【舞台裏】沈伯洋氏の「洋流」に国民党が警戒 蒋万安氏との差縮小、「静かな選挙戦」から転換へ

2026年統一地方選挙が迫る中、民進党の台北市長候補、沈伯洋氏(中央)が巻き起こした「洋流」が勢いを増し、再選を目指す蒋万安市長に迫っている。(資料写真、劉偉宏撮影)
2026年統一地方選挙が迫る中、民進党の台北市長候補、沈伯洋氏(中央)が巻き起こした「洋流」が勢いを増し、再選を目指す蒋万安市長に迫っている。(資料写真、劉偉宏撮影)

2026年9月中旬以降、当初は劣勢とみられていた民進党の台北市長候補、沈伯洋(しん・はくよう)氏が、「洋流」(沈氏の名の一字「洋」にかけ、沈氏への支持の広がりを海流にたとえた言葉)と呼ばれるブームに乗って急浮上している。

楽に再選を果たすとみられていた国民党の現職、蒋万安市長に迫る勢いを見せているだけでなく、その波及効果はほかの県や市にも及び始め、もともと苦戦していた国民党候補の選挙情勢をさらに厳しくしている。一方の民進党は党を挙げ、民進党寄りのメディアも加わってこの流れを盛り上げ、「洋流」を2018年の圧倒的な「韓流」(2018年の高雄市長選で国民党の韓国瑜氏が巻き起こしたブーム)に匹敵するまでに育て、2カ月後の首長選の勝利につなげようとしている。

国民党はこのところ、一部の県や市での候補者一本化が進まず、民衆党との足並みもそろわないことに頭を抱えている。突如わき起こった「洋流」の話題にも、当初は明らかに取り合わなかった。

党組織も国民党所属の議員も、選挙情勢が振るわない沈氏の陣営が自陣営の支持者の士気を高めるために仕掛けた自己満足の演出であり、要するに、ないものをあるように見せかけているだけだとみて、蒋氏が相手にする必要はまったくないと考えていた。

ある国民党の選挙支援関係者は当時、民進党がほかの人物ならともかく、沈氏で、韓国瑜立法院長が高雄市長選で巻き起こした「韓流」を再現しようとするのは猿まねの茶番だと断言し、「洋流」は最後には「洋相」(中国語で「醜態、恥さらし」の意。「洋流」と一字違いでかけた言葉)に変わるだろうと言い切っていた。

だが、沈氏が国民党寄りとされるラジオ番組司会者、王偉忠氏のインタビューに応じると、その動画の再生回数はわずか半月で300万回に急増し、沈氏のネット上での注目度も跳ね上がった。

さらに沈氏が石牌、公館、景美などの夜市や伝統市場を練り歩くと、多くの支持者がついて回り、一緒に写真を撮ろうと集まった。民進党の宣伝文句とみられていた「洋流」は、ネットと現実の両面で急速に強い政治的な勢いへと変わり、台北市長選の構図を揺さぶり始めている。

関係者によると、国民党の選挙支援部門は最近、組織からの報告や世論の動向、地域の反応をまとめ、世論調査のデータも参考にした結果、「洋流」は民進党陣営の自己満足にすぎず、いずれ続かなくなるという見方を改めた。「洋流」は単なる宣伝ではなく、実際に存在する現象だとみるようになったという。

基本的には民進党の固定支持層が強く結束した結果だという見方は変わらないものの、選挙情勢への影響はもはや軽視できないとしている。 (関連記事: 【舞台裏】台北市長選を揺らす「洋流」 沈伯洋ブームに蒋万安氏も警戒、陣営が「神出鬼没」に転じた理由 | 関連記事をもっと読む )

国民党の選挙支援部門は最近、情報を取りまとめた結果、「洋流」は民進党陣営の自己満足にすぎないという見方を改め、「洋流」現象は本物だと認定した。基本的には民進党の固定支持層が強く結束した結果だとみるものの、蒋万安氏(写真)の選挙情勢への影響はもはや軽視できないという
国民党の選挙支援部門は最近、各種情報を分析した結果、「洋流」は民進党陣営の自己満足にすぎないとの見方を修正し、実際に存在する現象だとみるようになった。民進党の固定支持層の結集が背景にあるとの見方は変わらないものの、蒋万安市長(写真)の選挙情勢への影響はもはや軽視できないとしている。(柯承惠撮影)

国民党の見立て 台北の民進党固定票の結集だけでは蒋氏を覆せず

選挙支援の経験が豊富な国民党の有力者は、民進党が沈氏を擁立した狙いについて、民進党陣営の固定支持層の投票意欲をかき立てると同時に、沈氏のネット上での影響力を生かして蒋氏をけん制し、蒋氏がほかの県や市の応援に回る力をそぐことにあると指摘する。

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