米中間選挙、民主党が下院過半数奪還の公算「9割以上」 グレン・フクシマ氏が分析
元米通商代表部(USTR)幹部でスタンフォード大客員研究員のグレン・S・フクシマ氏は26日、日本記者クラブで会見し、投開票が迫る米中間選挙について、トランプ政権への反発を背景に『下院は9割以上の確率で野党民主党が過半数を奪還する』との見通しを示した。(写真/日本記者クラブ提供)
元米国通商代表部(USTR)日本担当部長・日本中国担当代表補佐でスタンフォード大学客員研究員のグレン・S・フクシマ氏は26日、日本記者クラブで「2026米中間選挙」と題して講演し、記者会見を行った。
フクシマ氏は、投開票まで8日に迫った米中間選挙の情勢について、トランプ政権の政策運営に対する有権者の反発を背景に「下院は9割以上の確率で野党民主党が過半数を獲得する」との見通しを明らかにした。一方で上院選については接戦区が多く、現時点でどちらが多数派を握るかを予測するのは極めて困難だとの見解を示した。
米中間選挙の焦点は物価高や移民政策など5項目
フクシマ氏は、現在の米国社会が民主党支持層約3割、共和党支持層約3割、残る約3割の無党派層が動向を左右する激しい分断状態にあると指摘。
トランプ大統領の支持率が30%台前半に低迷する中、全米で問われている最大の論点として生活直結の経済問題、国境管理・移民政策、AIおよびデータセンター新設問題、外交政策、政権中枢の利益相反疑惑の5項目を挙げた。
フクシマ氏の分析によると、経済面では2024年大統領選でトランプ氏を支持した無党派層の間でもインフレや食料品、住居、医療保険、燃料費の高騰に対する不満が噴出している。
国境管理をめぐっては、移民税関捜査局(ICE)による強引でずさんな法執行への批判から、前回トランプ氏支持に流れたヒスパニック系有権者の6割以上が民主党支持へと回帰しつつあるとフクシマ氏は述べた。
さらに同氏は、AI普及に伴う雇用喪失への警戒感やデータセンター増設による電力高騰・環境破壊への反発が両党支持層で広がっていること、中東情勢をめぐり若年層を中心とするイスラエル支援批判やイラン軍事衝突への不満が生じていること、大統領自身や親族らによる巨額の利益相反疑惑が浮上している点も重要論点として位置づけた。
下院は民主党の過半数奪還を予測、上院は接戦
下院選の議席予測について、フクシマ氏は民主党内で当初30〜40議席増を期待する声があったものの、連邦最高裁による1965年投票権法の形骸化判決や各州での区割り改編(ゲリマンダー)、激戦州での若者・学生票の抑制策などが影響し、現時点の予測は10〜15議席増にとどまっていると説明。
議会で民主党が過半数を握った場合の影響について、フクシマ氏は各委員会の委員長ポストが民主党に移り、召喚令状を用いた徹底的な調査委員会や公聴会が始動することで、トランプ氏が単独で行ってきた政策アジェンダ設定力に強いブレーキがかかると指摘。
上院を制した場合は閣僚や連邦判事の人事承認を阻止できるようになるため、大統領の行動範囲は大きく制約されるとフクシマ氏は分析した。なお、大統領弾劾についてフクシマ氏は、上院の3分の2の賛成による罷免が現実的でないことから時間の浪費と見なされており、追及の対象は問題の多い閣僚に向かう可能性が高いとの見方を示した。
2028年大統領選と今後の日米関係にも言及
会見後半でフクシマ氏は、中間選挙直後から本格化する2028年大統領選にも触れ、民主党側からはニューサム・カリフォルニア州知事やベシア・ケンタッキー州知事ら中道・リベラル各層の実力派知事を含む10人以上が出馬する可能性があると言及。トランプ政権への反動の大きさによって、リベラル派か穏健派のどちらが主導権を握るかが決まると論じた。
最後に日米関係のあり方を問われたフクシマ氏は、「日本の政官財界は歴史的に共和党とのパイプを重視する傾向があるが、二大政党制の米国では民主党との関係構築も不可欠だ」と強調。
政権レベルの首脳外交にとどまらず、停滞している日米議員交流の再興や米西海岸の先端技術企業との対話、減少傾向にある日本人留学生の復権など、複線的かつ長期的な知的・人的交流を推進すべきだと訴えた。
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