「平和には正義が必要」 ノーベル平和賞にナビ・ピレイ氏、国際法への貢献を評価

2026-10-10 08:21
国際司法裁判所(ICJ)の特任裁判官(アドホック裁判官)を務めるナビ・ピレイ氏。2026年のノーベル平和賞を受賞した。(AP)
国際司法裁判所(ICJ)の特任裁判官(アドホック裁判官)を務めるナビ・ピレイ氏。2026年のノーベル平和賞を受賞した。(AP)

2026年のノーベル平和賞が日本時間9日午後6時に発表された。ノルウェー・ノーベル委員会(Norwegian Nobel Committee)は、今年の平和賞(Nobel Peace Prize)をルワンダ国際刑事裁判所(ICTR)の元所長、ナバネセム(ナビ)・ピレイ氏(Navanethem “Navi” Pillay)に授与すると発表した。平和の促進と国際法の推進に向けた取り組みをたたえた。

ピレイ氏は85歳。南アフリカの法律家で国際人権活動家でもあり、2008年から2014年まで国連人権高等弁務官(UN High Commissioner for Human Rights)を務めた。南アフリカの高等裁判所で史上初の非白人女性判事でもある。

ノルウェー・ノーベル委員会は正式声明で「平和には正義が必要だ」(Peace requires justice)と強調し、今回の授賞を通じて、国家レベルでも国際レベルでも、法の支配(Rule of law)こそが社会が紛争を平和的に解決し、暴力を防ぐための根本的な礎だとのメッセージを発信した。

国際的な裁判所や裁判官が制裁を受け、制度そのものが攻撃にさらされる厳しい状況のなか、ピレイ氏は大きな勇気と先見性、揺るぎない信念によって、秩序と混乱を分ける一線を守ってきたという。

「歴史が示してきたように、法の支配が機能しない世界は、不公正で、賢明さを欠き、非人道的だ。普遍的な法原則を貫くピレイ氏の姿勢と揺るぎない道徳的指針は、より包括的な世界的法秩序への道を切り開いてきた」

2026年のノーベル平和賞を受賞した国際司法裁判所(ICJ)のナバネセム・ピレイ判事(AP通信)
国際司法裁判所(ICJ)の特任裁判官(アドホック裁判官)を務めるナビ・ピレイ氏。2026年のノーベル平和賞を受賞した。(AP)

南アフリカ法曹界で数々の「初」を打ち立てる

ピレイ氏は1941年、南アフリカのダーバン生まれ。ナタール大学(University of Natal)で文学士(B.A.)と法学士(LL.B.)の学位を取得した。1981年に「ハーバード・南アフリカ奨学金プログラム」で米ハーバード大学法科大学院に留学し、1982年に法学修士(LL.M.)、1988年に法学博士(S.J.D.)を取得した。

大学卒業後は弁護士として反アパルトヘイト活動家らの弁護に携わり、自らの法律事務所を設立。ナタール州で初めて法律事務所を開いた女性となった。1995年にはネルソン・マンデラ大統領(当時)の指名を受け、南アフリカ初の非白人女性の高等裁判所判事に就任した。

2026年10月9日、ノルウェー・オスロのノーベル研究所で、ピレイ氏の2026年ノーベル平和賞受賞を発表するノルウェー・ノーベル委員会のフリードネス委員長(AP通信)
2026年10月9日、ノルウェー・オスロのノーベル研究所で、ナビ・ピレイ氏の2026年ノーベル平和賞受賞を発表するノルウェー・ノーベル委員会のヨルゲン・ワトネ・フリードネス委員長。(AP)

2011年2月8日、エルサレムのホロコースト記念館「ヤド・ヴァシェム」を訪れた、当時国連人権高等弁務官だったピレイ氏(中央)(AP通信)
2011年2月8日、エルサレムのホロコースト記念館「ヤド・バシェム」を訪問した、当時国連人権高等弁務官のナビ・ピレイ氏(中央)。(資料写真、AP)
2011年2月10日、パレスチナ自治区ガザ市で、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)が運営するダラジ男女共学小学校を訪れた、当時国連人権高等弁務官だったピレイ氏(中央)(AP通信)
2011年2月10日、パレスチナ自治区ガザ市で、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)が運営するダラジ男女共学校を訪問した、当時国連人権高等弁務官のナビ・ピレイ氏(中央)。(資料写真、AP)

国際舞台での経歴も豊富で、ルワンダ国際刑事裁判所(ICTR)の判事と所長を歴任した。2003年には国際刑事裁判所(ICC)の判事に選ばれ、2008年まで上訴裁判部に在籍。2008年に潘基文(パン・ギムン)国連事務総長の指名を受けて国連人権高等弁務官に就任し、2014年にゼイド・ラアド・アル・フセイン氏が後任に就くまで務めた。

ノーベル平和賞の受賞者はノルウェー・ノーベル委員会が発表する(AP通信)
ノーベル平和賞の受賞者を発表するノルウェー・ノーベル委員会。(資料写真、AP)

現在は国際司法裁判所(ICJ)の特任裁判官(アドホック裁判官)として、「ガンビア対ミャンマー事件」(The Gambia v. Myanmar)を担当している。同事件は、ミャンマーによるイスラム教徒の少数民族ロヒンギャへのジェノサイド(集団殺害)をめぐり、ガンビアがジェノサイド条約違反を主張して提訴した裁判である。

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編集:梅木奈実

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