2026年の統一地方選挙に向け、与党・民進党は「洋流」を打ち出し、選挙戦を盛り上げている。
前中国広播公司(中廣)董事長の趙少康氏は、台北市長の再選を目指す蔣万安氏へのインタビューに先立って、民進党の台北市長候補、沈伯洋氏にインタビューしたことで、一部の国民党支持者から批判を浴びた。
さらに趙氏は先日、自身の番組で、1カ月前に自費で世論調査を実施していたことを明らかにした。ウェイト調整後では蔣氏のリードはわずか2ポイントだったが、国民党支持層の回答率が低く、サンプルの代表性に欠けるとして結果は公表しなかったという。
数多くの選挙戦を支援し、自身もかつて「政治の申し子」と呼ばれ、選挙で旋風を巻き起こした経験を持つ趙氏は、現在の「洋流」をどう見ているのか。
趙氏は、世論調査では国民党支持層が態度を明らかにしない傾向があると指摘する。
また、多くの調査が固定電話を対象としていることについて、「私自身も固定電話を持っていない。どうやって対象者を見つけるのか。携帯電話にかけても、運転中だったり仕事中だったりすれば、どうやって質問に答えるのか」と述べ、今年の世論調査の正確性には大きな疑問があるとの見方を示した。
趙氏は自身も台北市長選に出馬した経験があり、元台北市長の郝龍斌氏の市長選を2度支援した。今回の世論調査の精度には疑問を示しつつも、台北市長選の情勢については自身なりの見立てを持っている。
趙少康氏(写真)は、かつて台北市長選に出馬し、郝龍斌元台北市長の選挙戦も2度支援した経験を持つ。今年の世論調査の精度には疑問を示しつつ、今回の台北市長選について自身なりの見立てを示した。(顔麟宇撮影)
動員数やネット上の勢いは票に直結せず 趙氏が見る蔣氏の勝敗 趙氏は「もし今日が投票日なら、蔣万安氏はやはり勝つ。ただ、当初予想されていたほど大きな差ではない。とはいえ、選挙は勝てば勝ちだ」と語った。
現在の「洋流」については、「勢いが非常に強いように見える」としたうえで、自身が台北市長選に出馬した当時を振り返った。
「私が台北市長選に出た時も、どのイベントも勢いがあり、毎回数万人が集まった。侯友宜氏と正副総統選を戦った時も、最後の集会には大勢の人が集まり、ものすごい光景だった。しかし、最終的にどうなったか」
そのうえで趙氏は、2026年の世論調査には誤差があり、鵜呑みにはできないとし、ネット上の話題性や支持の盛り上がりだけで選挙結果を判断することも難しいとの見方を示した。
趙氏は、蔣氏が勝利する可能性が高いとみているものの、大差での勝利にはならないと予測している。
一方、TVBSの世論調査では、蔣氏のリードが以前の28ポイントから8ポイントにまで縮小している。
さらに「国民党は資金が乏しい。当然、差は出る」と述べた。
趙少康氏は、蔣万安市長(中央)が台北市長選で勝利するとの見方を示す一方、大差での勝利にはならないと予測している。(劉偉宏撮影)
頼総統が2028年を見据え蔣氏を標的に? 趙氏「民進党が党を挙げて一人を攻撃」 趙氏によると、王偉忠氏の番組への出演調整は1カ月にわたり進展しておらず、こうした状況は王氏の番組に限らず、多くの司会者の番組でも同様だという。
蔣氏は台北市議会での質疑対応に追われ、番組に出演する時間がない一方、沈氏はこの期間に100~200の番組やイベントに出演しており、各会場には数百人から数千人が集まっている。趙氏は、これを積み重ねれば相当な規模になると指摘した。
また、民進党の台北市における基礎票について、かつて李応元氏が台北市長選で約40%を得票したことを例に挙げた。
趙氏は、台北市の有権者を200万人、投票率を7割と仮定し、40%なら「約60万票」の基礎票になると試算。「1%でも6000票になる」と述べ、他の地域からの参加者を考慮しなくても、「洋流」によって台北市内でこれだけの人を集めることは可能だとの見方を示した。
さらに趙氏は、台北市議選で民進党が公認候補を比較的抑えたことについて、「当初は選挙情勢を楽観視していなかったからだ」と分析した。
一方、現在は民進党側がイベントや集会、インタビューへの出演を重ねているのに対し、蔣氏にはそうした動きが少ないと指摘した。
趙氏は、蔣氏が沈氏を「格下」とみて相手にしないのも当然だとの見方を示し、「あえて相手の注目度を高める必要はない」と述べた。
趙氏はさらに、「民進党は本当に党を挙げて蔣万安氏一人を攻撃している」と強調した。
自身のインタビューでも蔣氏にこの点を尋ねたところ、外部からは「趙少康氏が蔣万安氏の代わりに答えている」と揶揄されたという。
これに対し趙氏は、「蔣氏本人がどう答えられるのか。『頼清徳氏が私を将来の総統選の対抗馬とみて攻撃している』などと本人が言えるはずがない」と述べた。
趙氏は、頼清徳総統には蔣氏の勢いを削ぎ、2028年の総統選で自身の再選を脅かす存在にならないようにする狙いがあるとの見方を示した。
さらに「民進党が全国の力を挙げて蔣氏一人を攻撃し、2カ月にわたって沈氏を押し上げ、メディアもこれだけ『洋流』を取り上げている。それで勢いが出なければおかしい」と述べた。
韓国瑜立法院長が「95%のメディアが持ち上げている」と語ったことを引き合いに出し、趙氏は「それでも勢いが出ないなら豚だ」と強い言葉で表現した。
趙少康氏は、頼清徳総統(写真)には蔣万安市長の勢いを削ぎ、2028年総統選で脅威にならないようにする狙いがあるとの見方を示した。(資料写真/中央社)
「洋流」には利点と弊害 鍵を握るのは若い初投票層 「洋流」の波及効果について、趙氏は利点と弊害の両面があると分析している。
一方、利点については、民進党支持者が強く支持を表明し、選挙戦の勢いを生み出していることに加え、若年層、とりわけ初めて投票する有権者が新しさや変化、創意を求める中で、沈氏はこの点でうまく訴えていると評価した。
趙氏は「洋流」そのものには一定の効果があると認める一方、有権者の基本的な投票意向を大きく変えるほどではないとの見方を示した。
また、国民党支持者が態度を表明しないまま投票にも行かなくなる可能性について触れつつ、「蔣氏は国民党支持者を失望させてはいない」と述べた。
さらに「『暖男(温厚で親しみやすい男性)』と言われる沈氏が、蔣氏よりも“暖かい”のか。沈氏は以前の姿と今の姿があまりにも違う」と語り、最終的な選挙戦の鍵は若い初投票層になるとの見方を示した。
趙少康氏は、沈伯洋氏(中央)が巻き起こす「洋流」には一定の効果があるとする一方、有権者の基本的な投票意向を大きく変えるほどではないとの見方を示した。(資料写真/中央社)
沈氏の政策「理論上は間違っていない」 趙氏「具体的な実行方法が見えない」 趙氏は沈氏の政策について、考え方や理念にとどまり、実際に実現するための具体策が見えないと批判した。
例として挙げたのが、老朽化した住宅にエレベーターを設置し、高齢者が出入りしやすくする政策だ。
趙氏は「これは私もずっと以前に提案した」としたうえで、「1階の住人がエレベーターを設置させてくれない場合はどうするのか。上階の住人が金を払うと言っても、1階の住人が拒否すればどうするのか」と指摘。「理論を語るのは簡単だが、実際には実行できない」と述べた。
また、市民大道による台北市の南北の分断を解消する構想についても疑問を呈した。
趙氏は、自身が台北市議だった当時、建国高架道路、新生高架道路の予算を通し、その後、市民大道高架道路の予算につながった経緯を説明した。
そのうえで、「市民大道による東西方向の道路で台北市の南北を『縫合』するというなら、南北方向に走る建国・新生高架道路はどうするのか。こちらは東西を分断しているのではないか」と指摘した。
さらに、新北市で陳錦錠氏の応援に訪れた際の経験を挙げ、「新北市にも高架道路はたくさんある。それをすべて撤去するのか」と問いかけた。
趙氏は、沈氏の理論自体は間違っていないとしながらも、「実際にどうやって実行するのかが見えない」と指摘した。
一方で趙氏は、蔣氏が沈氏の政策案を一つ一つ否定する必要もないとの考えを示した。
松山空港の移転問題を例に、「民進党は非常に下手だ」と述べ、「『これは民進党が30年前から主張してきたことで、蔣万安氏がようやく民進党の政策に同意した』と言えばいい。それなら蔣氏の政策も民進党の政策になる。なぜ反対する必要があるのか」と語った。