令和9年度(2027年度)の概算要求において、防衛省は防衛力整備計画対象経費として歳出ベースで約9兆円、契約ベースで約8兆円を計上した。
現行の「三文書」策定時の想定を上回る速度と複雑さで国内外の情勢が変化していることを受け、防衛省は「三文書」を改定し、5年以内に防衛力を変革することで抑止力と対処力を大幅に強化する方針である。
「新しい戦い方」への対応、持続的な対応能力、防衛力の基盤の3本柱と9項目を重視し、防衛と経済の好循環を通じて我が国の独立と平和を守り抜く体制を確立する。
AI・無人兵器など「新しい戦い方」へ対応
第一の柱である「新しい戦い方」への対応では、AI、無人アセット、スタンド・オフ防衛能力、統合防空ミサイル防衛、宇宙、サイバーの6分野において抜本的な能力強化を図る。
AI分野では、統合作戦司令部の意思決定支援システムの整備や次世代AIプラットフォーム「AIオーケストレーター」の構築、高機密ソブリンクラウドの導入を推進し、迅速かつ高度な意思決定を可能にする。
無人アセット分野では、人的損耗を局限しコスト優位を実現するため、滞空型UAV「MQ-9B」の取得や各種攻撃用UAV、汎用小型UGVの開発を進める。
スタンド・オフ防衛能力に関しては、極超音速誘導弾の開発や潜水艦発射型誘導弾の取得に加え、安価な攻撃手段との組み合わせやターゲティング能力の確保に注力する。
統合防空ミサイル防衛では、中SAM(改)能力向上型の取得やペトリオット・システムの能力向上を図り、被害低減機能としてデコイの取得等も強化する。
さらに、宇宙領域における脅威を早期探知するSDA衛星の整備や、能動的サイバー防御関連法に基づくサイバー作戦能力の強化など、領域横断作戦能力を拡充する。
シーレーン防衛を強化、輸送力と監視態勢を拡充
第二の柱である持続的な対応能力では、各種弾薬、誘導弾、燃料等の物資確保に加え、輸送機C-2や多用途ヘリUH-2の取得、自動運航技術を搭載した輸送船舶の調査研究により機動展開能力を高める。
また、太平洋・シーレーン防衛の要として、「いずも」型護衛艦の改修や太平洋島嶼部(北大東島など)での警戒監視態勢の構築に向けた施設整備を推進し、自衛隊の活動基盤と国民生活を支えるための体制を強化する。
防衛産業と人材基盤を強化、持続可能な防衛体制へ
第三の柱である防衛力の基盤については、防衛生産・技術基盤の強化に向けて国の関与を担保した新たな法人を設置し、国内生産基盤の強化、防衛装備移転、防衛イノベーションの促進を一体的に推進する。
人的基盤の面では、「自衛官の処遇・勤務環境の改善及び新たな生涯設計の確立に関する基本方針」に基づき、給与体系の独自見直しや女性自衛官の基盤整備を進めるほか、退職自衛隊員・家族支援庁(仮称)の設置を含む支援施策を強力に推進する。
組織編成においても、防衛協力や後方支援機能を強化するための局新設を含む内部部局の体制強化、航空宇宙自衛隊における予備自衛官補制度の導入などが行われる。
その他の取組として、日米同盟の抑止力・対処力を強化するための米軍再編事業の着実な実施や、インド太平洋地域等における多角的な安全保障協力の推進が盛り込まれている。
さらに、防衛産業の基盤強化に向けた税制改正の要望、補助金・基金の見直しによる予算執行の適正化などを通じて、防衛装備品の計画的・安定的・効率的な取得に向けた最適化への取組を継続していく。
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編集:小田菜々香













































