韓国半導体大手のSKハイニックス(SK hynix)が、大規模な海外メモリー半導体工場の候補地として、東北地方の宮城県を検討していることが分かった。実現すれば、韓国の半導体企業として初めて、日本国内に大規模なメモリー製造拠点を設けることになる。
業界関係者が8月21日に明らかにしたところによると、同社は東北地方を候補地の一つとして選定し、社内で事業化の可能性を検討している。SKグループの崔泰源(チェ・テウォン)会長も近く現地を訪れ、インフラ環境を直接確認するとみられている。
宮城県の半導体インフラに注目
宮城県は、日本政府が進める半導体産業再興の重要拠点の一つとなっている。県内には、日本を代表する半導体製造装置メーカー東京エレクトロンの主要な生産拠点があるほか、半導体分野の研究・人材育成拠点として知られる東北大学にも近い。
安定した電力インフラに加え、半導体材料メーカーをはじめとする関連企業の集積も、候補地としての魅力を高めている。
日本政府も、国内を国際競争力のある半導体生産拠点とするため、海外半導体メーカーの誘致に向けて手厚い補助金や税制優遇策を打ち出している。
日本と米国でHBM生産を検討
日本での投資が実現した場合、その狙いの一つとなるのが、生成AIなど大規模なAI計算に使われる広帯域メモリー(HBM)の生産体制強化だ。
日本には半導体材料や部品、製造装置を手がける企業が集積しており、こうしたサプライチェーンに近い場所にHBMの生産拠点を置くことで、供給体制を強化する狙いがある。
崔会長は6月のインタビューで、同社が日本と米国の双方でHBM生産を検討していることを明らかにしていた。日本については、電力や半導体向け材料などのインフラが整っていることを魅力として挙げている。
HBMは、世界的なAIデータセンター投資の拡大を背景に需要が急増しており、メモリー市場の中でも競争が激しい分野となっている。
SKハイニックスは現在、Nvidia(エヌビディア)向けHBMの主要供給元として優位な地位を占めている。こうした立場を維持する上でも、生産拠点を複数地域に分散させることが重要とみられている。
韓国国内への投資も継続
一方、SKハイニックスは、海外工場への投資によって韓国国内への投資が縮小するのではないかとの懸念の払拭にも動いている。
同社は、京畿道龍仁市や湖南地域の半導体クラスターへの投資について、海外での事業拡大の有無にかかわらず計画通り進める方針を示している。
国内と海外の生産能力を同時に拡充する二本立ての戦略を進める考えだ。
米国からも現地生産拡大の圧力
ただ、最終的な投資判断までには課題も残る。
米国政府はSKハイニックスに対し、米国内でメモリー半導体の生産を拡大するよう求めている。同社は、米国での生産拡大と、日本で想定する投資規模をどう両立させるか慎重に判断する必要がある。
また、日本で大規模な製造投資を行う場合、歴史問題を抱えてきた日韓関係を背景に、韓国内で政治的な議論を呼ぶ可能性もある。
宮城県での工場建設が実現すれば、SKハイニックスは台湾積体電路製造(TSMC)とマイクロン・テクノロジーに続き、日本国内に製造拠点を持つ3社目の海外半導体メーカーとなる。
日本のメディアでは今年2月以降、韓国のメモリー半導体メーカーによる日本への投資の可能性が報じられてきた。
SKハイニックス「決定事項はない」
現時点で、投資計画が正式に決まったわけではない。8月21日、韓国取引所からの照会に対し、SKハイニックスは、メモリー事業の競争力強化に向け、生産施設の追加設置を含むさまざまな選択肢を検討していると説明した。
その上で、現時点では「決定事項はない」と回答した。同社は、具体的な内容が確定した場合、または1カ月以内に改めて開示するとしている。
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編集:梅木奈実 (関連記事: 日台韓の半導体株が全面安 SKハイニックス一時15%超急落、「買い場」との見方も | 関連記事をもっと読む )













































