【独占インタビュー】櫻井よしこ氏「日台は協力しなければ共に生き残れない」 POWERR Asiaで中国レアアース依存脱却へ

国家基本問題研究所の櫻井よしこ理事長は10月11日、「2026台日科技未来フォーラム」で講演し、高市早苗首相が推進する「POWERR Asia」について紹介した。(蔡親傑撮影)
国家基本問題研究所の櫻井よしこ理事長は10月11日、「2026台日科技未来フォーラム」で講演し、高市早苗首相が推進する「POWERR Asia」について紹介した。(蔡親傑撮影)

アジアのエネルギー供給網の勢力図が塗り替えられようとしている。今年初めに中東の戦火で石油不足が起きると、日本は約1.5兆円(約100億ドル)規模の「POWERR Asia(パワー・アジア)」を打ち出し、産油国とアジアの消費国をつなぐ拠点に自らを位置付けるとともに、中国を当初の枠組みに含めない方針を示した。

国家基本問題研究所の櫻井よしこ理事長は10月11日、「2026台日科技未来フォーラム」で基調講演した後、台湾メディア『風傳媒(ストームメディア)』の英語ニュースサイト「The Storm Media」の独占インタビューに応じた。櫻井氏は、日本がPOWERR Asiaを軸に台湾や東南アジアと石油を共同で備蓄し、レアアースの情報を共有していくと説明。その中で台湾は支援を受ける側ではなく、「非常に重要なパートナー」だと強調した。

台湾と日本は同じ中国と向き合っており、エネルギーとレアアースにも共に対処しなければならない――。これが、櫻井氏が講演とインタビューで繰り返し訴えた主張だ。インタビューでは「私たちの国は台湾と本当に一生懸命協力をしなければ、お互いに生き残っていけませんから」と率直に語った。

櫻井氏は日本テレビのニュースキャスターを務めた後、2007年に国家基本問題研究所を設立し、以来理事長を務めている。日本の保守派を代表する論客の一人だ。

「2026台日科技未来フォーラム」は10月11日、台北で開かれた。右からインド太平洋戦略シンクタンクの矢板明夫執行長、岩田清文・元陸上幕僚長、王美花・前経済部長、国家基本問題研究所の櫻井よしこ理事長、石平参院議員(蔡親傑撮影)
「2026台日科技未来フォーラム」は10月11日、台北市で開催された。右から、インド太平洋戦略シンクタンクの矢板明夫CEO、元陸上幕僚長の岩田清文氏、王美花・前経済部長(前経済相)、国家基本問題研究所の櫻井よしこ理事長、石平参院議員。(蔡親傑撮影)

POWERR Asia 産油国とアジアの間に立つ日本

櫻井氏は講演で、高市早苗首相が推進するPOWERR Asiaを紹介した。中東で戦争が起きて世界的に石油が不足する中、「台湾も備蓄は多くありません。ベトナムも非常に少ない。フィリピンも少ない」と述べる一方、日本は200日分以上の石油備蓄を持っていると指摘した。

このため日本は、約100億ドル規模の金融協力を通じてアジア各国のエネルギー確保を支援し、サウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)などの産油国と、台湾や東南アジア諸国連合(ASEAN)などの消費市場の間に立ち、両者を結ぶ「結節点」になると説明した。

経済産業省のPOWERR Asia特設ページによると、高市首相は4月15日、オンラインで開かれた「AZECプラス」首脳会合で「アジア・エネルギー・資源供給力強靱化パートナーシップ」(POWERR Asia)の立ち上げを表明し、総額約100億ドル規模の金融協力を打ち出した。中東情勢の影響を受けるアジア諸国が原油・石油製品の調達やサプライチェーンを維持できるよう支援すると同時に、日本がアジアから重要物資を安定的に確保することを目的としている。

  • 国際協力銀行(JBIC):「日本戦略投資ファシリティ」の下に「POWERR Asia FASTウインドウ」を新設し、原油・石油製品の調達や、燃料不足の影響を受ける企業に融資する。
  • 日本貿易保険(NEXI):4月17日に社内プロジェクトチームを設置し、日本の商社が現地企業に原油を販売する取引への保険提供を検討する。
  • 国際協力機構(JICA):緊急円借款でパートナー国政府の経済対策を支援するほか、海外投融資を通じて現地企業の生産維持を後押しする。
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