「AI特区は松山空港移転を待つ必要ない」民進党の高雄市長候補、アジア新湾区への誘致訴え

民進党の高雄市長選候補、頼瑞隆氏(手前中央)は、松山空港の移転検討と開発には少なくとも10年以上を要すると指摘した。(資料写真/頼瑞隆事務所提供)
民進党の高雄市長選候補、頼瑞隆氏(手前中央)は、松山空港の移転検討と開発には少なくとも10年以上を要すると指摘した。(資料写真/頼瑞隆事務所提供)

台北市の蒋万安市長が先ごろ推進を表明した、台北松山空港を移転し、跡地を「AI(人工知能)特区」として再開発する構想を巡り、台湾与党・民進党の立法委員(国会議員)で次期高雄市長選への出馬を表明している頼瑞隆氏が12日、「AI特区に松山(空港移転)を待つ必要はない。産業の未来は(高雄市の)アジア新湾区(亜湾)にある」と題した記者会見を開いた。

頼氏は、松山空港の移転検討から開発までに少なくとも10年を要すると指摘し、グローバルなAI競争が一刻を争う中、産業界に時間的猶予はないと強調。一方で、高雄市のアジア新湾区はすでに10年前から先行投資を行っており、土地、電力、人材の全てが整備されていると説明した。中央政府や米エヌビディア(NVIDIA)、米アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)などの大手テクノロジー企業に対し、「松山を待つ必要はない」と述べ、直接高雄に進出するよう呼びかけた。

頼氏は、エヌビディアの最高経営責任者(CEO)、ジェンスン・フアン(黄仁勲)氏が提唱する「5層ケーキ理論」を引用し、土地と電力がAI産業発展の重要な基盤だと指摘。土地の整備状況について、高雄のアジア新湾区は590ヘクタールの敷地を有し、関連作業はすでに完了しており、いつでも企業の進出を受け入れる体制が整っていると述べた。さらに、隣接する第205兵器廠の58ヘクタールの土地もすでに移転が完了しており、将来的に迅速な拡張開発が可能だという。これにより、AI特区、オフィスビル、研究開発センター、住宅、公園・緑地を網羅した完全な産業クラスターを提供できると表明した。

テクノロジー業界が強い関心を寄せるエネルギー問題について、頼氏は具体的なデータを提示。高雄市は南部発電所(前鎮区)、興達発電所(永安区)、大林発電所(小港区)を擁し、全体の電力自給率が134%を超えていると指摘。AIコンピューティングセンターが求める膨大な電力需要を賄うのに十分であるだけでなく、他県市に電力を供給する余裕すらあると述べた。対照的に、台北市の電力自給率は約2%に留まっていることに触れ、「台北は将来のコンピューティングセンターに必要な膨大な電力をどのように供給するつもりなのか」と疑問を呈した。

人材育成と交通インフラの整備についても、行政院(内閣)が132億台湾ドル(約650億円)を投じて高雄での産学連携による人材育成を推進していると説明。清華大学、陽明交通大学、中山大学、高雄大学を連携させ、半導体とAI分野の堅実な人材プールを構築していると述べた。交通アクセスについては、アジア新湾区からMRTで高雄国際空港(小港空港)までわずか3駅、台湾高速鉄道(高鉄)左営駅まで5駅という利便性を強調した。小港空港における将来の新ターミナル建設工事や、24時間運用が可能な海上新空港構想、さらには国道7号線およびMRT紅線・黄線の路線網整備と相まって、海外の高度IT人材に極めて利便性の高い交通インフラを提供できると説明した。​

頼氏は、かつてファウンドリーの台湾積体電路製造(TSMC)の工場誘致に成功した際と同様、現在のアジア新湾区は「すでに完成形」だと強調した。自身と現職の陳其邁高雄市長が描く「1つの空港、3つのセンター(AIコンピューティングセンター、半導体先進製造プロセス・パッケージングセンター、重点分野学際研究特区・人材育成センター)」のビジョンにおいて、アジア新湾区はその中核拠点になると位置付けた。その上で、中央政府およびグローバル企業に対し拠点展開の加速を求め、エヌビディアやAMDなどの指標企業が高雄にコンピューティングおよび研究開発センターを設立し、官民連携で高雄を台湾の次世代中核産業ハブへと成長させることを大いに歓迎すると結んだ。

編集:平松靖史

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