【舞台裏】台北市長選、沈伯洋氏が蒋万安氏を猛追 国民党・民衆党連携も、ネットで民衆党支持者「小草」の勢い見えず

民進党の台北市長候補、沈伯洋氏(左、劉偉宏撮影)が、再選を目指す蒋万安市長(右、柯承惠撮影)を猛追している。(合成写真/風傳媒)
民進党の台北市長候補、沈伯洋氏(左、劉偉宏撮影)が、再選を目指す蒋万安市長(右、柯承惠撮影)を猛追している。(合成写真/風傳媒)

首都・台北の市長選は当初、国民党の現職、蒋万安市長が「寝ていても勝てる」とみられていた。ところが投票日(11月28日)が近づくにつれ、民進党の台北市長候補、沈伯洋(しん・はくよう)氏が蒋氏に迫る勢いを見せている。台湾のテレビ局TVBSが先ごろ発表した最新の世論調査では、蒋氏の支持率49%に対し沈氏は41%。両者の差は5月の28ポイントから8ポイントに縮まり、蒋氏はもはや安泰とは言えなくなった。

沈氏の支持率はなぜ上昇しているのか。複数の国民党の台北市議らによると、沈氏の出馬後、蒋氏は「毒油事件」(大手食用油メーカー「中聯油脂」の大豆油から発がん性物質が検出された問題)をめぐって民進党中央と頼清徳総統に対抗し、7月25日には抗議集会を呼びかけて街頭に出た。これで蒋氏は一時、国民党陣営の「盟主」となり、勢いに乗って2028年の総統選に直接挑むべきだとの声まで出た。

しかし、蒋氏の攻勢はそこで頭打ちになった。蒋氏が国民党と民進党の対決の最前線に立ったことで、台北市の民進党支持者が「隠れ支持」から表に出るようになり、沈氏を支持し始めたと分析する市議もいる。

蒋氏が内閣不信任案の提出を訴えたことで「毒油」への抗議運動が唐突に幕を閉じると、続いて台北市議会が開会し、民進党は市政の問題を集中的に追及した。喫煙所、児童虐待事件、キノコ型の日よけパラソル、学校給食の無償化政策などだ。

民進党の簡舒培市議らが「金華国民中学校の給食で集団食中毒が起きた」と追及した件は、台北市教育局と衛生局の調査や科学的な検査で食材と保存食がすべて基準を満たしていたことが確認され、指摘が誤りだったことが判明した。

それでも、「総統選並み」の激しい攻撃によって、蒋氏の市政運営が振るわないという印象が生まれたのは確かだ。多くの台北市議は、議会の会期中に蒋氏が守勢に回り、民進党と沈氏が攻勢に転じたことで、情勢が変わり始めたと認める。

民進党は喫煙所、児童虐待事件、キノコ型の日よけパラソル、学校給食の無償化政策など市政の問題を集中的に追及し、再選を目指す蒋万安市長は対応に追われた。(資料写真、柯承惠撮影)
民進党は、喫煙所や児童虐待事件、キノコ型の日よけパラソル、学校給食の無償化政策など市政をめぐる問題で攻勢を強めており、再選を目指す蒋万安市長は対応に追われている。(資料写真、柯承惠撮影)

「洋流」は支持層の外に広がったか 国民党「韓流とは比べものにならない」

その後、台北市では「洋流」(沈氏の名の一字「洋」にかけ、沈氏への支持の広がりを海流にたとえた言葉)が起き始めた。

だが、沈氏の「洋流」は本当に従来の支持層を超えて広がったのか。その勢いはどれほどなのか。

台中、桃園、台北の国民党の議員らは台湾メディア『風傳媒(ストームメディア)』に対し、人出は「韓流」(2018年の高雄市長選で国民党の韓国瑜氏が巻き起こしたブーム)とはまるで比べものにならないと口をそろえる。 (関連記事: 【舞台裏】沈伯洋氏の「洋流」に国民党が警戒 蒋万安氏との差縮小、「静かな選挙戦」から転換へ | 関連記事をもっと読む )

民進党の中核支持層や陣営スタッフが各地でグッズを配り、周囲の人々にも「当選(ドンスアン)!」と声を合わせてもらって盛り上げているのだという。沈氏が行事を開く2、3日前から地元の議員が宣伝カーを借りて地域を回るケースや、台北でも2025年の「大リコール」(国民党の立法委員らを対象とした大規模なリコール運動)の際にリコール団体にいた顔ぶれが現れているという。

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