台湾国防部がこのほど公表した「2026年版(民国115年)中共軍事力報告書」は、中国軍の統合上陸能力の整備、訓練、作戦支援を重要な観察項目に加え、現段階では中国軍の統合上陸作戦能力になお不足があると指摘した。その一方で、外部からは「2030年から35年にかけて関連計画が順次完成する可能性がある」との見方も出ている。
そこで筆者は関心から、2016年から26年までの公開資料を主な観察範囲とし、中国軍の水陸両用戦力の発展を「戦力整備・訓練・戦備態勢」という相互につながる三つの層に位置付け、初歩的な検討を行った。単一の装備数や1回の演習から全体の戦力を推し量るのではなく、時期、部隊、訓練地域、訓練科目、海軍の水陸両用作戦プラットフォームを相互に照らし合わせることで、この10年間における中国軍の水陸両用戦力発展の基本的な流れを整理する。この時期は、「国防・軍隊改革の深化」、戦区体制の確立、陸軍の合成化改革、海軍陸戦隊の再編、そして強襲揚陸艦の急速な発展が重なった時期でもある。
観察の結果、2016年以降の中国軍の水陸両用戦力の変化には、明らかな体系化の傾向がみられる。陸軍の水陸両用合成部隊は、従来の沿岸訓練から、合成化・実戦化・統合化へと次第に転換している。海軍陸戦隊は、水陸両用装甲部隊、揚陸艦、エアクッション艇、航空戦力を組み合わせることで、立体的な戦力投射能力を段階的に強化している。075型強襲揚陸艦の配備は、海軍の水陸両用戦力による空中・海上からの戦力投射能力をさらに拡大した。
ただし、公開情報で主に確認できるのは、あくまで「どのような訓練を行ったか」と「どの部隊と装備が訓練に参加したか」である。実際の充足率、装備の可動率、即応率、大規模兵力を連続して投射する能力、戦時の兵站の強靱性、そして高強度の統合作戦環境での継続作戦能力については、なお十分な公開の証拠がない。そこで本稿は、「観察可能な訓練能力」と「まだ十分に検証できない戦時能力」を分けて扱い、10年間の中国軍水陸両用戦力を探るための歴史的な文脈を組み立てる。
1.10年でどう変わったか――水陸両用戦力発展の歴史的文脈
2016年は、中国軍の水陸両用戦力のこの10年間の発展を観察するうえで重要な起点だ。この年、中国軍改革は大規模な組織再編の段階に本格的に入り、従来の軍区(瀋陽、北京、済南、南京、広州、成都、蘭州の七大軍区)体制は、戦区(東部、南部、西部、北部、中部の五大戦区)体制へと順次移行した。陸軍部隊も集団軍と合成旅の方向へ再編され始めた。このため、水陸両用部隊の発展は単に「新型装備がいくつか増えた」と理解すべきではなく、軍制改革全体の背景の中で観察する必要がある。 (関連記事: 【寄稿】中国軍は2030年に台湾侵攻できるのか 鍵を握る水陸両用作戦、なお残る課題 | 関連記事をもっと読む )
2016年には、旧第31集団軍が福建省南部(閩南)の海域で海上訓練を行い、すでに泳渡、舟艇操縦、搭載・航渡、海上突撃、水陸両用装甲車、海上での実弾射撃などの内容がみられた。さらに重要なのは、訓練に紅藍対抗(対抗演習)、電磁妨害、特殊部隊の浸透といった条件が加えられたことだ。これは当時の水陸両用海上訓練が、単に風浪や海象に慣れる段階から、「敵情のある条件下で任務を完遂する」段階へと転換し始めていたことを示している。
従来の水陸両用訓練で外部の目に最も触れやすいのは、車両の入水、渡海、着上陸だった。しかし16年の訓練内容からは、中国軍が海象、敵情、電磁妨害、特殊作戦活動を同じ訓練環境に組み込み始めたことが分かる。つまり水陸両用部隊の訓練の課題は、「水に入れるか」から、「妨害や敵情の影響を受けたうえで海上での戦力投射を完遂できるか」へと次第に広がっていったのである。
2018年には、第73集団軍のある合成旅が水陸両用装甲戦闘群の実弾射撃総合演習を行い、海上での制限路走行、海岸の目標捜索、海上戦闘射撃、上陸と突撃の一体化(登突一体)などの内容が伝えられた。20年には東部戦区陸軍のある旅団が福建省南部の複雑な海象の下で水陸両用装甲突撃群の実弾射撃を行い、浮航・搭載、海上走行、戦闘射撃、不測事態への対処、応急修理、自救互救などの科目を組み合わせた。
2021年以降、水陸両用訓練は組み合わせの傾向をより明確に示し始めた。東部戦区陸軍のある水陸両用合成旅は、泛水(車両の入水・浮航)と波次編成、揚陸艦への乗艦・下艦、海上戦闘射撃、着上陸を実施した。また南部戦区の075型強襲揚陸艦「海南」が21年4月に就役すると、訓練には艦艇、艦載航空兵力、海軍陸戦隊、エアクッション艇を一体で運用する特徴が次第に表れた。中国当局の資料は、海南が全通甲板とウェルドックを備え、艦載ヘリコプター、装甲車両、エアクッション揚陸艇を搭載できると明記している。その訓練には艦と航空機の協同、海軍陸戦隊の垂直投射、エアクッション艇の運用も含まれている。
2022年には、陸軍部隊が海軍艦艇部隊と陸海統合訓練を行い、水陸両用戦車の乗艦・下艦、入水・波次編成、着上陸などの科目を実施した。これは中国軍の水陸両用戦力の発展における重要な節目となった。
2023年から24年にかけては、陸軍の水陸両用部隊の訓練頻度と科目の組み合わせがさらに増えた。第73集団軍のある旅団では、水陸両用装甲車の海上走行、海上での波次編成、海上戦術訓練、海軍部隊との海上実戦化訓練などの活動が公開された。24年には第72集団軍のある旅団が福建省東部(閩東)で海上戦闘射撃を行い、訓練では編組の協同、通信、偵察、火力の要素が特に強調された。
そして2026年になると、075型強襲揚陸艦とそれが体現する立体的な戦力投射能力が、公開された訓練報道にいっそう頻繁に登場するようになった。6月には075型強襲揚陸艦「広西」が垂直・水上協同突撃訓練を行い、8月には「湖北」が南シナ海で総合的な訓練評価を受けた。9月の東シナ海での訓練では、強襲揚陸艦とエアクッション艇の多波次の迅速な発進、複雑な海象下でのドックへの出入り、揚陸と回収などの訓練がさらに現れた。 (関連記事: 【寄稿】中国軍は2030年に台湾侵攻できるのか 鍵を握る水陸両用作戦、なお残る課題 | 関連記事をもっと読む )
以上の整理では、この10年間の資料のうち、特筆すべき特徴を示しにくい事例はあらかじめ除外した。そのうえで、中国軍の水陸両用戦力の10年間の発展は、三つの段階に整理できる。2016年から18年は主に、改革を背景とした水陸両用部隊の再調整と、海上での実戦化訓練の深化の時期だった。19年から22年にかけては、陸軍の水陸両用部隊と海軍艦艇、海軍陸戦隊との間で、より明確な協同が現れ始めた。23年から26年にかけては、編組の協同、立体的な戦力投射、艦艇とエアクッション艇の協同、そして連続的な戦力投射能力がいっそう強調されるようになった。
この三つの段階には互いに明確な境界があるわけではなく、前の段階で形成された能力が次の段階の訓練の基礎となっている。ここから見れば、中国軍の水陸両用戦力の10年間の主な変化は、「水陸両用装備と部隊が存在する」段階から、「組織、装備、海上からの戦力投射、統合作戦の流れが互いにつながる」段階へと次第に発展したことにある。(表1:2016~2026年の中国軍水陸両用戦力発展の主な段階)

2.部隊をどう整備したか――水陸両用兵力から水陸両用作戦体系へ
水陸両用戦力を観察する際に、まず陥りやすい誤りは、装備の数量をそのまま作戦能力と同一視することだ。実際には、水陸両用作戦はそれ自体が組織への依存度が極めて高い。水陸両用装甲車は人が操作しなければならず、揚陸艦は搭載と輸送ができなければならない。エアクッション艇は母艦との協同が必要で、海軍陸戦隊は乗艦、航渡、下艦、そして陸上での突撃をやり遂げる必要がある。航空戦力は垂直投射と火力支援に関わる。いずれの段階も、作戦全体の実効性を制約する要因となり得る。
このため、2016年から26年までの戦力整備の変化は、「編制、装備、指揮、統合支援」の四つの層から観察できる。
第一は編制だ。軍改革後、陸軍部隊は集団軍―合成旅の方向へ再編され、従来は単一の兵種を中核としていた部隊が、次第に合成化された編制に組み込まれた。これにより水陸両用部隊は、もはや特定の装甲・歩兵分隊の海上訓練の問題にとどまらず、合成旅が沿岸方面の任務を遂行する際の一部となっていった。
第二は装備だ。新型の水陸両用装甲車は部隊の水際での機動能力を高め、071型ドック型揚陸艦と075型強襲揚陸艦は海上からの戦力投射と航空運用の能力を高めた。075型「海南」の公開資料によれば、ウェルドックには装甲車両とエアクッション揚陸艇を搭載でき、全通甲板では艦載ヘリコプターを運用できる。これは水陸両用作戦における戦力投射が、水上と垂直という二つの経路を次第に形成しつつあることを意味する。
第三は指揮だ。2016年の海上訓練ですでに対抗演習と電磁妨害が現れ、24年の第72集団軍のある旅団の海上訓練では、通信、偵察、火力協同が強化すべき内容としてさらに挙げられた。これは、中国軍の水陸両用訓練の重点が、単車・単艇の操作から編組単位の指揮・協同へと次第に広がっていることを示している。
最後は統合支援だ。2022年には海軍陸戦隊のある旅団が艦艇部隊と多科目の協同訓練を行い、水陸両用装甲車と揚陸艦が浮航による搭載・揚陸を行うと同時に、エアクッション艇に装甲車と陸戦隊員を乗せて海岸へ突撃した。こうした訓練の重要性は、「部隊―装備―艦艇―エアクッション艇―海岸」を一本につなげた点にある。 (関連記事: 【寄稿】中国軍は2030年に台湾侵攻できるのか 鍵を握る水陸両用作戦、なお残る課題 | 関連記事をもっと読む )
ここから分かるように、水陸両用戦力整備の核心的な変化は、単にプラットフォームの数が増えたことだけではなく、作戦単位の間により固定的な機能関係が生まれ始めたことにある。陸軍の水陸両用合成部隊は水際の機動と陸上の突撃を担い、海軍陸戦隊は専門的な海上突撃戦力を提供する。揚陸艦は海上からの戦力投射を、エアクッション艇は海岸への迅速な輸送を担う。075型強襲揚陸艦は、ヘリコプターによる垂直投射と、より大きな海上指揮・航空運用の空間を新たに加える。こうした体系化の進展により、水陸両用戦力はもはや単一の部隊や単一の装備で測ることはできなくなった。
ただし一方で、公開資料の限界にも注意しなければならない。当局の報道は通常、「ある部隊がある装備を使ってある訓練を完了した」ことは確認できるが、旅団全体のすべての装備の可動率、実際に使用可能な数量、完全な編制、戦時に同時投入できる規模までは必ずしも確認できない。このため戦力整備に関する資料は、能力の基盤の形成を説明するためには使えるが、そのまま戦時に使用可能な兵力に換算することはできない。(表2:水陸両用戦力整備における四つの層)
3.部隊はどこで訓練しているか――沿岸の訓練地理と水陸両用戦力の分布
水陸両用戦力を探るには、部隊の名称だけを見るのでも、装備だけを見るのでも足りない。訓練の地理そのものが、戦力の形成を理解するための重要な資料となる。
2016年から26年までの公開資料によると、中国軍の水陸両用・沿岸訓練の活動は主に、(1)関連する水陸両用部隊の駐屯地に近い、(2)水陸両用車両、揚陸艦、海軍部隊の活動に適した海岸環境を備えている、(3)比較的固定された軍事訓練海域と海岸の条件がある――という三つの条件を満たす地域に集中している。
そこで筆者は、北から南へ沿岸の訓練地域をいくつかの観察区域に分けた。ただしこれらは、中国の海事局が発出する航行警報や官製メディアの公開報道、関連情報と照らし合わせる必要がある。しかも通常は、通告から中国軍がどのような軍事任務を行うのかを読み取ることは難しい。それを正確に分析するには、大変な根気と関心を持ち続けることが必要だ。
中国の水陸両用訓練の海域は、第一に渤海―遼東―山東方面、第二に浙江―福建省東部方面、第三に福建省南部―東山島とその周辺海域である。この第三の区域は30年余りにわたり水陸両用戦力を観察するうえで最も代表的な区域で、当局が重点的に報道する水陸両用訓練の多くがここで行われている。
第四は広東省東部―南澳島―汕頭―汕尾方面で、この地域は沿岸訓練の価値が高く、南部戦区の陸軍・海軍戦力の配置とも関連している。通常、中国軍の活動は、筆者が台湾の「対岸」、台湾海峡と呼ぶ地域、つまり福建省の沿岸から広東省の汕頭にかけての一帯に近いほど、公開情報が多い。第五は湛江―海南―南シナ海方面である。逆に言えば、台湾から遠くなるほど、得られる公開情報は少なくなる。
このため、訓練地理の研究の本当の価値は、「部隊がどこにいるか」「艦艇がどこにいるか」「海域はどこか」「いつ行われたか」という四つの情報を重ね合わせる点にある。(表3:沿岸の水陸両用訓練地理の観察枠組み) (関連記事: 【寄稿】中国軍は2030年に台湾侵攻できるのか 鍵を握る水陸両用作戦、なお残る課題 | 関連記事をもっと読む )
4.何を訓練しているのか――入水から上陸までの一貫した訓練の流れ
2016年から26年までの公開された訓練資料を一つずつ並べると、中国軍の水陸両用訓練にはかなり明確な作業手順があることが分かる。入水・浮航→波次編成→搭載→航渡→下艦→海上機動→火力協同→着上陸→陸上突撃→回収・再投射、という流れだ。この過程は中国軍の水陸両用戦力投射に関する文献にも見られ、さらに細かく分けられているが、ここでは詳述しない。
入水・浮航がまず解決するのは、装甲車が陸地から水面に入る問題だ。この動作は一見単純だが、実際には車両の性能、操縦手の操作、海象の判断、編組の秩序、そして指揮通信が関わる。2016年と20年の関連訓練は、中国軍が入水・浮航と航渡の段階に風浪、電磁妨害、敵情を加え始めたことを示している。
波次編成が解決するのは、「多数の車両がどうやって一緒に進むか」という問題だ。1台が浮航能力を持っていても、多数の車両が海上で隊形と指揮関係を保てるとは限らない。2021年の東部戦区陸軍の水陸両用合成旅と、24年の第72集団軍のある旅団の訓練では、いずれも入水・浮航と波次編成が行われた。
搭載と下艦は、見落とされやすいもう一つの段階だ。2022年に陸軍部隊が海軍艦艇と訓練した際、水陸両用戦車は揚陸艦のハッチ、うねりの方向、誘導員の指示に合わせて乗艦しなければならなかった。搭載を終えると、今度は再び下艦し、入水・浮航と波次編成を行う必要があった。これは水陸両用作戦が「船が車を運ぶ」だけのものではなく、車両、艦艇、海象の三者の精密な連携の上に成り立っていることを示している。
エアクッション艇は、もう一つの戦力投射手段を加える。2022年の海軍陸戦隊の訓練では、エアクッション艇が装甲車と陸戦隊員を乗せて高速で航渡し、浮航した水陸両用装甲車の編隊とともに海岸に到達した。
2026年9月の東シナ海での訓練は、この問題を「戦力投射の効率性」へとさらに押し進めた。強襲揚陸艦とエアクッション艇が多波次の迅速な発進、複雑な海象下でのドックへの出入り、揚陸、回収、再発進を行い、訓練の焦点は戦力投射の流れ全体が持続的に回り続けられるかどうかにまで及んでいる。
火力協同はもう一つの重要な層だ。2018年、20年、21年、24年の陸軍の水陸両用訓練では、いずれも海上での実弾射撃や戦闘射撃が行われ、一部の訓練では目標の捜索、地雷原、不測事態への対処、海岸での突撃も含まれた。
2023年から24年にかけての公開訓練では、通信、偵察、火力協同がさらに強調された。24年には第72集団軍のある旅団が、複雑な海上電磁環境の下での多手段通信になお弱点があることを公に認めてさえいる。こうした「問題の露呈―振り返り―再訓練」の内容は、かえって研究上の価値が高い。訓練が成功の誇示だけでなく、能力上の欠落も抱えていることを示しているからだ。
このため、水陸両用訓練の研究では、「着上陸を何回行ったか」を数えるだけでは足りない。より重要なのは、訓練の手順がますます完全なものになっているか、そして異なる段階の間に安定したつながりが生まれ始めているかを観察することである。(表4:2016~2026年の水陸両用訓練の作業の流れ) (関連記事: 【寄稿】中国軍は2030年に台湾侵攻できるのか 鍵を握る水陸両用作戦、なお残る課題 | 関連記事をもっと読む )

5.これらの訓練は何を証明するのか――能力の判読と証拠の境界
水陸両用戦力の分析で最も起きやすい問題は、「見える訓練」をそのまま「見えない戦時能力」に置き換えてしまうことだ。このため、明確な証拠の論理を立てる必要がある。何が見えれば何を証明できるのか。何が見えても、なお何を証明できないのか。
第一の能力は、水陸両用装甲車の水上での操作能力だ。2016年、18年、20年、21年、23年、24年にいずれも関連する公開資料があり、一部の水陸両用部隊が海上走行、入水・浮航と波次編成、海上射撃について継続的な訓練経験を持っていると、比較的確信をもって判断できる。
第二は艦艇との協同だ。2022年の陸軍と海軍艦艇の統合訓練、そして海軍陸戦隊と揚陸艦、エアクッション艇との協同訓練は、比較的直接的な証拠となる。このため、陸軍の水陸両用部隊と海軍の戦力投射プラットフォームの間には、実際の訓練上の協同があると判断できる。
第三は立体的な戦力投射だ。海南に関する訓練は、海軍陸戦隊、艦載ヘリコプター、エアクッション艇、艦艇が一体となって訓練を組めることを示している。26年には075型強襲揚陸艦の訓練に垂直・水上の協同突撃が加わった。このため、海軍の水陸両用戦力による立体的な戦力投射能力には、相当程度の公開の証拠の裏付けがある。
第四は連続的な戦力投射だ。2026年の東シナ海での強襲揚陸艦とエアクッション艇の多波次の迅速な発進、揚陸、回収、再発進は、現在の公開資料の中で比較的注目に値する変化だ。少なくとも、訓練が「1回の戦力投射の完了」以外の問題、すなわち投射の流れの速度、回収、再使用に目を向け始めたことを示している。
しかし例えば、ある旅団が水陸両用の波次編成訓練を完了したことは、その旅団が関連する訓練能力を持つことを証明するにすぎず、全軍のすべての水陸両用部隊が同程度の能力を持つことの証明にはならない。075型強襲揚陸艦1隻が航空とエアクッション艇の訓練を完了したことは、その艦と参加戦力が関連科目を完了したことを証明できても、海軍全体の実際の戦力投射能力に直接置き換えることはできない。
エアクッション艇の多波次訓練が1回行われたことは、演習環境で部隊が連続発進の能力を持つことを証明できても、戦時に敵の火力、通信妨害、港湾の破壊、兵站の圧力を受けた後も同じ効率を保てるとはなお断定できない。
重要なのは、現時点の公開資料では、次のような問題を完全には確認できないことだ。実際の充足率、装備の可動率、戦時に直ちに投入できる水陸両用車両の割合、071型や075型などの揚陸プラットフォームの実際の可用率、大規模兵力を同時に投射する際の船舶の需要と実際の輸送力、数日間にわたる高強度作戦下での燃料・弾薬・整備・人員補充の能力、敵の偵察・精密攻撃・電子妨害を受けた後の戦力投射効率、そして上陸に成功した後に陸上作戦を継続的に拡大・維持できるかどうか、である。 (関連記事: 【寄稿】中国軍は2030年に台湾侵攻できるのか 鍵を握る水陸両用作戦、なお残る課題 | 関連記事をもっと読む )
このため、本稿で言う「能力の向上」は、公開資料が裏付けられる範囲に限定しなければならない。初歩的な見立てとしてはこうなる。中国軍の水陸両用戦力は、海上機動、入水・浮航と波次編成、乗艦・下艦、エアクッション艇による戦力投射、着上陸、海上射撃、一部の陸海協同の面で、観察可能な公開の証拠が2016年前後と比べてより充実している。統合作戦と立体的な戦力投射の訓練も増加傾向にある。しかし、これらの訓練から完全な戦時の戦力を直接導き出すには、なお不十分である。(表5:公開情報に基づく能力評価)
6.10年後どこまで来たか――戦力整備・訓練・戦備態勢の総合的な見立て
2016年から26年までの資料を改めて統合すると、中国軍の水陸両用戦力の発展には、かなり明確な内在的な論理があることが分かる。
「戦力整備」はまず組織と装備の基盤を提供する。水陸両用合成旅、海軍陸戦隊、水陸両用装甲車、揚陸艦、エアクッション艇、075型強襲揚陸艦、艦載航空戦力によって、水陸両用作戦は次第に異なる機能の層を持つ作戦単位を備えるようになった。
「訓練」は、これらの組織と装備を観察可能な操作能力へと転化する。16年の海上での対抗演習ではすでに敵情、電磁妨害、特殊作戦活動が強調された。20年には複雑な海象、実弾射撃、不測事態への対処がより明確に組み合わされた。21年から22年には陸海統合、乗艦・下艦、エアクッション艇、着上陸が現れた。23年から24年には通信、偵察、火力、編組の協同がいっそう強調された。そして26年には、強襲揚陸艦とエアクッション艇の多波次戦力投射訓練によって、課題は戦力投射の効率性と持続的な運用にまで広がった。
このため、10年間の変化の核心は単一の装備ではなく、「作戦の流れ」が次第に分解され、訓練され、組み直されてきたことにある。この点は特に重要だ。
2016年の訓練だけを見れば、水陸両用装甲車の入水、航渡、射撃、着上陸が見える。これが26年になると、強襲揚陸艦、エアクッション艇、多波次の戦力投射、複雑な海象、揚陸、回収、再発進が見える。両者の違いが映し出しているのは、訓練が関心を向ける課題の変化である。
2016年の課題は、「部隊が複雑な海象と敵情の下で水陸両用作戦の科目を完了できるか」に近かった。26年の公開訓練では、「戦力投射の速度をどう高めるか」「多波次の発進をどう行うか」「複雑な海象の下で戦力投射の流れをどう維持するか」といった課題が現れ始めた。これは中国軍がすべての水陸両用作戦の問題を解決したことを意味するのではなく、訓練上の課題がより複雑になりつつあることを意味する。
この変化は、訓練の中で公に認められた不足からも裏付けられる。2024年に第72集団軍のある旅団は、海上の電磁環境の下で多手段通信になお弱点があると指摘し、通信、偵察、火力協同を今後の強化の方向として挙げた。これは水陸両用作戦能力が装備の更新に伴って自然に形成されるのではなく、組織と技術の協同という問題を大量の訓練を通じて解決していく必要があることを示している。 (関連記事: 【寄稿】中国軍は2030年に台湾侵攻できるのか 鍵を握る水陸両用作戦、なお残る課題 | 関連記事をもっと読む )
さらに、「戦備態勢」は戦力整備や訓練よりも一段上の層で理解する必要がある。戦力整備が答えるのは「どのような戦力を築いたか」であり、訓練が答えるのは「これらの戦力がどのような観察可能な科目を完了できるか」である。「戦備態勢」は、「戦時の条件下で、これらの戦力が迅速に集結し、継続的に戦力を投射し、損耗に耐え、兵站を維持し、通信を保ち、統合指揮を完遂し、作戦を継続できるか」に関わる。
現時点の公開資料が前の二つを裏付ける度合いは、三つ目に比べて明らかに高い。これは本稿が最後にたどり着いた最も重要な結論の一つでもある。
2016年から26年までの公開資料は、「中国軍の水陸両用戦力は体系化の度合いを高めつつある」という推論を裏付けるには十分だ。この体系化は主に次の点に表れている。
(1)組織の合成化が進んだ。陸軍の水陸両用戦力は次第に合成旅の整備に組み込まれ、海軍陸戦隊も専門的な海上突撃戦力を形成した。
(2)戦力投射の手段が多様化した。水陸両用装甲車、揚陸艦、エアクッション艇、艦載ヘリコプター、075型強襲揚陸艦が、異なる層の戦力投射手段を形づくっている。
(3)訓練の流れがより完全になった。入水・浮航、波次編成、搭載、航渡、下艦、着上陸、火力協同、回収などの科目の間のつながりがますます明確になっている。
(4)統合化の度合いが徐々に高まった。陸軍、海軍、海軍陸戦隊、艦載航空、エアクッション艇などの戦力が、一部の訓練でともに登場するようになった。
しかし同時に、次の四つの重要な不確実性も留保しなければならない。
(1)公開資料では、水陸両用部隊の実際の充足率を完全には把握できない。
(2)公開された訓練は、戦時条件下の装備の可動率を直接示すものではない。
(3)演習での多波次戦力投射は、敵の火力、電子妨害、兵站の圧力を受けた後の継続的な戦力投射能力と直接同一視できない。
(4)1回あるいは複数回の訓練の成功は、大規模な統合作戦がすでに完全に成熟したことを直接意味しない。
2016年から26年までの水陸両用戦力に対する筆者の最終的な見立ては、こうである。この10年間で中国軍の水陸両用戦力に起きた最も注目すべき変化は、水陸両用装備と単一項目の海上訓練を主な観察対象とする段階から、合成部隊、海上からの戦力投射、エアクッション艇、艦載航空、海軍陸戦隊、統合指揮の協同を含む作戦体系へと次第に発展したことだ。
しかし、この体系について現時点で公開資料によって十分に証明できるのは、主に戦力整備の基盤と訓練能力であり、完全な戦時の戦備態勢や高強度の継続作戦能力を確認するには、さらに多くの非公開資料が必要である。
このことは、「初歩的な検討」という言葉に方法論上の必然性があることも示している。本稿は資料が不足しているから研究の基準を下げたのではなく、公開資料で証明できる範囲と証明できない範囲を意図的にはっきり線引きしたのである。
言い換えれば、この10年に関する初歩的な検討の価値は、将来の戦争の結果を直接導き出したり、「今日の中国軍の水陸両用部隊がどれほど強いか」に答えたりすることだけにあるのではない。むしろ、継続的に追跡できる観察の方法を確立することにある。戦力整備から能力の基盤を見て、訓練から能力の形成を見て、訓練の欠落から能力の限界を見て、さらに長期的な変化からその戦備態勢の方向を判断するという方法だ。(表6:2016~2026年の水陸両用戦力の総合評価)
したがって2026年時点で確認できるのは、中国軍の水陸両用戦力の組織化、合成化、海上からの戦力投射、統合訓練の度合いが、いずれも10年前よりも明確になっていることだ。なお確認を要するのは、これらの訓練能力が、大規模、高強度、長期間、そして激しい対抗の条件下で、どの程度維持できるかである。
この両者の間の差こそが、今後の水陸両用戦力の観察で最も追跡し続ける価値のある部分である。
*筆者・陸文浩氏は中華戦略学会研究員。
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編集:梅木奈実 (関連記事: 【寄稿】中国軍は2030年に台湾侵攻できるのか 鍵を握る水陸両用作戦、なお残る課題 | 関連記事をもっと読む )













































