【ドローン神話⑥】台湾ドローンは「中国依存」を減らせるか 電池・モーターは造れてもレアアースが壁

台湾は近年、無人システムの開発を積極的に進めており、「非レッド・サプライチェーン」の構築が大きな課題となっている。(資料写真、顔麟宇撮影)
台湾は近年、無人システムの開発を積極的に進めており、「非レッド・サプライチェーン」の構築が大きな課題となっている。(資料写真、顔麟宇撮影)

機体に「台湾製」のラベルを貼ること自体は難しくない。難しいのは、分解したときに電池セル、正極・負極材料、黒鉛(グラファイト)、レアアース(希土類)磁石、フライトコントローラーの部品が実際にどこから来ているかだ。「非レッド・サプライチェーン」(中国製部品・材料を排除した供給網)には確かに国家安全保障上の必要性がある。しかし、明確な定義、代替のスケジュール、市場規模の裏付けがないまま全面的な「脱レッド」を進めれば、コストが跳ね上がるだけで、実際にはリスクを下げられない恐れがある。

ドローンを分解すると、「非レッド」はスローガンから部品表に変わる

一見単純な4枚ローターのクアッドコプター型ドローンでも、分解すれば少なくともフレーム、プロペラ、ブラシレスモーター、電子速度制御装置(ESC)、電池、フライトコントローラー、衛星測位装置、慣性計測装置(IMU)、データリンク、送信機(リモコン)、カメラ、地上管制局で構成される。軍用システムであれば、さらに暗号化通信、妨害に強い航法装置、赤外線画像装置、ミッションコンピューター、弾頭が加わる。そしてそれぞれの部品の背後には、材料、半導体、ファームウェア、ソフトウェア、生産設備がつながっている。

このため、「非レッドのドローン」にはさまざまな定義があり得る。機体全体を中国企業が製造してはならない、フライトコントローラーや通信、データを中国のシステムに握られてはならない、主要部品はすべて中国由来であってはならない、あるいは鉱物・材料から組み立てまで中国を完全に排除する――といった具合だ。この4つの基準は、安全保障上の効果もコストも実現可能性もまったく異なるが、しばしば同じ「非レッド」というラベルの下で混同されている。

「台湾が初日から全部品で中国を完全に排除するよう求めれば、コストと規模で競争力のある産業を短期間で築くことはほぼ不可能だ」。ある業界関係者はこう明かす。もっとも、この関係者が反対しているのは国産化の方向性そのものではない。代替サプライチェーンが成熟する前に、一足飛びの全面的な脱レッドを政策の実績として扱うことに異を唱えているのだ。

関係者は例として、安全保障上の重要部品ではないプロペラについても、最初から非レッドを強調すべきなのかと疑問を呈する。

「金型を一つ作って数百個を生産するのと、深圳の業者が金型一つで数万個を作るのとでは、コストの差は天と地ほどある」と語った。

一見シンプルな外観のドローンも、実際には複雑な部品で構成されている。写真はクアッドコプター型ドローン「Viper」(資料写真、張曜麟撮影)
一見すると単純な構造に見えるドローンだが、実際には数多くの複雑な部品で構成されている。写真はクアッドコプター型ドローン「Viper」。(資料写真、張曜麟撮影)

DJIを支える完全なエコシステム――レアアース、電池、受託生産モジュール、消費者市場

中国は現在、世界で最も裾野が広く、規模の大きいドローン製造拠点とみられている。ここでいう「裾野が広い」とは、レアアースの分離、永久磁石材料、リチウムイオン電池の材料とセルから、ブラシレスモーター、ESC、フライトコントローラー、IMU、カメラレンズ、映像伝送、アンテナ、コネクター、炭素繊維、プラスチック金型に至り、最終的には機体の組み立て、試験、物流、各種の用途市場までがつながっていることを指す。

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