亡くなった人になぜ「死化粧」をするのか 遺体修復師が「眠っているような顔」に整える理由

人が亡くなった後、外見は死亡した瞬間のまま保たれるわけではない。(画像/ChatGPT生成)
人が亡くなった後、外見は死亡した瞬間のまま保たれるわけではない。(画像/ChatGPT生成)

家族や親しい人が亡くなった後、告別式までの間には、遺体を清め、衣服を着せ、髪を整え、化粧を施すことがある。葬儀に初めて立ち会う人の中には、「もう亡くなっているのに、なぜ化粧をするのだろう」と疑問に思う人もいるだろう。

実は、遺体への化粧は、生きている人が外出前にする化粧とは目的が異なる。単に故人を「美しく見せる」ためではない。死後に生じる外見の変化をできる限り目立たなくし、遺族が遺容と対面した際、記憶の中にある生前の姿に近づけることが大きな目的の一つだ。

病気で長期間寝たきりだった人は、人生の最期に痩せ、やつれた姿になっていることがある。事故で亡くなった場合には、目立つ傷が残ることもある。

そうしたとき、遺体化粧や遺体修復が向き合うのは、単に「きれいかどうか」という問題ではない。

家族が最後にその人の顔を見たとき、どのような姿を記憶に残したいのか。

そこには、より難しい問いがある。

なぜ亡くなった人に化粧をするのか 死後の顔は少しずつ生前とは変わっていく

人が亡くなった後、その外見が死亡した瞬間のまま保たれるわけではない。

米国国立医学図書館のNCBI Bookshelfに収載されている医学資料「StatPearls」によると、死後数分のうちに、皮膚は次第に青白く、あるいは灰白色を帯びるようになり、本来の弾力も失っていく。唇にも乾燥による変化が生じることがある。

血液の循環が止まると、重力によって血液が体の低い部分にたまり、やがて死斑が現れる。筋肉は当初の弛緩状態から死後硬直へと移り、目や角膜にも死後特有の変化が起きる。

つまり、生前に外傷がまったくなかった人であっても、死そのものによって、肌の色や唇、目、顔全体の印象は少しずつ変化していく。

そのため、告別式前に行われる遺体の処置では、清拭や着替えだけでなく、化粧によって死後に生じた外見の変化をできるだけ和らげ、より自然な遺容に整えることも重要な作業の一つとなる。

台湾の一部の公営葬祭施設では、遺体化粧が正式な業務項目として管理されている。例えば、台中市生命礼儀管理処が管轄する葬儀場には遺体化粧室が設けられており、料金表でもその使用が独立した項目として定められている。

遺体化粧は「普通の化粧」と何が違う? 濃く見せないことも重要

生きている人への化粧では、目鼻立ちを強調したり、輪郭を整えたり、パールやラメを使って華やかな印象をつくったりすることがある。

しかし、亡くなった人への化粧で目指すのは、一目見て「きれいに化粧をしている」と分かるような仕上がりとは限らない。

むしろ難しいのは、化粧そのものが故人本来の顔立ちを覆い隠さないようにすることだ。

彰化県政府が過去に遺体化粧師の養成講座を紹介した際にも、遺体化粧は一般的な美容とは異なり、鮮やかすぎる色や強いパール、ラメを使った化粧は避けるべきだと説明している。その目的は、自然で落ち着いた遺容に整えることにあるという。

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