「日台は今こそ防衛産業協力を」 岩田清文・元陸上幕僚長、ドローン連携で世界市場開拓を提言

2026-10-12 18:33
インド太平洋戦略シンクタンクは2026年10月11日、「台日科技未来フォーラム」を開催した。写真は岩田清文・元陸上幕僚長。(蔡親傑撮影)
インド太平洋戦略シンクタンクは2026年10月11日、「台日科技未来フォーラム」を開催した。写真は岩田清文・元陸上幕僚長。(蔡親傑撮影)

岩田清文・元陸上幕僚長は、台湾と日本はともに中国による安全保障上の脅威と経済的威圧にさらされており、「台湾有事は日本有事」という考え方のもと、両国はすでに運命共同体だとの認識を示した。

日台双方の国家安全保障と経済安全保障を強化するため、今こそ防衛産業協力に乗り出す絶好の機会だという。台湾の製造力と、重要部品における日本の強みは補完し合える関係にあり、両国にとって最も有望な協力分野はドローン(無人機)で、将来的にはサイバーセキュリティー、レアアース(希土類)、無人艇を含む海洋監視でも協力の可能性があると語った。

インド太平洋戦略シンクタンクが2026年10月11日に開いた「台日科技未来フォーラム」。右から同シンクタンクの矢板明夫執行長、岩田清文・元陸上幕僚長、王美花・前経済部長、国家基本問題研究所の櫻井よしこ理事長、石平参院議員(蔡親傑撮影)
インド太平洋戦略シンクタンクは2026年10月11日、「台日科技未来フォーラム」を開催した。右から、同シンクタンクの矢板明夫CEO、岩田清文・元陸上幕僚長、王美花・前経済部長(前経済相)、国家基本問題研究所の櫻井よしこ理事長、石平参院議員。(蔡親傑撮影)

陸上自衛隊トップを務めた岩田氏 日台関係と中国の脅威に長く関心

岩田氏は69歳。2013年に第34代陸上幕僚長に就任した。陸上幕僚長は陸上自衛隊の制服組トップにあたる。2016年に退官後、三菱電機のシステム事業本部で顧問を務め、現在は保守系シンクタンク、国家基本問題研究所の副理事長も務めている。

防衛大学校で電気工学を学び、米陸軍指揮幕僚大学に留学した。陸上自衛隊では第71戦車連隊長、陸上幕僚監部人事部長、第7師団長、統合幕僚副長、北部方面総監などを歴任した。

退官後は執筆活動にも力を入れ、中国の日本への脅威から台湾有事のリスクまで幅広いテーマを扱っている。元自衛隊幹部らとの共著『自衛隊最高幹部が語る台湾有事』(新潮新書)は、内容を増補した中国語版が今年初めに台湾で出版された。岩田氏はたびたび台湾を訪れている。

「防衛装備移転三原則」のもと、日台が協力を探れる2つの分野

岩田氏は11日、インド太平洋戦略シンクタンクが主催した「台日科技未来フォーラム」で、「日台運命共同体と防衛産業協力」と題して講演した。日本の防衛力を支えるサプライチェーン(供給網)の多くはいまだに中国に依存していると指摘。北京が対外的な経済・貿易関係をたびたび他国への威圧の手段として利用していることを踏まえれば、日本も台湾も中国に頼ることはできず、双方が信頼できるサプライチェーンを共同で築くことが極めて重要だと述べた。

ただ、戦闘機やミサイルといった武器装備の国際協力はあまりに敏感で、日本の法制度でも現時点では台湾への防衛装備の輸出は認められていない。政治的な敏感さを下げるため、国際社会によるウクライナ支援の先例も参考に、日台は防衛装備の生産面での協力、特に軍民両用(デュアルユース)部品の相互支援を探ることができるという。

岩田清文・元陸上幕僚長は、今こそ日台が防衛協力を探る理想的なタイミングだとの見方を示した。(劉煥彥撮影)
岩田清文・元陸上幕僚長は、日台が防衛産業協力を検討するには今が理想的な時期だとの見方を示した。(劉煥彥撮影)

岩田氏によると、日本政府が今年上半期に改正した「防衛装備移転三原則」のもとでは、殺傷能力のある武器の輸出先は、日本と二国間協定を結んでいる17カ国に限られており、当然、台湾には適用されない。

一方で、殺傷性のない非武器装備や、部品、技術、サービスであれば、日台が協力を検討できる範囲に入るという。 (関連記事: 王美花・台湾前経済相、TSMC・ソニー協業に「大きな意義」 日台半導体は「奪い合いでなく補完」 | 関連記事をもっと読む )

「それ自体は武器ではなくても、武器の製造に使われる部品は、日本から台湾に輸出することができる。日本と台湾は、軍事分野で使われるこうした装備や部品について、相互に協力し合うべきだと考える」と述べた。

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