【海底のデジタル動脈③】海底ケーブルの地政学リスクにどう備える? NECが語る通信ルートの多様化と経済安全保障

世界の海底ケーブル市場を支える三大サプライヤーの一角を占めるNEC。通信容量を飛躍的に拡大するマルチコア光ファイバ技術と経済安全保障に向けたリスク管理体制を両輪に、地政学的リスクが高まる中、国際海底通信網の強靱化を推進している。(黄信維撮影)
世界の海底ケーブル市場を支える三大サプライヤーの一角を占めるNEC。通信容量を飛躍的に拡大するマルチコア光ファイバ技術と経済安全保障に向けたリスク管理体制を両輪に、地政学的リスクが高まる中、国際海底通信網の強靱化を推進している。(黄信維撮影)

世界の国際通信の95%以上を担い、デジタル社会と国家安全保障を支える基幹インフラとなっている光海底ケーブル。地政学的緊張の高まりと生成AI(人工知能)の普及によるデータ通信量の爆発的な増加という歴史的な転換期を迎える中、日本で唯一、世界でも3大システムインテグレーターの一角を占める日本電気(NEC)が、その中核戦略を国内外のメディアに公開した。

同社は2021年に専任組織「経済安全保障統括室」を設置し、サプライチェーンやソフトウェアの信頼性確保など、4つの主要リスクへの対応を強化している。

世界三大サプライヤーのNECは、通信容量を飛躍させるマルチコア技術と綿密な経済安全保障体制を両輪に、地政学的リスクが高まる国際海底通信の強靭化を牽引している。黃信維
世界の海底ケーブル市場を支える三大サプライヤーの一角を占めるNEC。通信容量を飛躍的に拡大するマルチコア光ファイバ技術と経済安全保障に向けたリスク管理体制を両輪に、地政学的リスクが高まる中、国際海底通信網の強靱化を推進している。(黄信維撮影)

さらに、米メタ(Meta)などの巨大IT企業(ハイパースケーラー)が主導するペタビット級の次世代「マルチコア光ファイバ」システムの供給や、深海での漁業活動などによるケーブル損傷を防ぐ独自の外装技術についても詳しく説明した。

台湾メディア『風傳媒(ストームメディア)』記者の質問に対し、同社幹部は台湾周辺海域をはじめとする通信ルートの多様化や、意図的なインフラ損傷に対する防護体制の現状について、慎重ながらも具体的な見解を示した。

世界三大サプライヤーのNECは、通信容量を飛躍させるマルチコア技術と綿密な経済安全保障体制を両輪に、地政学的リスクが高まる国際海底通信の強靭化を牽引している。黃信維
世界の海底ケーブル市場を支える三大サプライヤーの一角を占めるNEC。通信容量を飛躍的に拡大するマルチコア光ファイバ技術と経済安全保障に向けたリスク管理体制を両輪に、地政学的リスクが高まる中、国際海底通信網の強靱化を推進している。(黄信維撮影)

台湾海峡周辺の地政学リスクと海底ケーブルの迂回ルート NEC「選定は顧客が判断」

質疑応答では、風傳媒記者が、台湾海峡周辺の地政学的緊張に伴う迂回ルートの需要や、有事を想定した通信インフラの強靱化、意図的なケーブル切断リスクへの防護技術、さらにハイパースケーラー市場におけるNECの競争優位性について相次いで質問した。

これに対し、NEC海洋事業開発統括部の鹿島崇宏ディレクターは、海底ケーブルのルート選定における同社の立場を明確にした上で、慎重に回答した。

鹿島氏は「前提として、NECは敷設ルートを自ら決定できる立場ではなく、ケーブルオーナーである顧客が決めたルートの請負業者という役割である」と説明した。

その上で、「しかしながら、お客様の動向を俯瞰すると、これまでよりもさらに多様なルートを選択しようとする動きが明確に見られる」と述べた。

こうした動きは台湾周辺海域に限らない。従来の北半球を中心としたルートに加え、南太平洋や南半球を経由する新たなルートなど、地政学的リスクを分散させようとする顧客の需要が高まっているという。

鹿島氏は、こうした多様なルートへの需要に対応するため、安定した生産体制を整え、顧客の要請に迅速に応えていく姿勢を強調した。

海底ケーブルの意図的な切断リスクに備える 水深5000メートルに対応する独自の防護技術

意図的なケーブル切断や、軍事・非軍事的手段を組み合わせた「ハイブリッド脅威」への備えについても、風傳媒記者が質問した。

これに対し、鹿島氏は「海洋調査の初期段階から海底地形や地震多発地帯、地政学的リスクの高いエリアを綿密に分析し、リスクの高い海域を事前に避けるルート提案を行っている」と説明した。 (関連記事: 【6G競争】日本は「防衛・ソフト」、台湾は「AI-RAN」へ NEC転換で見えた次世代通信の覇権図 | 関連記事をもっと読む )

物理的な防護策については、浅い海域だけでなく、アジア特有の深海漁業や集魚装置(FAD)によるケーブルの損傷を防ぐため、独自開発した「ディープウォーターアーマードケーブル」を実用化していると明らかにした。

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