「中国の台湾侵攻は可能性低い」米シンクタンクで広がる見方 浮上する米軍「第2列島線」後退論

淡江大学国際事務・戦略研究所の馬準威助理教授は『風傳媒(ストームメディア)』の取材に対し、米シンクタンクでは中国軍による台湾侵攻の可能性は低いとの見方が広がる一方、米軍が第2列島線へ後退する可能性には注意が必要だと分析した。写真は北京の天壇での中国の習近平国家主席。(AP)
淡江大学国際事務・戦略研究所の馬準威助理教授は『風傳媒(ストームメディア)』の取材に対し、米シンクタンクでは中国軍による台湾侵攻の可能性は低いとの見方が広がる一方、米軍が第2列島線へ後退する可能性には注意が必要だと分析した。写真は北京の天壇での中国の習近平国家主席。(AP)

米シンクタンク「ディフェンス・プライオリティーズ(Defense Priorities)」は9月、米国が軍事的な重心を第1列島線から第2列島線へと段階的に後退させ、台湾、日本、韓国、フィリピンに対する防衛コミットメントを縮小し、さらには台湾有事に直接介入すべきではないと主張する報告書を発表した。

これについて、台湾・淡江大学国際事務・戦略研究所の馬準威助理教授は台湾メディア『風傳媒(ストームメディア)』の取材に対し、こうした動きは異例であり、注意して見ていく必要があると指摘した。同時に、ワシントンのシンクタンクで共有されている中国による台湾への武力行使の可能性についても、自身の見方を語った。

馬氏は今夏、米ワシントンのハドソン研究所(Hudson Institute)で研究活動を行い、その間、アメリカ・ファースト政策研究所(America First Policy Institute)、ブルッキングス研究所(Brookings Institution)、ヘリテージ財団(The Heritage Foundation)、スティムソン・センター(Stimson Center)などの関係者とも交流した。これらのシンクタンクは政治的立場も幅広く、議論したテーマには台湾海峡情勢も含まれていた。

米シンクタンク、中国の台湾侵攻「可能性は極めて低い」との見方

馬氏によると、台湾海峡情勢をめぐる各シンクタンクの見方はかなり一致しており、中国が武力で台湾に侵攻する可能性は極めて低いとの認識が広く示されたという。

具体的な時間軸は明示されなかったものの、全体としては、予見可能な将来に中国が台湾への武力行使に踏み切る可能性は低いとみているという。

馬氏は、こうした印象を持った理由について、これらのシンクタンクはいずれもワシントンの政策形成に近い位置にあり、米政府の政策の方向性や情勢判断を全く把握していないとは考えにくいと説明する。

そのため、米シンクタンクのこうした声は、現在のワシントンの政策コミュニティーの認識を一定程度反映している可能性があるという。

仮にホワイトハウスを含む政策関係者が、中国による台湾侵攻が間近に迫っていると本当に判断しているのであれば、シンクタンク側にも危機感が伝わり、情勢が極めて緊迫しているとの発信が増えるはずだ。しかし、今回の交流を通じて馬氏が受けた印象は、それとは異なり、中国が近く武力行使に踏み切る可能性は低いというものだった。

20260112-インターネット番組に出演した淡江大学国際事務・戦略研究所助理教授の馬準威氏と風傳媒の楊騰凱記者。(写真・陳品佑撮影)
淡江大学国際事務・戦略研究所の馬準威助理教授は、米シンクタンクでは中国軍による台湾への武力侵攻の可能性は低いとの見方が示される一方、ワシントンでは米軍の第2列島線への後方移転が議論されている兆候もあると指摘した。(資料写真、陳品佑撮影)

馬氏は、今年8月にワシントンへ赴く前、米外交問題評議会(Council on Foreign Relations、CFR)が公表する世界の紛争リスク評価も確認したという。 (関連記事: 【ドローン神話②】「米軍には台湾海峡で『ヘルスケープ』をつくれない」 元参謀総長「台湾は自力で守るしかない」 | 関連記事をもっと読む )

前の数年間の評価から、台湾海峡は危険度の高い紛争の火種とみられているとの印象を持っていたため、今回も高いリスク評価が示されると予想していた。ところが、台湾海峡をめぐるリスク評価は従来より下がり、「中程度」とされていた。

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