15兆円超の円買い介入も1ドル=160円台 円安再燃、台湾輸出と台湾株に二重リスク

2026-08-31 14:28
FRBのウォーシュ議長によるタカ派発言が、日本の円相場の下支えを一段と難しくしている。(写真/黄信維撮影)
FRBのウォーシュ議長によるタカ派発言が、日本の円相場の下支えを一段と難しくしている。(写真/黄信維撮影)

日本は急速な円安を食い止めるため、過去最大規模の資金を為替介入に投じたが、市場では再び1ドル=160円の節目を試す動きが強まっている。

日本財務省が8月28日に公表したデータによると、7月30日から8月26日にかけて、日本は総額15兆3993億円の円買いを実施した。ロイター通信の換算では約965億ドルに相当し、単月として過去最大の規模となった。

日米による協調的な円買いを受け、円相場は一時、1ドル=164円に迫る水準から155円付近まで反発した。しかし、その効果は長続きしなかった。

8月29日午前の市場では、ドル円相場が一時1ドル=160.20円まで上昇し、それまでの160.16円を上回った。円相場は再び1ドル=160円台まで下落したことになる。1000億ドル近くに相当する介入も、現時点では1カ月足らずの時間を稼ぐにとどまった形だ。

過去最大規模の介入も、円は再び1ドル=160円台に

日本銀行(日銀)の制度説明によると、為替介入は財務大臣が決定し、日銀がその指示に基づいて市場で実務を担う。

今回の対応が異例なのは、介入額が過去最大規模となったことに加え、米国も異例の形で円買いに協調した点にある。急激な円安がアジアの金融市場におけるシステミックリスクへと発展することを防ぐ狙いがあった。

ロイター通信や米紙『ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)』によると、日米の協調的な対応を受け、円相場は40年ぶりの安値圏から1ドル=155円台まで反発した。円売りポジションの買い戻しや、キャリートレードの巻き戻しも一部で起きた。

しかし、市場が日米金利差や財政政策、資金の流れを改めて見直すなか、円相場は短期間で再び160円近辺まで下落した。

8月29日午前にドル円が一時160.20円をつけたことは、日本政府が介入によって短期的に大きな相場変動を生み出すことはできても、外貨準備を使った円買いだけで為替相場の方向を変えることの難しさを示している。

円安をもたらしている基本的な条件が変わらない限り、当局による円買いも最終的には市場に吸収される可能性がある。

ウォーシュ氏のタカ派発言、日本の円防衛をさらに難しく

円相場が再び1ドル=160円台まで下落した主な要因の一つが、米連邦準備制度理事会(FRB)のウォーシュ議長が示したタカ派姿勢だ。

FRBが公表したジャクソンホールでの講演によると、ウォーシュ氏は米国のインフレ率が依然として高すぎると指摘し、直近の経済指標だけでは基調的なインフレが明確に改善したと判断するには不十分だとの見方を示した。

同時に、米国経済や雇用、企業投資は引き続き底堅く、現在の金融環境を「引き締め的」と表現するのは難しいとも指摘した。

発言を受け、市場ではFRBが9月に利上げするとの観測が強まり、米国債利回りとドルがともに上昇した。

米国の金利見通しが上向き、ドル建て資産の利回りが高まれば、投資家にとって低金利の円を売り、米国債などの高利回り資産へ資金を振り向ける動機が強まる。

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