カーティス名誉教授が日本記者クラブで講演 トランプ後の米国と日米同盟を展望、高市首相の対米外交に苦言

ジェラルド・カーティス名誉教授は日本記者クラブで講演し、トランプ政権後の米国の正常化と日米同盟の不変性を展望する一方、高市首相の対米追従姿勢に苦言を呈し、安易な黄金時代論を退けて主体的な外交戦略の構築を促した。(写真/日本記者クラブ提供)
ジェラルド・カーティス名誉教授は日本記者クラブで講演し、トランプ政権後の米国の正常化と日米同盟の不変性を展望する一方、高市首相の対米追従姿勢に苦言を呈し、安易な黄金時代論を退けて主体的な外交戦略の構築を促した。(写真/日本記者クラブ提供)

米コロンビア大学のジェラルド・カーティス名誉教授は2026年10月14日、日本記者クラブで「国際政治の大変革期の中での日米関係の行方」と題して講演を行った。

カーティス氏は、目前に迫る米中間選挙やトランプ政権の現状を踏まえ、アメリカ社会は深刻な問題を抱えているものの、トランプ氏が政権を去れば国が正常化に向かう潜在的な回復力を持っているとの見解を示した。

同時に、戦後国際秩序の転換期においても日米同盟の重要性は揺るがないと強調した上で、現在の日本政府が喧伝する「日米関係の黄金時代」という認識に強い異論を唱え、高市早苗首相の対米追従姿勢や外交手法に厳しい苦言を呈した。

米中間選挙の展望とトランプ政権後の米国を分析

カーティス氏はまず、3週間後に控えた米中間選挙の展望について言及した。現在、トランプ大統領の支持率は就任以来最低水準に落ち込んでおり、野党・民主党が下院で10~15議席程度を増やして過半数を奪還する公算が大きいと分析した。

上院の勝敗は予断を許さないものの民主党が優勢を広げつつあり、トランプ氏が共和党の牙城である地域にまで応援演説に入っている事実は支持基盤の揺らぎを物語っていると指摘した。その上で、トランプ氏はすでに人気のピークを過ぎて下り坂にあり、民主党が上下両院で過半数を制すれば強力な牽制力が働くと述べた。

アメリカの将来像についてカーティス氏は、250年に及ぶ米国の民主主義の歴史においてトランプ氏ほど汚職を重ね議会と対立した大統領はおらず、極めて特異な存在であると評した。

1950年代のマッカーシズムの嵐が一夜にして沈静化した歴史や、ベトナム戦争の敗北後に米国の国際関与がかえって強化された経緯を引き合いに出し、トランプ氏というカルト的指導者が退場すれば、国民が目を覚まし、対立と分断を修復して国を正常化しようという機運が高まる可能性があると楽観的な期待を示した。

日米同盟の重要性を強調、「黄金時代」には異論

国際秩序の崩壊と同盟関係の行方に関しては、弱肉強食の世界に逆戻りするわけではないとの見方を示した。中国やロシアに対抗するためには米国の関与が不可欠であり、トランプ政権が終わっても同盟の構造は変わらないばかりか、むしろ強固になる可能性があると分析した。

日本にとっても米国との安全保障関係に代わる現実的な選択肢は存在せず、欧州や韓国を含めた同盟国が防衛費の増額や役割拡大に応じることで、従来よりも対等なパートナーシップが構築され得るとの見取り図を提示した。

一方、日本政府首脳らが日米関係を「黄金時代」と表現していることに対しては強く反論した。国際情勢が極度に混沌とし、米国から巨額の投資を強いられるような状況を黄金時代と呼ぶのは不適切であると批判した。 (関連記事: カーティス教授「自民党の統治モデルは行き詰まりにある」 | 関連記事をもっと読む )

特に高市首相がトランプ氏に対してへりくだり、機嫌を取るような態度を見せていることについて、権力のみを尊重するトランプ氏からは足元を見られ軽視されるだけであり、根本的な誤りであると断じた。

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