台北市長選で広がる沈伯洋氏の「洋流」 民進党の枠を超える支持、矢板明夫氏「蔡英文氏の手法を再現」

4日に開催された沈伯洋氏の選挙対策本部設立集会に姿を見せた人気司会者の蔡康永氏。(劉偉宏撮影)
4日に開催された沈伯洋氏の選挙対策本部設立集会に姿を見せた人気司会者の蔡康永氏。(劉偉宏撮影)

台湾で11月の統一地方選挙が迫る中、与党・民主進歩党(民進党)の台北市長候補、沈伯洋氏が4日、選挙対策本部を開設した。頼清徳総統、蕭美琴副総統、蔡英文前総統ら党の重鎮がこぞって応援に駆けつけ、主催者発表で12万人以上を動員した。これに対しジャーナリストの矢板明夫氏は自身のフェイスブック(Facebook)で、動員数よりも注目すべきは「支持層の拡大(破圏)」にあると指摘。テレビ番組の人気司会者、蔡康永氏が会場に姿を見せて反響を呼んだほか、現場の群衆も従来の民進党支持層とは異なっていたとし、沈氏が蔡英文前総統が最も重要な政治手腕の一つとしていた「従来の民進党の枠を越える」を再現しつつあるとの見方を示した。

矢板氏は、選挙集会の参加人数については各陣営が独自の方法で算出していると指摘。数字に異論を唱える者もいるかもしれないが、真に注目すべきなのは参加者の数ではなく、「支持層の拡大」という点であると強調した。沈氏の集会は民進党本部に近い北平東路で開催されたものの、「従来の民進党の決起集会らしからぬ」大会となったと述べた。

著名なTV司会者の登場に反響

矢板氏は、壇上には推薦人として民進党所属の政治家だけでなく、過去に親民党の報道官を務めた呉崑玉氏、ドキュメンタリー監督の楊力州氏、元台北市都市発展局長で建築家の林洲民氏らが登場。さらに客席には蔡康永氏の姿もあったと指摘した。また、現場に集まった群衆の雰囲気も通常とは異なっており、多くの若者が自作の「船員証」を持参し、船乗り風の服装を身にまとい、独自のシンボルを作り出していたという。政党が用意した旗やスローガンを用いて支持者を動員するのではなく、参加者が自発的に加わり、自ら創作し、発信していたのだ。

矢板氏は「本来同じコミュニティに属さない人々を引き寄せること、それこそが『洋流(沈伯洋氏が生み出したムーブメントを海流に例えた造語)』の最大の特徴だ」と述べ、これは民進党にとって特に重要だと直言している。同党は強固な支持基盤と組織動員力を常に有しているが、自らを民進党支持者と認識していない人々をいかにして集会へ足を運ばせるかが、長年の課題であったからだ。

20261004-沈伯洋競選總部成立大會於4日舉行,圖為民進黨台北市長參選人沈伯洋(中)。(劉偉宏攝)
民進党の台北市長候補、沈伯洋氏(中央)は4日、選挙対策本部の設立集会を実施した。(劉偉宏攝)

「洋流」が台北の与野党の構図を覆す

矢板氏は、蔡英文前総統の最も重要な政治手腕の一つが、民進党の従来の枠組みを越えることにあったと指摘する。2020年の総統選挙において、蔡氏が台北市で53.65%の得票率を獲得したことは、いわゆる「台北は保守(藍)が革新(緑)を上回る」という定説が決して変えられない鉄則ではないことを証明した。したがって、今回の選挙の真の鍵は、より多くの無党派層をいかに巻き込めるかにかかっている。

また矢板氏は、「洋流」というネーミングが非常に優れていると評価した。本来の緑色をさらに濃く染めるのではなく、異なる色や異なる方向の水が集まり、同じ方向に向かって流れ始めることを意味しているからだ。この「洋流」は拡大を続けており、今後の動きは単に台北市長選挙の行方に変化をもたらすにとどまらず、台湾全体の政治文化のレベルアップにつながる可能性があると分析した。

編集:平松靖史

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