トランプ氏「ロシア・ウクライナ、エネルギー停戦で合意」 ゼレンスキー氏「初耳」、ロシア軍は攻撃継続 2026年9月、ニューヨークで開かれた国連総会に出席したウクライナのゼレンスキー大統領(左)は、トランプ米大統領と会談した。トランプ氏は10月11日、ロシアとウクライナの「エネルギー停戦」を発表したが、ゼレンスキー氏は事前に知らされていなかったと明らかにした。(AP通信)
トランプ米大統領は11日、自身のSNS「Truth Social」で、ロシアとウクライナの「エネルギー停戦」が即時発効したと発表した。同氏は「双方がすでに合意した」とした上で、「違反してはならない」と警告したが、詳細は明らかにしていない。ロシア側から直ちに反応はなかった。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領(Volodymyr Zelenskyy)は、米ニュースサイト『アクシオス(Axios)』の取材に対し、この停戦について「私にとっては初耳だ」と述べた。ゼレンスキー氏は現地時間11日夜、トランプ氏の発表後もロシア軍によるウクライナのエネルギー施設への攻撃が続いており、同日夜には北東部ハルキウの発電所が攻撃を受けたと指摘した。
トランプ氏は投稿で「ただ今より、ロシアとウクライナ間の戦争においてエネルギー停戦を実施する。双方がすでに合意した。違反してはならない」と記した。AP通信は、トランプ氏の投稿には具体的な詳細は示されておらず、ロシア大統領府(クレムリン)から直ちに反応はなく、米ホワイトハウスからも説明はないと強調している。
キーウ「停戦に応じる用意」、ロシア軍の攻撃は続く ゼレンスキー氏は『アクシオス』に対し、停戦は「私にとっては初耳だ。しかし、ロシアがエネルギー停戦に合意するならば、ウクライナも同意する」と述べた。さらに、「トランプ大統領とロシア大統領のウラジーミル・プーチン氏(Vladimir Putin)の間で話がまとまったのであれば、停戦がいつから始まるのか教えてほしい。我々にはその準備ができているし、受け入れる用意がある」と付け加えた。
米誌『タイム』の報道によると、ゼレンスキー氏はその後、Xで、ウクライナは停戦を支持しているとした上で、「ロシアも停戦を支持することが同様に重要だ」と発信した。ロイター通信は同氏の投稿を引用し、「今日一日中、ウクライナ上空はロシアの無人機『シャヘド(Shahed)』で覆われていた」「滑空爆弾による攻撃もあり、我々のエネルギーインフラも攻撃を受けた」「今夜、ハルキウの発電所が攻撃された」と報じた。
ゼレンスキー氏は同日、米ABCニュースの番組『ディス・ウィーク』のインタビューに応じ、ロシア側がウクライナのエネルギーシステムへの攻撃を停止する限り、ウクライナはロシアの製油所への攻撃を停止する用意があると述べた。同氏は「我々はトランプ大統領に対し、ウクライナのエネルギーインフラを攻撃しないよう、彼ら(ロシア)にシグナルを送るよう求めている」と語った。
3日間で相次いだトランプ氏の動き 今回の発表の2日前、トランプ氏はプーチン氏と電話会談したばかりだった。トランプ氏は日本時間10日未明に投稿し、ロシア側が「直ちに」米国および世界市場へ30万トン以上のディーゼル燃料を供給すると発表した。同時に米財務省は暫定的な一般許可を発行し、ロシア産ディーゼルの世界市場への供給を認めた。AP通信は、これは中間選挙を前に燃料価格対策としてトランプ氏がまとめた取引であり、ウクライナや欧州の当局者はこれに困惑していると報じている。
米国時間10日、トランプ氏はさらに、ウクライナには新たな大統領が必要だとの考えを示した。AP通信の報道によると、トランプ氏はウクライナが「合意に達することができる新たな指導者を見つけるべきだ」と述べ、ゼレンスキー氏の戦争終結への努力が不十分であると示唆したほか、米国のディーゼル燃料価格高騰はゼレンスキー氏の責任だとした。
ゼレンスキー氏はABCのインタビューでこれに対し、「トランプ大統領を尊重しているが、誰を指導者に選ぶかは我々の社会、我々の国民にかかっている」と応じた。同氏は、ロシアが60日間の停戦に合意すれば、ウクライナは選挙を実施できるとし、「我々に2カ月、60日間を与えてほしい。60日間の全面停戦が実現すれば、我々は選挙を実施する」と述べた。また、米CBSによると、ウクライナ外相のアンドリー・シビハ氏(Andrii Sybiha)は日本時間11日未明、Xへの投稿で「彼(ゼレンスキー氏)はウクライナ国民の支持を得ており、決める権利は国民にある」と表明した。
AP通信によると、2022年2月のロシアによる全面侵攻以降、ウクライナは現在に至るまで戒厳令を敷いており、憲法により戒厳令下の選挙実施は禁止されている。ゼレンスキー氏の任期は2024年5月に満了したが、後任者が就任宣誓を行うまでは同氏の留任が憲法で認められている。
米ホワイトハウスの「製油所優先」構想 『アクシオス』は匿名のホワイトハウス当局者の話を引用し、米国側の構想は、まず製油所への攻撃停止について合意し、その後、発電所や送電網への攻撃停止について協議することだと報じた。この当局者によると、トランプ氏はゼレンスキー氏が米国の支援を当然と見なしていると考え、「本当に怒っている」という。
一方、匿名のウクライナ当局者は『アクシオス』に対し、この提案は不均衡だと述べた。ウクライナには被害を受けた製油所が1カ所しかないのに対し、ロシアには多数存在するためだ。「我々はディーゼル燃料や天然ガスを輸入している。我々が必要としているのは、ロシア側が我々の送電網への攻撃を停止することだ」と同当局者は語った。
『アクシオス』はまた、米国のスティーブ・ウィトコフ特使(Steve Witkoff)とジャレッド・クシュナー氏(Jared Kushner)が当初モスクワへの訪問を計画していたが、ウクライナと欧州が新たな共同提案を支持するかどうか態度を表明するまで、モスクワ訪問は一時見合わせとなっていると報じた。
戦場に休戦の兆しなし 停戦発表の前後を通じて、双方の攻撃は停止していない。AP通信の報道によると、ロシア軍は10日、ウクライナ南東部ザポリージャを爆撃し、子供4人を含む23人が死亡、30人以上が負傷した。捜索救助活動はすでに終了している。ロイター通信はゼレンスキー氏の発言を引用し、米国のディーゼル制裁解除に対するロシア側の「返答」は、「ザポリージャの住宅ビルに5発の滑空爆弾を投下することだった」と報じている。
2026年10月10日、ウクライナ南東部ザポリージャで、ロシア軍の空爆により破壊された集合住宅のがれきを撤去する救助隊員。(AP通信) 一方、ウクライナもロシア国内の標的への攻撃を継続している。AP通信の報道によると、ウクライナ軍の無人機が11日、ロシアのインターネット大手「ヤンデックス(Yandex)」がモスクワ東方のウラジーミルに構えるデータセンターの機能を停止させた。ヤンデックスの施設が攻撃を受けたのは過去4日間で3度目となり、ロシア国内の数十都市のほか、カザフスタン、ベラルーシ、アルメニアのユーザーにも影響が及んでいる。
ヤンデックス・クラウドは「データセンターの稼働は完全に停止した。負傷者はいない」と発表した。また、ロシア・ブリャンスク州の地元当局者は、ウクライナ軍の無人機攻撃により男性1人が死亡、女性2人が負傷したと述べている。
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