ネパールで先週発生した大規模な氷河洪水を受け、救助隊は29日、水力発電所の地下トンネルに取り残された多数の作業員の救出を急いだ。泥や岩石でふさがれた坑内では掘削作業が続いているが、ネパール軍が投入した熱画像カメラ搭載ドローンでは、これまでのところ生存者を示す反応は確認されていない。
一方、民間の救助関係者からは、軍がトンネル内の作業員の救助に重点を移すまで災害発生から1日以上かかったとして、初動の遅れを指摘する声も出ている。
米紙『ニューヨーク・タイムズ』が29日に報じたところによると、26日にネパールと中国チベット自治区の国境付近を襲った鉄砲水では、少なくとも675人が死亡し、2400人以上が行方不明となっている。
ネパール当局は当初、行方不明者を約1000人とみていた。しかし、水力発電施設の建設を請け負う企業から連絡の取れない作業員の名簿が相次いで提出され、行方不明者の数は大幅に増えた。
ネパール国家災害リスク軽減管理庁(NDRRMA)によると、各地の水力発電用トンネルではこれまでに279人の作業員の安全が確認された一方、933人が依然として地下に取り残されている。
熱画像ドローンでも生存者示す反応確認できず
ヒマラヤ山脈を抱えるネパールでは近年、水力資源の開発が積極的に進められてきた。ボテコシ川やトリシュリ川の流域では、地下深くに大規模な導水トンネルを掘り、水力発電所を建設する事業が進行しており、海外からの投資も集まっている。
今回の洪水では、こうした水力発電施設も大きな被害を受けた。建設中の施設だけでも少なくとも5カ所が深刻な被害を受けたという。
救助隊が取り残された作業員のもとへ到達するには、トンネル内や入口付近に大量にたまった泥や落石を取り除いた上で、厚い防護用の鋼鉄扉や岩壁を掘り抜かなければならない。場所によっては爆薬を使った作業も必要になる。
ネパール軍報道官のラジャ・ラム・バスネット氏によると、軍は熱画像カメラを搭載したドローン2機を投入したものの、生存者を示す反応はまだ確認できていない。
ただ、反応が得られないことだけで生存者がいないと判断することはできないという。厚い壁や作業地点との距離が探知を妨げている可能性があり、軍側も、取り残された人々がドローンの飛行区域からどの程度離れているのか把握できていないとしている。
バスネット氏によると、陸軍は29日、大きな被害を受けた「トリシュリ3A」水力発電所のトンネルへの進入を試みた。しかし、内部は大量の泥でふさがれており、救助隊が進めたのは数メートルにとどまった。
また関係者によると、救援用ヘリコプターを現場に着陸させるため、軍は被災地に臨時のヘリポートを設ける必要もあった。 (関連記事: ヒマラヤ洪水、死者804人・不明3048人 ネパール「3カ月前に中国へ早期警戒を要請」、データ共有に課題 | 関連記事をもっと読む )
救助の初動に疑問の声 「もっと早ければ助かった可能性」
千人近い作業員の安否が懸念されるなか、専門家や民間の救助関係者からは、対応の遅れを疑問視する声が出ている。













































