【新新聞】沈伯洋氏、蔣万安氏に1.2ポイント差 「洋流」は本物か、民進党が描く3つの狙い

2026-09-25 14:21
今回の台北市長選で、沈伯洋氏は多くの人の予想を上回る存在感を示している。(中央通信社)
今回の台北市長選で、沈伯洋氏は多くの人の予想を上回る存在感を示している。(中央通信社)

今年5月末、台湾のテレビ局TVBSが発表した台北市長選の世論調査では、現職の蔣万安(しょう・ばんあん)氏が58%、民進党の立法委員である沈伯洋(しん・はくよう)氏が30%と、両者には28ポイントの差があった。当時、4カ月後には沈氏がその差を標本誤差の範囲内にまで縮める可能性があると言っても、信じる人はほとんどいなかっただろう。

ところが9月13日、沈氏の陣営は内部調査の結果を公表し、差が一桁台にまで縮まったと主張した。さらに同月22日、信民協会は戴立安氏が設計・分析した最新の世論調査を発表。蔣氏41.7%、沈氏40.5%で、差はわずか1.2ポイントだった。大きな波乱はないとみられていた首都の市長選に、支持者が「洋流」と呼ぶ政治現象が突如として浮上した。

「洋流」は本物か 民進党内にもエコーチェンバーを疑う声

沈氏はすでに蔣氏に追いついたのか。いま台北政界で大きな話題となっている。しかし、現時点で「洋流」が台北の選挙情勢を一変させたとみるのは、まだ早い。

5月のTVBSと9月の信民協会の調査では、調査手法やサンプル構成が異なる。「58対30」から「41.7対40.5」への変化を、そのまま一本の線として捉えることはできない。最新調査についても、回答者のうち民進党支持層が32.7%、国民党支持層が24.3%だったことから、サンプル構成を巡る議論がすぐに起きた。

この調査が少なくとも示しているのは、台北市長選がすでに熱を帯びているということだ。「洋流」が選挙結果を覆すほどの力を持つのかについては、民進党内でさえまだ確信を持てていない。

ここ数日、沈氏の勢いを目にした民進党関係者の中にも、数字に現実味を感じられず、「本当にそんなに強いのか。またエコーチェンバーの中だけの現象ではないのか」と周囲に尋ねる人がいる。

こうした疑問が出るのも無理はない。昨年の大規模リコール運動で、すでに一度同じような経験をしているからだ。当時、SNS上では大きな盛り上がりが生まれ、支持者の熱気も高まった。特定の人間関係の中にいると、「台湾全体が同じ方向へ動いている」という錯覚に陥りやすかったが、最終的な投票結果は、エコーチェンバーの中で見える台湾と、実際の投票所に現れる民意が同じではないことを改めて示した。

20241208-黒熊学院が主催したパレードが8日、華山中央芸文公園に到着。参加者と共に「DEFEND TAIWAN」の人文字を完成させた。右は民進党立法委員の沈伯洋氏、左はUMC創業者の曹興誠氏。(劉偉宏撮影)
黒熊学院の設立から台北市長選への挑戦に至るまで、曹興誠氏(左)は一貫して沈伯洋氏(右)を強く支持してきた。(資料写真、劉偉宏撮影)

沈氏は、半導体大手・聯華電子(UMC)の創業者である曹興誠氏から強く推薦され、頼清徳総統が自ら指名した民進党の台北市長候補だ。支持者が「洋流」の盛り上がりに沸く一方、民進党内の他派閥は比較的冷静に見ている。

ある民進党内派閥の関係者に「洋流」をどう見るか尋ねると、大笑いして「私は『黒熊』じゃないからね」と一言だけ返した。この冗談には政治的な意味がある。 (関連記事: 台湾・台北市長選が接戦 最新世論調査で現職・蒋万安氏41.7%、民進党・沈伯洋氏40.5% | 関連記事をもっと読む )

民進党が沈氏に期待する役割 蔣氏を台北にとどめ、支持層を再び動かす

沈氏とその支持者にとって、「洋流」は形になりつつある。一方、民進党の他派閥から見れば、現在の盛り上がりがすでに従来の支持基盤を越えた力なのか、それとも黒熊学院や大規模リコール運動の支持者、従来の民進党支持層が再び集まったことで生じたものなのかは、なお検証が必要だ。

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