日本外国特派員協会(FCCJ)で記者会見が開かれ、ウェブ誌「ジャパン・エコノミー・ウォッチ」発行責任者で東洋経済特約記者のリチャード・カッツ氏が登壇し、発足した高市新政権が掲げる成長戦略や経済政策の妥当性について分析と批判を展開した。会見の司会は、日経アジアのアンディ・シャープ記者が務めた。
高市政権の成長戦略「幻想」 実質GDP1.8%目標に疑問
カッツ氏は会見の冒頭、高市首相が所信表明演説などで積極財政や投資主導の成長政策を強調したことについて、非現実的な公約だと指摘した。
過去の政権を引き合いに出し、安倍晋三元首相の2%成長目標や、岸田文雄前首相のスタートアップ100万人・所得倍増計画が未達に終わったのと同様に、高市氏が掲げる実質GDP成長率1.8%への引き上げ目標も「幻想」に基づいていると評した。
日本の過去数年の実質GDP成長率が約0.6%にとどまる中、官民連携による17の重点分野への投資で2030年に1.6%、最終的に1.8%へと成長を押し上げられるとする計画について、40年前の高成長期を持ち出すようなものであり、達成は極めて困難だとの見解を示した。
食料品減税の財源は「法人優遇税制の見直しで確保可能」
国民生活を圧迫する食品などの物価高や消費税をめぐる議論に関し、カッツ氏は財源論について言及した。
日本は長年にわたり消費税率を引き上げる一方、経団連などの要望に応じて法人税減税を進めてきた経緯があり、企業の経常利益がGDP比で1994年の4%程度から現在は約18%に拡大していると指摘した。
法人に対する優遇税制の見直しや適正な課税を行えば、食料品に対する減税の財源は経済的には十分に確保できるとしつつも、政治的な障壁や、野党側が明確な対案と合意を提示できていない現状が是正を阻んでいると分析した。
国債金利上昇でも「直ちに財政危機ではない」
市場で懸念される財政破綻や長期金利の急騰リスクについては、過度な危機論を否定した。
10年物国債の利回りが上昇しても、過去の低金利環境で発行された国債の平均利払いは極めて低く抑えられており、OECDの試算でも日本の利払い費は当面GDP比1%未満にとどまる見込みであるため、直ちに財政危機に直結するわけではないと説明した。
円安の主因は「日本経済の国際競争力低下」
為替市場における円安の背景については、日米の金利差だけでなく、日本経済の根本的な国際競争力の低下が主因だと主張した。
日銀が利上げを行えば円安が即座に解決するという見方は短絡的であり、株式市場における企業の生産性格差や、非効率な中小企業の温存が構造的な課題になっていると述べた。 (関連記事: 日本の10代、死因1位は自殺 遺族と映画監督が訴える「ただ隣に寄り添う」支援 | 関連記事をもっと読む )
また、エネルギー政策についても、世界的に再生可能エネルギーや蓄電池のコストが低下しているにもかかわらず、化石燃料依存からの脱却や送電網の抜本的な近代化が遅れており、高市氏が掲げる政策には根本的な転換が見られないと批判した。













































