東京から釜山へ、伝統と革新が交差する海上の楽園。MITSUI OCEAN FUJI(以下、三井オーシャンフジ)が贈る8日間の航海は、単なる移動手段という枠を超越している。全室スイート仕様のラグジュアリーな空間や、三國清三シェフ監修の極上フレンチ、和洋の日替わりメニューが提供されるメインダイニングでの本格ディナーなど、美食の数々が五感を満たす。
商船三井クルーズが運航するラグジュアリークルーズ船「三井オーシャンフジ」。(黄信維撮影) さらに、船内に響く落語の寄席での笑い声や水引体験といった日本文化の真髄、そして指宿や佐世保の魅力を肌で感じる地域密着型の寄港地観光ツアーまで、あらゆる瞬間が色鮮やかに彩られている。商船三井クルーズが140年にわたり培ってきた「日本のおもてなし」と西洋の機能美が見事に融合した、この至福のクルーズ体験の全貌を余すところなくお届けする。
「三井オーシャンフジ」の客室は全室スイート仕様で、上質なインテリアが施されている。(黄信維撮影)
東京から出港、非日常の船旅へ スイート客室と多彩な船内エンターテインメント 初日、東京国際クルーズターミナルからの出港は、非日常への扉を開く胸高鳴る瞬間だ。ターミナルの1階で荷物を預け、3階でのスムーズな乗船手続きを経て船内に足を踏み入れると、すでに客室のドアの前には荷物が届けられており、その洗練されたホスピタリティに圧倒される。
今回の旅の拠点となるのは、海風を直接肌で感じられる開放的なバルコニー付きの客室だ。出港後、まずはデッキ8のプールサイドで開催されたセイルアウェイ・ミュージックに参加し、美しい歌声とともに華やかな航海の幕開けを祝った。
洗練された和の空間が広がる、三井オーシャンフジのメインダイニング「ザ・レストラン 富士」。(黄信維撮影) 長旅のリフレッシュには、「スパ&ウェルネス 木霊」でプロのセラピストによる丁寧なケアを受け、頭から肩にかけての緊張が心地よく解きほぐされていくのを感じた(別料金)。
初日の夕食は「ザ・レストラン 富士」にて本格的な和食を堪能した。食事の余韻に浸りながらレストランの外に出ると、優雅なバイオリンやギターの生演奏が耳を楽しませてくれた。
商船三井クルーズが運航するラグジュアリークルーズ船「三井オーシャンフジ」。(黄信維撮影) 夜にはオーシャンステージにて、入船亭扇白氏による日本の伝統芸能「落語」が披露された。仏像売買を題材にした古典的な演目では、登場人物たちの絶妙な掛け合いが表情豊かに演じられ、国籍を問わず多くの乗客が笑顔に包まれた。
さらに、デッキ5のオーシャンクラブ&バーで開催されたクイズ大会など、活気に満ちたエンターテインメントが初日の夜を彩った。
航海2日目は日本文化を体験 水引教室や三國清三シェフ監修の極上フレンチ 終日航海日となった2日目は、知的好奇心と味覚を深く満たすプログラムが目白押しだった。
続いて開催されたレクチャー「船旅:知る愉しむ~日本の器 三川内から紐解く日本の磁器誕生の物語」では、講師の西巻顯子氏と小松早苗氏が登壇。「器は料理がまとうドレスのようなもの」という言葉通り、器を変えるだけで料理の表情が劇的に変わるという日本の美意識に、参加者は深く感銘を受けていた。
午後には、日本の美しい伝統工芸である「水引」の体験教室に参加。講師の丁寧な指導のもと「あわじ結び」に挑戦し、自分だけのオリジナル祝儀袋を完成させるという、心静かで豊かな時間を過ごした。
夜にはウェルカムパーティーと華やかな写真撮影会が開催され、船内は一層の盛り上がりを見せた。
そして、この日のハイライトは、世界的なフランス料理の巨匠・三國清三シェフが監修する「北斎 FINE DINING」での格別なディナーである。
15歳で料理の世界に入り、ヨーロッパの三つ星レストランなどで研鑽を積んだ三國氏は、日本人シェフとして初めてフランス共和国から「レジオン・ドヌール勲章シュヴァリエ」を受章した。
その卓越した哲学が息づく繊細かつ重厚なコース料理は、まさにこの航海でしか味わえない美食の極みであった。
指宿の砂むし温泉、佐世保の三川内焼 寄港地で味わう地域文化の魅力 3日目は鹿児島県の指宿に寄港。港がコンパクトであるため、沖合に停泊した本船から通船に乗って上陸するという、クルーズならではの冒険心をくすぐる体験となった。
あいにくの天候により一部の屋外デッキイベントは中止となったが、名物の砂むし温泉など指宿ならではの観光名所を存分に楽しみ、夜は「ザ・レストラン 富士」での本格的な洋食ディナーとともに優雅なひとときを過ごした。
4日目の長崎県・佐世保では、寄港地観光ツアー「佐世保の逸品~三川内焼と梅ヶ枝酒造~」に参加し、地元の職人技や歴史ある酒造りの文化に直接触れることができた。
ご当地キャラクターの「サセボバーガーボーイ」が愛嬌たっぷりに乗客を出迎えるなど、心温まる交流が思い出に深く刻まれた。夜には迫力満点の和太鼓パフォーマンスが披露された。
韓国・釜山で下船 24時間ルームサービスや船内新聞に感じた細やかな心配り 5日目、船は目的地の一つである韓国の釜山へと到着し、充実感に包まれながらの下船となった(本船はこの後、神戸を経て東京へと向かう)。
今回のクルーズを振り返ると、三井オーシャンフジが提供するサービスのきめ細かさと気配りの行き届いた対応が際立っていた。
24時間利用できるルームサービスや、各種インフォメーションを提供する客室のテレビモニター、そして毎朝届けられ、洋上の羅針盤となる「船内新聞」など。そこには、いかなる状況でも笑顔でサポートしてくれるクルーの存在があり、間違いなく人生の特別な1ページとなる至上の体験であった。
全229室がオーシャンビューのスイート仕様 三井オーシャンフジの魅力と「日本のおもてなし」 三井オーシャンフジの船内には、洋上のリゾートと呼ぶにふさわしい充実した施設がそろっている。
食の選択肢は幅広く、メインダイニング「ザ・レストラン 富士」をはじめ、夜にはおまかせ寿司コース(事前予約制・別料金)も楽しめる「テラスレストラン 八葉」、そして「北斎 FINE DINING」など、その日の気分に合わせて自由に選ぶことができる。
エンターテインメントの拠点となる「オーシャンステージ」や、大人の社交場「オーシャンクラブ&バー」も魅力が満載だ。
この船の最大のハイライトは、全229室の客室がすべて海を望むスイートルーム仕様であり、その約9割にプライベートベランダが備わっている点だ。
アメリカのシーボーン社から購入・改装した船ならではの、西洋ラグジュアリーの機能美や開放感と、商船三井クルーズの「日本のおもてなし」が見事に融合している。
乗客約1.3人に対してクルー1人という手厚いサービス体制を実現しており、マニュアル化されたサービスを超えた細やかな気配りが提供される。
中小型船ならではの機動力を生かし、指宿や佐世保といった地方の港町、さらには韓国・釜山での異国情緒あふれる市場巡りなど、国際クルーズならではの魅力も存分に味わえる。
寄港地での感動と船上でのくつろぎが見事に調和した、心に深く刻まれる春の船旅となった。