人工知能(AI)が製造業の変革における焦点となる中、既存のエンジニアがすぐに使いこなせるとは限らない。和大工業グループ(証券コード:1536)の総裁で、格斯科技(同:6940)の董事長を務める沈国栄氏が、台湾メディア『新新聞』の単独インタビューに応じた。沈氏は、AI導入に際し、社内のエンジニアや研究開発チームにも「分かったようで分かっていない」状況があると明かした。産学連携を通じて社内の中核チームを育成することは可能だが、AIの訓練や対話、実務への応用を段階的に理解するには、少なくとも1~2年は必要だとの見方を示した。
「社内のエンジニアや研究開発チームは、AIについて分かったようで分かっていない状態だ」と沈氏は語る。
難しさは基本的な操作から始まる。データをどう入力するか、システムにどう学習させるか、AIとどう対話するかなど、改めて学ぶ必要があるという。
データと実務応用から始まるAI導入の課題
沈氏は、AIは生産性を高めると指摘する。伝統産業が長期にわたりこうした新しいツールを取り入れなければ、進歩の速度が鈍り、競争力にも影響しかねないという。
ただ、「AIの重要性を認識すること」と「どのように導入するかを理解すること」は別の問題だ。
これまで製造現場の多くの作業は、熟練工の経験に頼ってきた。新たなツールを既存の工程に組み込むには、企業はまずどこから手を付けるべきかを理解する必要がある。
沈氏はパン作りを例に挙げ、食材、塩味、甘み、香りなどの判断にもAIを活用できる可能性があると説明した。一方で、本当の課題は、企業がこうした経験をAIが学習・活用できる形にどう変換するかにあるという。

そのため、エンジニアが持つ製造分野の専門知識と、新たなツールを扱う能力を結びつける必要がある。
沈氏は、関連する能力を持つチームが機器を現場に持ち込み、実演や見学、実習を通じて従業員に実際の操作を理解してもらう方法を提案する。説明を聞くだけでAI導入が完了したと考えるべきではないという。
データ保護とオンプレミスのコストも課題
人材だけでなく、企業はデータと投資の問題にも直面する。
沈氏は、製造関連の情報には保護しなければならないものもあり、十分な検討をせずに全てを外部システムへ渡すことはできないと指摘する。一方、オンプレミスでの導入を選べば、コストが比較的高くなる可能性もある。
このため、AI導入は技術部門だけの問題ではなく、企業がデータをどう保護するか、どれだけの資源を投入するか、費用対効果をどう判断するかまで含めて考える必要がある。
データを利用できるかどうかや、導入する仕組みが自社のニーズに合っているかどうかも、その後の投資判断に影響する。

クラウド上のデータ保護に対する沈氏の懸念は、新たなツールを導入する際の経営者の判断を反映したものだ。 (関連記事: 「小さな部品一つでも中国由来は不可」 台湾・和大工業、米顧客が求める「非レッド」供給網に対応 | 関連記事をもっと読む )
企業にとって、クラウドかオンプレミスかを選ぶ際には、データの処理方法やアクセス権限の管理も併せて検討する必要があり、単にツールが使いやすいかどうかだけで決めるべきではないという。













































