台湾文化部駐日台湾文化センターと第39回東京国際映画祭が共同企画した特集「台湾映画ルネサンス2026」において、11月2日、リー・シン監督が1962年に手掛けた名作『両相好』のデジタル修復版が上映された。
上映後には、本作で銀幕デビューを飾ったベテラン俳優のワン・マンジャオ(王満嬌)氏が来日し、シニア・プログラミング・ディレクターの石坂健治氏とトークイベントを実施した。
ワン氏は60年以上前の撮影秘話や撮影現場でのエピソードをユーモアたっぷりに語り、日本の観客を当時の撮影風景へと引き込み、上映後のサイン会を通じて交流を深めた。
『両相好』が描く1960年代の台湾社会と文化
『両相好』は、北京語と台湾語の対話を融合させた初期の代表作であり、本省人の西洋医と外省人の漢方医という隣り合う2つの家庭を舞台に描かれている。
言語や生活習慣、文化の違いから生じる誤解や衝突を通じ、初期の台湾社会における異なるエスニックグループが次第に理解し合い、受け入れ合っていく過程を映し出している。
台湾国家映画・視聴文化センターが修復を手掛けた本作の日本初上映を通じ、名作の魅力が再現されるとともに、日本の観客に向けて1960年代の台湾社会の生活様式や文化的特色が伝えられた。
ワン・マンジャオ氏が語るデビュー当時の撮影秘話
トークイベントの中でワン氏は、国立芸専(現・国立台湾芸術大学)在学中に北京語と台湾語の双方を話せたことからリー・シン監督に抜擢され、黄家の養女「阿菊」役として出演したことが俳優人生の始まりとなったと振り返った。
当時リー監督が台湾語を解さず、俳優同士の言葉の壁もあったため、撮影時は通訳を介して指示を伝えており、ニュアンスの違いから様々なハプニングが生じたというエピソードを披露し、場内を沸かせた。
ワン氏は、本作が異なる集団の言葉や文化の差異を超えて相互理解を深める精神を伝えていると強調し、AI技術が急速に進展する現代においても映画には生身の感情と地域文化の特色が息づき続けることを期待していると語った。
上映後にはサイン会を通じて観客と交流したほか、台湾文化センターの曽鈴龍センター長らとともに東京国際映画祭事務局を訪れ、台湾映画への長年の支援と日台映像文化交流の促進に対して謝意を伝えた。
台湾語映画70周年、12月には記念特集も開催
台湾文化センターは、ワン氏が来日して貴重な映画の記憶を日本の観客と共有したことに感謝を表明した。2026年は台湾語映画の誕生から70周年にあたり、1956年の台頭以来、台湾語映画は大衆娯楽として社会生活や庶民文化を記録し、言語や歴史、世代を超えた感情を支えてきた。
今回の『両相好』デジタル修復版の上映とワン氏による回顧は、クラシック映画の価値を再認識させるとともに、台湾映画の歩みと文化的意義を日本へ伝える機会となった。
台湾文化センターは今回の企画に続き、12月2日から4日、および8日から9日にかけて、アンスティチュ・フランセ東京にて「台湾語映画70周年記念特集」を開催する予定である。
会場では長編9本と短編3本の上映が計画されており、『夫の秘密』、『地獄の花嫁』、『悲しき5月13日の夜』、『六人の容疑者』、『おめでた花嫁と間抜けな花婿』、『バーワンツォン(ちまき売り)』、『危険な青春』などの名作が選ばれている。
クラシック作品の保存、修復、国際上映、そして世代を超えた映画人の交流を通じ、台湾映画という文化資産の継承を推進し、より多くの日本の観客に歴史と文化を広め、日台間の交流を深めていく方針である。
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編集:小田菜々香












































