中国軍、ウクライナ戦争から何を学んだのか ドローン・電子戦・飽和攻撃を強化、台湾国防部が分析
国防部は31日、2026年版「中共軍力報告書」を公開し、中国の政治・軍事に関する概況、軍事開発および兵器調達、軍事訓練と戦力評価などについて解説した。(資料写真/AP通信)
台湾の国防部(国防省)は31日、中国の軍事力に関する2026年版の年次報告書「中共軍力報告書」を公開した。同報告書は、中国の政治・軍事に関する概況、軍事開発および兵器調達、軍事訓練と戦力評価、台湾への脅威および対象を絞った活動、の4章で構成されている。
軍事訓練の項目において国防部は、中国人民解放軍(中国軍)がロシア・ウクライナ戦争の教訓を演習に組み込んでいると指摘。さらに最近の米国・イスラエルとイランの軍事衝突も積極的に観察し、弾薬の消耗、防空迎撃システムの負荷、産業動員、同盟国との連携の脆弱性などを分析していると警告した。
これにより、中国軍は聯合訓練(合同訓練)において、飽和攻撃、持久戦に耐えうる後方支援の強靭性、多領域作戦(マルチドメイン作戦)下での指揮統制システム防護をより重視するようになっている。
国防部はこの日、「中共軍力報告書」のほか、「2027年度国防部予算案」および「5カ年兵力整備・施政計画報告書」を立法院(国会)に提出した。
有人・無人兵器の連携進める
中共軍力報告書によると、中国軍はロシア・ウクライナ戦争や米イスラエル・イラン間の対立など、近年の国際紛争の教訓を軍事訓練の調整に積極的に反映させている。ロシア・ウクライナ戦場で多用される「群ドローン(ドローンスウォーム)」、FPV(一人称視点)型ドローン、電子戦と対ドローン防衛、さらに後方支援の持続性や情報優位性の奪取といった実戦状況を観察。
その結果、中国軍は有人・無人兵器の連携、複雑な電磁環境下での対抗戦、低コストの消耗型無人システムの運用、および諸兵科連合部隊(合成部隊)の末端単位における連携訓練の頻度を高めているという。
国防部の指摘によれば、中国陸軍では、ロシア・ウクライナ戦争の教訓から、諸兵科連合旅団(合成旅)は末端部隊における有人・無人連携と電子戦対抗訓練を強化。大規模な部隊集結を減らし、訓練頻度を高めるとともに、対ドローン防衛、戦場での偽装、機動力を向上させている。また、水陸両用部隊は上陸演習に無人兵器を活用した共同作戦の項目を組み込んでいる。
民間貨物船による兵力輸送と無人艇の連携
さらに、複数戦区をまたぐ聯合作戦演習を通じ、諸兵科連合旅団による多兵科演習を実施し、無人システムを統合した共同作戦を展開している。水陸両用部隊は海、空軍と連携して立体的な上陸作戦を行い、民間のRORO(ロールオン・ロールオフ)船を活用した兵力・装備の輸送訓練を実施。陸軍航空隊、特殊作戦部隊、空中強襲部隊は空中突撃や垂直降下の支援演習に参加し、海上プラットフォームを通じた燃料や弾薬の補給訓練を行っている。砲兵部隊は内陸および沿岸地域において、火砲や長射程多連装ロケット砲の実弾射撃訓練を実施している。
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国防部によると、海軍については、ロシア・ウクライナ戦争における水上無人艇(USV)や電子戦による艦艇への脅威を参考にし、空母や強襲揚陸艦の編隊による防空、対潜水艦戦、無人艇との連携、遠隔指揮統制に関する訓練を強化し、対ドローン防衛や飽和攻撃に対する防御訓練を追加している。
空軍については、攻撃側と防御側に分かれての対抗式訓練、多機種編隊の連携、ドローンスウォーム、海空統合作戦などを演習の重点としている。模擬対抗戦や遠海環境の活用を通じて、指揮・意思決定、海空の航空機・艦艇の連携、統合作戦の指揮統制能力を検証している。
また、ロシア・ウクライナ戦争でのドローン活用や電子戦、米国・イスラエル・イラン間の対立における防空システムの負荷の教訓を踏まえ、有人・無人連携、低空ドローン防衛、電子対抗戦、統合防空訓練、複雑な電磁環境下での遠隔指揮統制と打撃演習を強化している。
ロケット軍については、実戦化、システム統合、技術運用を重視。他戦区への移動訓練、昼夜を問わない野外での機動集結、電磁対抗戦、戦場での緊急修理、実弾射撃などの訓練を実施している。
サイバー部隊のAI導入進む
軍事航天部隊(宇宙部隊)については、衛星の運用管理、宇宙状況把握(SSA)、測位・ナビゲーション、領域横断型の情報支援に重点を置き、衛星の打ち上げ、軌道上機動、複雑な電磁環境下での対抗戦、統合作戦などの要素を組み込んでいる。また、合同演習に参加し、陸海空軍およびロケット軍と連携して、重要空海域の封鎖、総合的な制空・制海・制宙権の奪取、領域横断的な情報支援などに関する演習を実施している。
網絡空間部隊(サイバー部隊)については、作戦能力の向上に重点を置き、人工知能(AI)、ビッグデータ分析、情報化指揮などの技術を導入している。サイバー・電子対抗訓練を通じて、ネットワーク侵入、サイバー攻撃と防御、情報システムの保護と迅速な復旧、光ケーブルの緊急修理、データリンクの保護などに関する演習を行っている。
信息支援部隊(情報支援部隊)については、情報支援と指揮統制・通信能力の構築に焦点を当て、中央軍事委員会や戦区指揮統制センターの通信ネットワークの運用・保守、指揮統制リンクの維持、情報システムの統合など、中核となる演習を重視している。
聯勤保障部隊(統合後方支援部隊)については、統合後方支援メカニズムに焦点を当て、迅速な支援、戦場での補給、装備の保守、緊急修理、戦傷救護などの訓練を実施している。また、「軍民融合」発展メカニズムを継続的に推進し、地方の交通運輸、人的資源、物資供給システムを統合し、戦時動員と後方支援体制の運用に組み込んでいる。
武装警察部隊については、各警察部隊の専門的かつ実戦的な訓練を強化し、突発事態への緊急対応、対テロ・治安維持、海上での権益維持・法執行などの任務遂行能力を向上させている。また、民間船舶を利用した兵力輸送や支援の演習を実施している。海警局(沿岸警備隊)の部隊は海上民兵と結託し、海上での権益維持・法執行、目標偵察、グレーゾーン作戦、合同封鎖、合同捜索救難などの訓練を展開し、海軍艦艇と合同で法執行演習を行っている。
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