パレスチナ・ファタハ事務局長が都内で会見、日本政府に早期の国家承認を要請 「物理的基盤の侵食」に危機感示す
パレスチナのラジューブ氏は都内で会見し、不法入植などで国家の物理的基盤が侵食されているとして、日本政府に今すぐパレスチナを国家承認するよう求めた。(写真/日本記者クラブ提供)
パレスチナ暫定自治政府を主導する主流派ファタハの中央委員会事務局長を務めるジブリール・ラジューブ氏が19日、都内の日本記者クラブで記者会見を開いた。
ラジューブ氏は、イスラエルによるパレスチナの物理的な基盤の侵食が日々進んでいると警告し、日本政府に対し、和平交渉の進展を待つのではなく和平を可能にするための手段として、今こそパレスチナの国家承認に踏み切るよう強く求めた。会見の司会は日本記者クラブ企画委員でNHKの出川展恒氏が務め、大野理恵氏が通訳を担当した。
ラジューブ氏の経歴と日本の支援への評価
ラジューブ氏は、イスラエル占領下での武装闘争参加に伴い通算17年間にわたり同国の刑務所に収監され、捕虜交換での釈放およびチュニジアへの追放を経て、1994年の自治政府発足に伴い帰還した経歴を持つ。
ヨルダン川西岸地区の予防治安部隊トップや安全保障担当顧問、ファタハ副書記長などを歴任し、現在はパレスチナオリンピック委員会委員長やパレスチナサッカー協会会長も兼務している。今回は21日と22日に東京で開かれるアジアサッカー連盟(AFC)主催の会議に出席するため、18日に来日した。
会見冒頭では、2023年10月7日に始まったガザ地区での戦闘に関して、昨年10月の停戦合意以降もイスラエルの攻撃が続き、合意後に死亡した住民が1400人を超え、開戦からの犠牲者が7万4000人以上に達している現状が紹介された。
ラジューブ氏は会見で、日本による長年のパートナーシップに対し心からの感謝を表明した。国際協力機構(JICA)やエリコ(ジェリコ)農産加工団地をはじめとする取り組みを通じて、パレスチナの諸制度や経済的自立に向けた投資が行われてきたことに触れ、日本の支援は単なる援助ではなく国家としての未来を形作る確かな土台であると評価した。
その上で、現在は歴史的な転換点に達していると強調した。これまでの理論上の国づくり支援にとどまらず、パレスチナが実質的な主権を行使するために必要な政治的および法的な条件を積極的に後押しする動きへと抜本的に移行すべきだと訴えた。
日本にパレスチナ国家承認を強く要請
特に強く求めたのが、日本政府によるパレスチナの国家承認である。ラジューブ氏は、日本が公正な「二国家解決」を支持していることや、外交上の承認について「するかどうか(if)」ではなく「いつするか(when)」の段階にあるとの立場をとっていることを歓迎すると述べた。
そのため、二国家解決そのものを維持する不可欠なツールとして、和平の到来を待つのではなく、和平を可能にするために今すぐパレスチナを国家として承認してほしいと呼びかけた。
今後の復興や統治体制の構築については、インフラ整備やガバナンスの回復などいかなる支援であっても、パレスチナ側の国家計画を基礎とし、パレスチナ当局と直接連携して進められなければならないと指摘した。
ガザ地区、ヨルダン川西岸地区、東エルサレムにわたり、「一つの政府、一つの法制度、一つの当局」という単一かつ統一された制度を確立・強化することが大原則であると説明した。
また、組織や制度が財政的に逼迫した状態では支援策を十分に機能させることはできないとし、パレスチナ自身の税収が組織的に抑留されている現状を是正するため、日本が持つ外交的な影響力を発揮し、パレスチナ固有の資金を完全かつ定期的に引き渡すようイスラエル側に働きかけてほしいと求めた。
不法入植への対応と日・パレスチナ関係の強化を提言
さらに、国際司法と国際法の遵守なくして真の平和は存在しないと主張した。日本とパレスチナは国際刑事裁判所(ICC)の独立性と権限を守る共通の立場にあり、法の支配と「不処罰」の根絶にコミットしていると言及した。
ヨルダン川西岸での不法入植に関して、暴力に関与した個人に対する一定の措置など、日本のこれまでの対応を評価しつつも、事態の深刻さに鑑みてさらなる外交的・法的措置が必要であると提起した。
具体的には、不法入植地や入植者との取引・通商を制限する国際的な枠組みへの日本の参加や、入植者の暴力を助長・維持している法人事業体および資金提供ネットワークを標的とした対策を要請した。
ラジューブ氏は最後に、日本とパレスチナによるハイレベルの政治対話を本格化させ、関係をさらに発展させることを提言した。国家承認を最優先課題とし、復興、国際的な説明責任の追及、そして経済的自立を軸とする具体的かつ実践的な作業計画を策定し、パレスチナ国家の実現に向けて日本がともに歩むことを期待すると述べて基調説明を結んだ。
その後の質疑応答では、ガザからのイスラエル軍撤退やハマスの武装解除を巡るパレスチナ内部の結束のあり方、米国の和平計画や国連安保理の決議を巡る国際社会の関与の課題などが取り上げられ、ラジューブ氏は早期の戦闘終結と占領の終結を訴えた。
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