習近平氏はなぜ後継者を決めないのか 鄧小平にはあった「やり直す余裕」、権力集中が生む継承のジレンマ

2026年9月25日、中国の習近平国家主席は彭麗媛夫人とともに、ワシントンの国立公文書館博物館に到着した。(AP)
2026年9月25日、中国の習近平国家主席は彭麗媛夫人とともに、ワシントンの国立公文書館博物館に到着した。(AP)

長く権力を握ってきた中国の習近平国家主席は、なぜ後継者を決めようとしないのか。米シンクタンク、アジア・ソサエティ政策研究所(Asia Society Policy Institute)の中国分析センター(Center for China Analysis)は、北京で10月26日から29日まで開かれた中国共産党第20期中央委員会第5回全体会議(5中全会)を前に報告書を発表し、習氏が直面する後継者問題を分析した。

報告書は、習氏が政治的に依然として支配的な地位にあり、党総書記として4期目に入る可能性が高い一方、後継者が誰かを示すような人事が行われる可能性は低いと指摘した。選択を先送りすれば目先の権威は保てるが、自らの政策を守る強力な担い手を欠くことになりかねない。逆に後継者を指名すれば、自分では完全に予測も制御もできない、増大していく権力を部下に与えることになるという。

報告書は、毛沢東が華国鋒を後継者に選んだ後、鄧小平がほどなく華国鋒を周縁に追いやった歴史を振り返り、鄧小平は自ら選んだ後継者に失望した際に介入できたが、習氏には同じ余裕を期待できないとの見方を示した。

習氏は「レーニン主義版のローガン・ロイ」

「習近平の支配の限界:中国の5中全会で何を見るべきか」(The Limits of Xi's Control: What to Watch at China's Fifth Plenum)と題した報告書は、中国分析センターで中国政治を担当するニール・トーマス上級研究員らが執筆した。

報告書は習氏を、時に「レーニン主義版のローガン・ロイ」のようだと形容する。ローガン・ロイは、米HBOが2018年から2023年に放送したドラマ『メディア王~華麗なる一族~』(原題:Succession)で巨大企業を率いる家長だ。有無を言わせず命令を下す一方、自分のために働く者たちには常に失望している。

報告書によると、5中全会では「全面的な厳しい党内統治を引き続き推進することに関する若干の重大問題」についての決定が採択される見通しで、来年の第21回党大会を前に、党内の最高指導層約300人が実質的に顔をそろえる最後の機会となる可能性が高い。習氏が2023年の全会を事実上見送ったため、通常は6中全会で扱う党建設の議題を今回の5中全会に回したという。

習氏、党総書記4期目の可能性高く

アジア・ソサエティは、習氏は政治的に依然として支配的な立場にあり、党総書記として4期目に入る可能性が高いと判断している。習氏は高官の任命権に加え、強制、説得、監視の仕組みを握っており、他の指導者が抵抗する余地はほとんどない。官僚にうまく仕事をさせることに苦労しているとしても、それは誰かが取って代わろうとしていることを意味しない。5中全会は事実上、第21回党大会へのカウントダウンの始まりだと位置づけた。 (関連記事: 【舞台裏】中国「5中全会」で中央委員40人除名か 台湾当局筋が把握する党・政府・軍の大幅人事 | 関連記事をもっと読む )

報告書は、5中全会のコミュニケで翌年後半に党大会を開催する計画が示されると予想し、近年の例から10月が最も可能性の高い時期だとしていた。

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