映画『国宝』の歴史的大ヒットを受け、その成果を次世代の映画人育成へと循環させる新たな支援の枠組みとして、「李相日スカラシップ基金」が設立された。
一般社団法人PFF、ぴあ株式会社、東宝株式会社が連携して立ち上げたもので、2026年9月25日に東京都中央区の国立映画アーカイブ小ホールにて設立記者会見が行われた。
会見には李相日監督、一般社団法人PFFの矢内廣理事長(ぴあ株式会社代表取締役社長)、東宝株式会社の松岡宏泰代表取締役社長が登壇し、設立に至った背景や今後の展望を語った。
総額10億円を目指し若手監督の映画制作を支援
本基金は、自主映画のコンペティション「PFFアワード」の入選者から選出され、劇場長編映画を製作する「PFFプロデュース作品」の制作基盤増強を目的としている。
PFFは1977年の設立以来、映画の新しい才能の発見と育成に取り組み、1984年に新人監督の商業映画デビューを支援する「PFFスカラシップ(現:PFFプロデュース作品)」を立ち上げ、これまで31人の監督を世に送り出してきた。
李監督も2000年に学生時代の作品『青〜chong〜』でPFFアワードグランプリなど4賞を受賞し、スカラシップ権利を獲得して2003年に『BORDER LINE』でプロデビューを果たした出身者の一人である。
基金の設立時規模は3億円で、内訳はぴあが2億円、東宝が1億円。今後は趣旨に賛同する他企業にも1億円単位で出資・協賛を呼びかけ、最終目標額として10億円を目指す。運用体制は一般社団法人PFFが管理・運営を担当し、出資ではなく寄付金の建付けとすることで安定した長期運用を行う。
本基金は10年計画で運用され、年間3000万円が製作費に充当される。従来のPFFプロデュース作品の予算規模は助成金を含めて1本あたり約3000万〜5000万円だったが、本基金からの拠出により約6000万〜8000万円規模へと引き上げられる。
対象者は現在開催中の「PFFアワード2026」入選者から選出され、翌年以降に決定する作品から即時適用される。
さらに、本基金で制作された映画を撮った監督には配給収入の10パーセントが配分され、監督自身に直接収益が還元される仕組みも導入される。なお、李監督は作家性や演出手法を押し付けないため、作品の選考には一切関与しない方針が示された。
李相日監督らが語る次世代映画人への期待
会見で矢内理事長は、李監督が2025年の映画『国宝』で実写邦画における歴代1位を記録した偉業に触れ、第2、第3の李監督を生み出すチャンスとすべく李監督や東宝の松岡社長に相談し賛同を得たと経緯を説明した。
松岡社長は、PFFの約50年にわたる実績に敬意を示し、『国宝』を共に手掛けた縁への感謝とともに日本映画界の将来のために参加を決めたと述べ、さらなる業界全体の盛り上がりに期待を寄せた。
李監督は自身の名を冠した基金に恐縮しつつも、制作費の高騰や環境の変化を踏まえ、若手監督の創造力のための予算がプールされる意義を強調。作り手として1本目の作品に覚悟を持って挑む重要性を熱く語った。
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編集:小田菜々香













































