSUI OCEAN FUJI(以下、三井オーシャンフジ)が贈る8日間の航海は、単なる移動手段という枠を超越している。全室スイート仕様のラグジュアリーな空間や、三國清三シェフ監修の極上フレンチ、和洋の日替わりメニューが提供されるメインダイニングでの本格ディナーなど、美食の数々が五感を満たす。商船三井クルーズ......
ヤッホーブルーイングが「マジ福袋2027」を11月3日より数量限定で発売開始 株式会社ヤッホーブルーイングは、公式通販サイトにてクラフトビールの福袋「マジ福袋2027」を、2026年11月3日より数量限定で発売すると発表した。「マジ福袋」は、年末年始に向けて開発された特別な限定醸造ビールやオリジナルグッズを詰め合わせた毎年恒例の企画商品である。昨年の販売時には、発売開始からわずか6日間で完売したセットが登場するなど、大きな反響を集め......
八海醸造、MLB日本人選手応援ボトルを11月中旬に発売 10球団の限定デザインを展開 新潟県南魚沼市に本社を置く八海醸造株式会社グループは、2025年よりメジャーリーグ・ベースボール(MLB)およびロサンゼルス・ドジャースとのパートナーシップ契約を締結し、球団の「公式日本酒」として展開している。同社は、2026年シーズンも世界最高峰の舞台で熱戦を繰り広げ、多くの夢と感動を届けたすべてのMLB日本人選手の健闘と果敢な挑戦に敬意を表し、特別限定デ......
台北市長選、沈伯洋氏42.8%・蒋万安氏39.0% 最新世論調査で3.8ポイント差 11月の台北市長選挙に向けた動きが本格化する中、インターネットメディアの震傳媒が22日に最新の世論調査結果を発表した。それによると、民進党公認候補、沈伯洋氏の支持率は42.8%となり、国民党公認で現職の蒋万安台北市長の39.0%を3.8ポイント上回った。また回答者の90.1%が「投票に行く」と回答、「投票しない」は8.1%だった。ただし、「当選が予想される......
ムーミンやリトルミイの限定チョコも メリーチョコレートが2026年クリスマス商品を発売 株式会社メリーチョコレートカムパニーは、2026年11月1日より順次、全国の百貨店、量販店、オンラインショップにて、クリスマススイーツを期間限定で発売する。昨年に引き続き、絵本作家でイラストレーターのおおでゆかこ氏がパッケージデザインを担当し、やさしいタッチと彩り豊かなイラストでクリスマスの世界観を演出している。詰め合わせのチョコレートやクッキーには、ツリー......
キルフェボンがホリデーシーズンの新作ギフト2種を発表 11月1日から発売 タルト専門店「キル フェ ボン」を展開するキルフェボン株式会社は、ホリデーシーズンに向けた新作ギフトとして、6年ぶりとなる「シュトーレン」および新作「La Petite Maison 冬のバトン」の2商品を、2026年11月1日より発売する。シュトーレンは全国12店舗と公式オンラインストアで展開し、冬のバトンは公式オンラインストア限定かつ数量限定で取り扱う。......
クレナズムが新曲「高架下」をリリース、12月には台北公演含むアジアツアー開催へ 福岡発の4人組バンド「クレナズム」は10月21日、2026年第4弾となるデジタルシングル「高架下」をリリースした。本作の発表に合わせ、バンドは11月より福岡、東京、台北、大阪を巡るワンマンツアー「冬夏青青」を開催する予定で、12月12日には台湾のBillboard Live TAIPEIでの単独公演を控えている。クレナズムは2018年に福岡で結成されたバンド......
閃光ライオット優勝の沖縄女子高生バンドE’sekai、新曲「モスキートーン」を配信リリース 沖縄発の現役女子高校生ガールズバンド「E’sekai(イセカイ)」が、2026年10月21日に3rdシングル「モスキートーン」を配信リリースした。同バンドはDA PUMPやMAX、SPEEDらを輩出した「沖縄アクターズスクール」初のガールズバンドであり、今年4月にシングル「異世界」でデビューを果たした。10代アーティスト限定の音楽フェス「マイナビ 閃光ライオ......
第18回日本国際漫画賞優秀賞に輝いた台湾漫画『芭蕉の芽』日本語版が登場 第18回日本国際漫画賞で優秀賞を受賞した台湾の人気漫画『芭蕉的芽』(左萱・著、蓋亞文化有限公司・発行)の日本語版『芭蕉の芽』が刊行される。株式会社実業之日本社は、創業130周年記念企画として本作を日本国内で出版し、2026年10月23日より「COMICリュエル&ジャルダン」などでWeb連載を順次開始するとともに、12月17日には単行本第1巻および第2巻を同時......
台湾の「ハイテク都市」新竹、国際観光拠点へ 高虹安市長「ちょうどいい都市」掲げる 「2026 HCCG x TTI 新竹市観光発展フォーラム」が19日、台湾・新竹市のFLEURLIS(芙洛麗大飯店)で開催された。フォーラムは「新竹に風が吹き、世界とつながる」をテーマに、新竹市政府と財団法人台湾観光研訓院(TTI)が共同で主催。国内外の観光産業、国際ビジネス、シティプロモーション分野の専門家が参加した。新竹市の高虹安市長と台湾観光研訓院の楊......