【新新聞】台湾地方選、世論調査はなぜここまで割れるのか 「洋流」の熱気と回答バイアスを読み解く

沈伯洋氏をめぐる台北市長選の世論調査は、台湾政界で大きな話題となっている。(資料写真/沈伯洋氏のフェイスブックより)
沈伯洋氏をめぐる台北市長選の世論調査は、台湾政界で大きな話題となっている。(資料写真/沈伯洋氏のフェイスブックより)

台湾の統一地方選挙が終盤に入る中、台北市、新北市、基隆市で民進党候補がリードする世論調査が相次いでいる。国民党(青)と民進党(緑)の政治地図は本当に塗り替わったのか。それとも政治的な空気の変化によって、調査に応じる有権者の意欲が変わったのだろうか。

11月28日投開票の統一地方選挙まで残り30日を切ろうとする中、台湾北部の選挙情勢に意外な変化が表れている。

伝統的に国民党が優勢で、現在も国民党が市政を担う台北市、新北市、基隆市で、最近、民進党候補がリードする世論調査が相次いでいる。民進党の沈伯洋氏をめぐる「洋流」と呼ばれる政治的な勢いが高まるにつれ、比較的安定していた青と緑の選挙構造が突然ひっくり返ったようにも見える。だが同じ選挙でも、調査機関によって結果には大きな開きがある。

10月初めのTVBSの世論調査では、台北市の蒋万安市長が支持率49%で沈伯洋氏の41%をリードしていた。ところが10月20日に信民協会が公表した調査では、沈氏が50.3%で蒋氏の33.3%を大きく引き離し、その差は17ポイントに達した。その2日後には、ネットメディア「震傳媒」が山水民意研究に委託した調査結果が公表され、沈氏42.8%、蒋氏39%と、差は3.8ポイントに縮まった。

同じ選挙について、3つの調査が描いた姿は「蒋氏が8ポイントリード」から「沈氏が17ポイントリード」まで、25ポイントもの開きがある。有権者にとっては、どの調査が実態に近いのか判断しにくい状況だ。その背後でさらに問われるべきは、政治のうねりが本当にわずか数週間で台北市民の投票先を変えたのか、それとも世論調査に応じる人の顔ぶれを変えたのか、という点だ。

台北から基隆まで、世論調査が見せる異なる姿

こうした現象は台北市だけで起きているわけではない。

新北市では、信民協会が10月に公表した調査で、民進党の蘇巧慧氏が43.1%で国民党の李四川氏の30%を13.1ポイントリードした。一方で、それより前のTVBSの調査では、李氏がリードしていた。

基隆市では、10月23日に「鏡新聞」が公表した調査で、民進党の童子瑋氏が37.0%、国民党の謝国樑市長が36.3%と、童氏がわずか0.7ポイントリードした。ただ、ほかの最近の調査では依然として謝氏がリードしている。

基隆市の謝国樑市長は年末の選挙で再選を目指している。(資料写真、柯承惠撮影)
年末の統一地方選で再選を目指す基隆市の謝国樑市長。(資料写真/柯承惠撮影)

これらの調査結果は、北北基で民進党候補の支持が上昇し、一部の調査では逆転も起きていることを示している。しかし同時に、調査機関によって現在の選挙情勢の測り方に明らかな差があることも示している。

ある一つの調査を、都市全体の政治地図がすでに塗り替わった証拠と読み取るのは、まだ時期尚早だろう。 (関連記事: 台北市長選、沈伯洋氏42.8%・蒋万安氏39.0% 最新世論調査で3.8ポイント差 | 関連記事をもっと読む )

バンドワゴン効果 勢いのある候補に有権者はなびくのか

政治コミュニケーション論には「バンドワゴン効果」と呼ばれる現象があり、台湾では俗に「スイカ効果(西瓜效應)」と言われる。ある候補の勢いが増し、勝ちそうだと受け止められると、まだ投票先を決めていない有権者の一部がその認識に影響され、その候補への支持に傾くことがあるというものだ。

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