米シンクタンクの第一列島線放棄論、台湾の専門家が「荒唐無稽」と批判
国策研究院文教基金会が26日に開催した、米中の覇権争いをテーマとする座談会に出席した国立台湾大学政治学系の明居正・名誉教授(写真)。(資料写真/柯承恵撮影)
米国のシンクタンク、ディフェンス・プライオリティーズ(Defense Priorities)」が最近、米軍の戦力を「第二列島線」(伊豆諸島~小笠原諸島~グアム・サイパン~パプアニューギニア)まで後退させるよう提言し、高い関心を集めている。一方で、ワシントンの別のシンクタンク研究員、マイケル・ソボリク(Michael Sobolik)氏はこれに反対し、米国は「第一列島線」(九州~沖縄~台湾~フィリピン)を放棄すべきではないと主張している。これに対し、国立台湾大学政治学部の明居正名誉教授はインターネット番組の中で、ソボリク氏の見解は米国の現行政策に近いと指摘。その上で、十分な戦闘力を持つ第一列島線の同盟国を放棄し、第二列島線まで後退するという論理は、極めて荒唐無稽な戦略的構想だと批判した。
明氏によると、ディフェンス・プライオリティーズは、アジアにおける米国の戦略的重点目標を「米国本土への攻撃阻止」と「米国の主要なアジア市場へのアクセス維持」に置いている。同シンクタンクは、これら2つの目標を維持するだけであれば、米国は中国と開戦するリスクを冒してまでアジア太平洋地域に深く関与する必要はないと主張。そのため、第一列島線の同盟国に対する地域の安全保障コミットメントを段階的に引き下げ、最終的には第二列島線まで完全に撤退することを提案しているという。
さらに明氏は、この論説の最も極端な部分は台湾に関する記述だと指摘する。同シンクタンクは、米国の台湾に対する長期的な「戦略的曖昧さ」政策が失効したと主張しているものの、その根拠については一切論じていない。単に台湾海峡で有事が発生した場合、米軍は干渉や介入を避けるべきだとしており、明らかに完全な台湾の放棄を意味し、明氏は「非常に驚いた」と語った。
明氏はこの提言に対し、第一列島線の主権国家は強固な防衛力を備えているのに対し、第二列島線で防衛拠点となり得るのはグアムのみであり、戦闘力は確実に不足すると反論した。また、同シンクタンクは米軍と中国軍が交戦した場合の米側の損失規模に言及しているものの、米軍が反撃した際に中国側が払う代償については触れていないとし、「戦略計画は双方の評価を行うべきであり、このような戦略的構想は極めて荒唐無稽だ」と一蹴した。
明氏は、国力の強い国家の防衛圏は常に外側へと拡大するものであり、内側へ縮小することはないと断言。第二次世界大戦時の日本を例に挙げ、まず第一列島線に当たる台湾や韓国を占領した後、続けて第二列島線のグアム、さらには「第三列島線」のハワイを攻撃した歴史を振り返った。
また明氏は、トランプ米大統領は台湾を防衛しないというシグナルをしばしば発しているものの、台湾は依然として米国の核心的利益だと強調。人工知能(AI)ブームの中、米国の先端半導体に対する需要は極めて高く、その輸入は大きく台湾に依存していると指摘し、台湾が先端半導体の製造能力の半分を米国に移転したとしても、米国にはそれを維持する能力はないとし、台湾の技術人材や川上部品メーカーが欠ければ、米国単独での生産は不可能だと結論付けた。
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