【ドローン神話③】台湾が調達を終える間にも、ドローンは「週単位」で進化 ウクライナ戦争が変えた非対称戦

2026年8月16日、敵後方への長距離攻撃任務に投入されるウクライナ軍の第413独立無人システム連隊と長距離攻撃ドローン「FP-1」。(AP)
2026年8月16日、敵後方への長距離攻撃任務に投入されるウクライナ軍の第413独立無人システム連隊と長距離攻撃ドローン「FP-1」。(AP)

「ウクライナは、次の戦争形態が生み出されつつある実験室だ」

――米誌「ナショナル・ディフェンス」(National Defense Magazine)

ウクライナのゼレンスキー大統領(Volodymyr Zelensky)は昨年2月、ホワイトハウスでトランプ大統領(Donald Trump)とバンス副大統領(JD Vance)から公然と厳しい批判を浴びた。トランプ氏はゼレンスキー氏に「あなたにはカードがない」と言い放ち、バンス氏はウクライナが米国に「感謝していない」と批判した。この異様な光景に世界は騒然となり、ウクライナの命運は尽きたのではないかと危ぶむ声も多く上がった。当時、米国はウクライナにとって最大の単独軍事支援国であり、ワシントンが支援を大幅に削れば、ウクライナが戦場で持ちこたえるのは難しいとみられていたからだ。

それから1年半。米国のキーウへの支援は確かに大きく減り、欧州諸国が支援を増やして穴の一部を埋めようとしてきた。だがウクライナは前線でロシア軍と対峙し続けているばかりか、敵の後方への攻撃を繰り返し、ロシア領内深くのエネルギー施設や兵站・補給拠点、さらにはEC事業者の物流倉庫まで攻撃し、併合されたクリミア半島の孤立化も図っている。ロシアでは全国的な燃料不足が起き、クリミアも停電と燃料不足に陥って非常事態が宣言された。

2025年2月28日、ホワイトハウスの大統領執務室でウクライナのゼレンスキー大統領と言い争うバンス米副大統領(AP通信)
2025年2月28日、米ホワイトハウスの大統領執務室で、ウクライナのゼレンスキー大統領と応酬するバンス米副大統領。(AP)

ドローンを軸とした非対称戦

トランプ政権が全面的な後ろ盾でなくなった今、ウクライナはなぜ戦局を支え、反撃まで繰り返せるのか。米軍の退役大将で米中央情報局(CIA)長官も務めたデビッド・ペトレイアス氏(David Petraeus)は、ウクライナは革新的な技術と低コストのドローンを駆使した非対称戦で前線を守り続け、規模と火力で勝る相手に戦略的な圧力をかけ、多大な代償を払わせていると指摘する。ペトレイアス氏は、この手法でロシアの戦争マシンを真に破壊するのは難しいと認めつつも、相手を弱らせ、かき乱し続ければ、キーウが戦略的な局面を転換させる可能性は十分にあるとの見方を示した。

軍事専門家の間では、ウクライナのさまざまな非対称戦法の中でも、迅速に改良を重ね、大量生産される低コストのドローンが最も重要な要素だとの見方が広く共有されている。2026年に入ると、無人システムはロシア軍に多くの死傷者をもたらす主力兵器となった。ドローンのソフトウエアは毎週更新でき、ハードウエアも数週間ごとに改良される。この速度には、西側の防衛調達システムでさえ到底及ばない。 (関連記事: 【ドローン神話①】台湾はドローンだけで中国軍を食い止められるのか 米軍の「ヘルスケープ」、なぜ無人機は「主役」ではなくなったのか | 関連記事をもっと読む )

ウクライナがドローンで戦果を挙げる一方、ロシアも相手の出方に応じて手を打ち、同じくドローンに大きく依存して反撃している。ワシントンの米シンクタンク「新アメリカ安全保障センター」(CNAS)のステイシー・ペティジョン氏(Stacie Pettyjohn)は、双方がドローンを大規模に投入していることから、この紛争は「史上初の全面的なドローン戦争」(first full-scale drone war)とも見なされていると指摘する。

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