マイクロンの世界工場拡張に台湾3社が同行 米・日・シンガポールの半導体プロジェクトに参画
米マイクロン・テクノロジーのAI向け半導体メモリ戦略が、台湾のパートナー企業を海外展開へと導いている。マイクロン台湾の盧東暉董事長(会長)は1日、メディアとの交流会で、高帯域幅メモリ(HBM)、台湾積体電路製造(TSMC)の「CoWoS」パッケージング技術、そして米エヌビディア(NVIDIA)のプラットフォームがそろう必要性を指摘した。
また、グローバルな工場拡張にはエンジニアリングおよび設備サプライチェーンの支援が不可欠だと強調。マイクロンの製造拠点拡大に伴い、台湾の帆宣系統科技(マーケテック)、亜翔工程(L&K)、漢唐集成(UIS)がそれぞれ米国、シンガポール、日本の関連プロジェクトに参画していると明らかにした。
盧氏は「1社の成功は単独で成し遂げられるものではなく、必ずパートナーと共にある」と述べ、製造拠点の拡張からHBMの新技術開発に至るまで、マイクロンは顧客やサプライヤー、そして半導体エコシステム全体との協業が求められていると説明した。同氏はこれらの協力を「Together(共に)」という言葉で表現し、AIシステムの統合だけでなく、海外の製造拠点建設に台湾のエンジニアリングパートナーを連れて行くことも含まれると説明した。
システム面について盧氏は「たとえHBMの準備が整っていても、CoWoSやエヌビディアのプラットフォームが追いつかなければ、顧客は完全な製品を手にすることができない。逆に、HBMの供給が遅れれば納品に影響を及ぼす」と指摘。メモリ、パッケージング、そしてプラットフォームの進ちょくは、互いに歩調を合わせる必要があると強調した。
帆宣は米国、亜翔はシンガポール、漢唐は広島新工場に参画
製造拠点の建設に関して、盧氏は台湾サプライヤー3社の海外協業事例を挙げた。帆宣系統科技は米アイダホ州ボイシ工場における設備の設置に関わり、亜翔工程はシンガポールの先進パッケージング工場の建設に携わっている。また、漢唐集成は日本の広島新工場における設計コンサルティングなどの関連業務に参加している。
これらプロジェクトは、マイクロンの各市場における製造拡大に対応したものだ。米国ボイシ工場では先進DRAMチップ工場2棟の建設が進められ、ニューヨーク州では最大4棟の建設が計画されているほか、バージニア州の既存工場でも継続的な更新が行われている。さらに、今年7月には日本で広島新工場に着工、シンガポールではHBMの先進パッケージングおよびNAND型フラッシュメモリーの製造拠点拡大が進んでいる。
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盧氏は、台湾のパートナー企業は海外でマイクロンの製造拠点拡張を支援することにより、現地に独自の拠点を設立することにつながり、今後の事業展開の基盤が形成されると指摘。台湾は土地や人材に限りがあるものの、成熟したエコシステムの能力を海外に拡張できれば、パートナー企業に新たな発展の余地を切り拓くことができると説明した。
さらに盧氏は、マイクロンが長期的に協業している分野として、クリーンルームの施工、建設用機電設備、設備統合、循環型経済、ガス・化学材料、そして産業人材の育成を挙げた。台湾にはすでに完全な半導体エコシステムが構築されており、こうした能力こそがマイクロンが世界規模で生産能力を拡大する際、現地パートナーと継続的に協業を行う基盤となっている。
グローバル展開の狙いについて、盧氏は「台湾、日本、シンガポールにはすでに製造拠点があり、法規制、人材、サプライチェーンの基盤が比較的成熟しているため、拡張を加速させるのに有利だ」と述べた。一方、米国については、政策的な支援に加え、多くの重要なAI顧客が現地に存在しており、顧客に近い場所での生産が優位性をもたらすとしている。
グローバル拡張に試されるエンジニアリング人材力
工場拡張の加速に伴い、エンジニアリング資源の確保も課題となっている。盧氏によると、現在の人手不足は主に請負業者やそのサプライチェーンで発生しており、設備の据え付け・撤去、工場システムの設置・調整のほか、電気工、溶接工、配管工、複雑な設備の調整技術者などの人材が逼迫しているという。
材料調達にも同様のプレッシャーがかかっている。例えば、クリーンルームで使用される高純度ガス配管は特定の条件を満たす必要があり、一般の材料で代用することはできない。世界的な建設規模の拡大とスピードの向上は、人材、材料、その他の資源調達への負荷を増大させている。
マイクロン台湾前工程ウェハー製造副社長の鍾聯彬氏も、製造装置の納入スケジュールが重大なボトルネックの一つとなっていると付け加えた。台湾の銅鑼工場(苗栗県)を例に挙げると、チームは既存の設備、配管、工場システムが残る環境下で、旧設備を撤去しマイクロンの新設備を導入する必要があり、工事の実行難易度が非常に高くなっているという。
マイクロン自身の人材配置も国境を越えて進められている。鍾氏によると、同社は台湾の複数の大学と提携して人材育成に取り組むとともに、海外人材の誘致も積極的に進めている。現在、台湾チームのメンバーは34カ国から集まっており、秋の採用活動も継続中だ。また、台湾の従業員には米国、日本、シンガポールの製造拠点で働く機会も提供されている。
盧氏は、今後少なくとも2年間は顧客の旺盛な需要が続くと予想される中、マイクロンのグローバル製造、生産調整、そしてパートナー企業の展開のスピードを速めなければならないと強調した。台湾のサプライヤーにとって、マイクロンの海外における製造拡大への参加は、既存のエンジニアリングおよび製造サービス能力をより多くの市場へと広げることを意味している。
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