【寄稿】「キーン・ソード27」後も中国海軍が日本周辺で活発化 3戦区が西太平洋へ、大規模演習に発展か

日米共同統合演習「キーン・ソード27」は、10月19日から29日まで実施された。(在日米軍司令部の公式Facebookより)
日米共同統合演習「キーン・ソード27」は、10月19日から29日まで実施された。(在日米軍司令部の公式Facebookより)

中国人民解放軍の北部戦区に所属する空母「遼寧」の打撃群は先ごろ、フィリピンをほぼ一周する形でフィリピン海に入った。10月28日には東部戦区海軍がさらに西太平洋へ艦艇を送り込み、29日午前10時の執筆時点では日本側から新たな発表は出ていなかった。中国海警局の船舶も西太平洋へ進出している。

日米が規模を拡大して実施した共同統合演習「キーン・ソード27」は、航空、海上、地上配備型の対艦ミサイルなど多方面・多領域にわたり、中国軍への対応も念頭に置いた実戦的な訓練だったと筆者はみている。しかし、西太平洋を巡る軍事的な動きは、29日の演習終了とともに幕を閉じたわけではなさそうだ。米空母が今後中東方面へ向かうとみられるなか、筆者は西太平洋で日本がより大きな役割を担う構図になるとみている。

筆者は当初、南部戦区海軍の戦力まで加わるかどうかは分からないとみていたが、今後、中国軍による大規模演習に発展する可能性もあると懸念している。28日夜には台湾の国家安全会議(国安会)の呉釗燮秘書長が、中国軍の北部、東部、南部の3戦区海軍が第1列島線の外側で訓練していると明らかにし、台湾、日本、フィリピンが同時に明白な脅威に直面していると訴えた。「中国がまた選挙介入か?」との見出しで報じたメディアもあり、地域の関心が高まっている(下図参照)。

中国軍艦艇・航空機の動向と「キーン・ソード27」、台風30号・31号の進路をまとめた図(2026年10月29日午前10時時点、筆者作成)
中国軍艦艇・航空機の動向と「キーン・ソード27」、台風30号・31号の進路をまとめた図(2026年10月29日午前10時時点、筆者作成)

こうしたなか、ヘグセス米戦争長官と小泉進次郎防衛相はフィリピンで、日本の南西諸島から台湾、フィリピンへと連なる「第1列島線」を念頭に、防衛協力を強化し、中国に対する抑止力を高める方針で一致した。

中国軍の艦艇・航空機が大規模に外洋へ展開している背景には、近年、日米同盟が共同演習を段階的に拡大し、中国の軍事活動への抑止を強めていることがあると筆者はみている。今後、日本を中心に第1列島線での軍事協力が進むにつれ、中国軍による遠洋・遠海訓練もさらに頻繁になる可能性がある。

一方、24日にはマーシャル諸島で台風31号(インファ)が発生した。25日午前3時には中心付近の最大風速が毎秒25メートルとなり、西寄りに進みながら発達した。

筆者は、「遼寧」などの艦艇が台風の影響が比較的小さく、同時に航路上で米空母の活動をけん制し得るフィリピン海を選び、遠洋訓練を続ける可能性があるとみている。

「キーン・ソード27」 兵力配置と台風30号の二重の試練

日米共同統合演習「キーン・ソード27」は2026年10月19日から29日まで行われた。自衛隊は約4万5000人、車両約6100両、艦艇約40隻、航空機約260機を投入し、米軍は約1万2000人が参加した。さらにオーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ、オランダ、ニュージーランド、フィリピンも加わった。

特筆すべきは、台風30号(チャンパー)が演習期間中、台湾や日本の南西諸島周辺に大きな影響を与えたことだ。 (関連記事: 【寄稿】中国空母「遼寧」が西太平洋へ 日中台の情報戦、「認知戦」で先手を取ったのは誰か | 関連記事をもっと読む )

米軍は、空母「セオドア・ルーズベルト」(CVN-71)と巡洋艦「チョーシン」(CG-65)、海上自衛隊のヘリコプター搭載護衛艦「いせ」(DDH-182)、護衛艦「こんごう」(DDG-173)、「あさひ」(DD-119)、オーストラリア海軍のフリゲート「スチュアート」(FFH153)、カナダ海軍のフリゲート「レジャイナ」(FFH334)、フランス海軍のフリゲート1隻などが、21日にフィリピン海で編隊を組んで航行したと発表した。報道によれば、「こんごう」は護衛艦「まや」(DDG-179)とともに対抗部隊役を務めたとされる。

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