台湾の半導体受託製造最大手、台湾積体電路製造(TSMC)は台湾の国慶節(双十節)の連休前に9月の売上高を発表した。単月ベースでは過去最高を記録した8月から小幅に減少したものの、5000億台湾ドルの大台を維持し、第3四半期の売上高は四半期ベースで過去最高を更新、会社側が前回の決算説明会で示した業績見通し(ガイダンス)の上限を上回った。
同社が8日に発表した2026年9月の連結売上高は約5118億5700万台湾ドルで、前月比0.6%減、前年同月比では54.6%増となった。今年1〜9月の累計売上高は約3兆8987億2700万台湾ドルで、前年同期比41.1%増となった。
市場では当初、9月の微減は一部顧客の出荷時期のずれによるもので、アップルの新機種向け需要や民生用電子機器の需要期入りを背景に、10月の売上高が再び増勢に転じるとの見方も出ていた。ただ、10月9日には、アップルが「iPhone 18 Pro」と「iPhone 18 Pro Max」向けの10月の部品発注を当初計画から少なくとも15%削減するよう一部サプライヤーに求めたと報じられており、今後の需要動向には不透明感も残る。
9月売上高は5000億台湾ドルを維持、引き続き高水準
TSMCの8月の売上高は5148億600万台湾ドルと単月の過去最高を更新したが、9月は5118億5700万台湾ドルとなり、前月比でわずか0.6%の減少にとどまった。5月から4カ月連続で続いた単月最高更新の勢いは一旦落ち着いたものの、9月はTSMCにとって5000億台湾ドルを上回った2回目の月であり、依然として歴史的な高水準を維持している。
ここ数カ月の業績を振り返ると、TSMCの売上高は5月が4169億7500万台湾ドル、6月が4426億8000万台湾ドル、7月が4675億8000万台湾ドルで推移し、8月には一気に5000億台湾ドルの大台を突破して5148億600万台湾ドルに達した。
9月は8月をわずかに下回ったものの、依然として5100億台湾ドル以上を維持しており、人工知能(AI)半導体、ハイパフォーマンス・コンピューティング(HPC)、先端プロセス、先端パッケージングへの需要が引き続きTSMCの売上高を高水準で支えていることが浮き彫りとなった。
第3四半期売上高は1.49兆台湾ドル、会社予想の上限上回る
さらに重要なのは、TSMCが前回の決算説明会で、第3四半期の売上高を446億~458億米ドル、為替レートの前提を1米ドル=32台湾ドルと予測していた点である。
これを換算すると、第3四半期の売上高見通しは約1兆4272億~1兆4656億台湾ドルの範囲となる。実際の第3四半期の月次売上高の合計が約1兆4942億台湾ドルに達したことを踏まえると、会社側が当初示した見通しの上限を上回っており、第3四半期におけるAI、HPC、先端プロセスへの需要が会社側の事前ガイダンスを上回る強さを示した。
前回の決算説明会では、第3四半期の粗利益率を65%~67%、営業利益率を56%~58%と予想していた。今回、第3四半期の売上高が当初の見通し上限を超えたことで、市場の関心は10月15日に開催される第3四半期の決算説明会へと向かっている。TSMCが第4四半期の需要や通期の見通し、さらには先端プロセスの量産拡大が粗利益率と営業利益率に与える影響について、どのような追加説明を行うかが注目される。
1〜9月累計売上高は3.9兆台湾ドルに迫る、前年比伸び率は41.1%に拡大
累計売上高を見ると、今年1〜9月の売上高は3兆8987億2700万台湾ドルに達し、前年同期比で41.1%増加した。1〜8月の前年同期比39.3%増と比較して、1〜9月では伸び率がさらに拡大しており、9月の売上高が単月の過去最高を更新しなかったとはいえ、累計ベースの増収率をさらに押し上げた。
今年のTSMCの売上高成長率は右肩上がりで推移しており、上半期が前年同期比35.6%増、1〜7月が同37.0%増、1〜8月が同39.3%増、そして1〜9月には同41.1%増へと拡大した。
これは下半期に入ってからも売上高が高水準を維持しているだけでなく、成長ペースが加速し続けていることを意味し、通期の売上高成長に対する市場の期待も一段と高まっている。
9月の微減でも第3四半期は上振れ 10月はアップル需要も焦点
9月の売上高は8月比で0.6%の微減となったが、市場関係者は、一部顧客の出荷時期のずれが影響した可能性があり、需要の反転を意味するものではないとみている。
市場では当初、アップルの新機種向け需要や民生用電子機器の需要期入りを背景に、TSMCの10月売上高が再び増勢に転じるとの期待があった。
市場が今後TSMCを注視するポイントは、第3四半期が業績見通しを上回ったかどうかから、第4四半期も月間売上高が5000億台湾ドル前後の高水準を維持できるかどうかへと移っていく。AIやHPC向け需要が引き続き強さを保てば、第4四半期の売上高を支える要因となる一方、スマートフォンを含む民生用電子機器の需要動向も焦点となる。
AIと先端プロセスが引き続き牽引、10月15日の決算説明会は第4四半期見通しに焦点
TSMCは前回の決算説明会で、第3四半期の業績は先端プロセスへの持続的かつ力強い需要の恩恵を受けるとし、その中には2nmプロセスの急速な立ち上がりも含まれると述べていた。
今回、第3四半期の売上高合計が1兆4900億台湾ドルを突破したことで、事前の強気な需要見通しが裏付けられただけでなく、10月15日(木)に開催されるオンライン決算説明会で通期見通しの上方修正が行われるか、あるいは第4四半期の需要についてより明確なシグナルが示されるかどうかに、市場の関心がさらに集まっている。
機関投資家にとっての今後の注目点は、単なる売上高の過去最高更新にとどまらず、その高成長が第4四半期や来年まで持続可能かどうかに移る。
AI半導体、HPC、3nmおよび2nmの生産能力、CoWoSなどの先端パッケージングの需給動向、さらには海外での生産能力拡張や粗利益率の推移などが、決算説明会での焦点となる。
特に第3四半期の売上高が換算後の業績見通し上限を上回ったことから、粗利益率も高水準を維持できるか、また2nmプロセスの量産立ち上げに伴う粗利益率への下押し圧力がどの程度となるかについて、市場はより強い関心を寄せるとみられる。
8日は2550台湾ドルで引け 連休前の持ち高調整も重荷
株価動向について、8日のTSMC株の終値は前営業日比35台湾ドル(1.35%)安の2550台湾ドルとなり、出来高は2248万4073株だった。
9月の売上高は取引終了後に発表された。国慶節連休前の持ち高調整に加え、台湾株全体が下落するなかで、TSMC株も売りに押されたとみられる。
株価は下落して引けたものの、TSMCの9月売上高は5000億台湾ドルの大台を維持し、第3四半期の売上高も四半期ベースの過去最高を更新することが確定し、会社側の当初の業績見通し上限を上回った。
市場にとって、短期的な株価変動とファンダメンタルズの高成長には一定の乖離がみられる。今後、株価が売上高の過去最高更新を改めて織り込むかどうかは、第3四半期決算説明会で示される第4四半期および通期見通しの内容がカギとなる。
第3四半期売上高は過去最高 第4四半期も勢いを維持できるか
TSMCの9月売上高は8月比で小幅に減少したものの、依然として歴史的な高水準にあり、第3四半期の売上高が過去最高を更新することも正式に確定した。第2四半期の1兆2700億台湾ドルから第3四半期の約1兆4900億台湾ドルへと、四半期ベースの売上高は新たな水準に達しており、AIと先端プロセスへの需要が引き続き事業を支える中核的な原動力となっていることが示された。
第3四半期の成績が確定したことで、市場の次の関心は第4四半期の見通しへと向かう。AIおよびHPCの需要が継続すれば、TSMCの通期売上高成長は引き続き力強い水準を維持する可能性がある。一方、アップルを含む民生用電子機器の需要については、新たな不透明感も浮上している。
投資家は、高水準の設備投資、海外ウエハー工場のコスト、為替変動、2nmの量産立ち上げに伴う粗利益率への下押し圧力についても同時に注視することになる。
9月の売上高が5000億台湾ドルを維持したことで、第3四半期は力強い締めくくりとなった。次に控える第3四半期決算説明会は、TSMCの第4四半期および来年のAIサプライチェーンの見通しを占う次の重要な試金石となる。