【インタビュー】沈伯洋氏、対中姿勢に変化か 台北市長選で広がる「洋流」、逆転勝利の2条件

民進党の台北市長候補、沈伯洋氏(左)が巻き起こした「洋流」に注目が集まっている。写真は9月30日、頼清徳総統(中央)とともに選挙事務所の公開イベントに臨む沈氏。(劉偉宏撮影)
民進党の台北市長候補、沈伯洋氏(左)が巻き起こした「洋流」に注目が集まっている。写真は9月30日、頼清徳総統(中央)とともに選挙事務所の公開イベントに臨む沈氏。(劉偉宏撮影)

台湾・台北市長選に出馬した民進党の沈伯洋(しん・はくよう)氏は、中台関係をめぐる姿勢を変えつつあるのか。

これまで沈氏は、国家安全保障や認知戦を専門とする政治家というイメージが強かった。一方、最近では、すべての中台交流を中国側の「統一戦線工作」とみなす考えを否定し、台北市と上海市の交流事業「台北・上海都市フォーラム(双城論壇)」についても、政治的な前提がなく、交流する価値のある内容であれば実施してよいとの考えを示している。

さらに、沈氏が首にオレンジ色のスカーフを巻く姿について、陳水扁政権時代に総統府参議を務めた淡江大学教育・未来デザイン学科の紀舜傑副教授は、中国少年先鋒隊(少先隊)の象徴である赤いスカーフ「紅領巾」を連想させ、中国側に対する一種のシグナルではないかと分析する。

沈氏はイメージ転換を進め、国民党優位とされてきた台北市で現職の蒋万安市長を逆転できるのか。

「『洋流』とは、『乱流』を『暖流』に変える改造工事だ」

沈氏の名前の一字「洋」にかけ、支持の広がりを海流になぞらえた「洋流」。2018年、韓国瑜氏が有権者の不満を背景に巻き起こした「韓流」とは何が違うのか。

紀氏は台湾メディア『風傳媒(ストームメディア)』の取材に対し、「人の計算が天の巡り合わせに及ばないことは多い。『洋流』にはもちろん綿密に設計された部分もあるが、外部環境もそれを後押しした」と指摘する。

台中市の盧秀燕市長を選挙対策本部トップに迎えた現職の蒋氏に対し、沈氏が勝利するためには、なお「2つの条件」を乗り越える必要があるという。

3つの支流が合流して大きな「洋流」に

――2018年の韓国瑜氏の「韓流」は、民進党政権への不満から生まれた政治の波だと受け止められました。しかし現在は民進党自身が中央政府の与党です。それにもかかわらず、沈氏がこれほど注目を集めているのはなぜでしょうか。

紀氏 この「洋流」は、乱流を暖流に変える改造工事だ。

「韓流」が生まれた背景には、高雄市で民進党による市政が長く続いたことに加え、2018年の統一地方選の時点で、蔡英文政権の発足から2年余りの間に一定の不満が積み重なっていたことがある。

例えば、「一例一休」と呼ばれる労働制度の改革や、軍人、公務員、教員を対象とした年金改革などが不満を招いた。とりわけ高雄では民進党政権が長く続いていたため、地元で蓄積した不満や怒りが一気に噴き出した。

韓国瑜氏はその怒りに火をつけた。しかも韓氏は高雄の庶民感覚をよくつかんでおり、主張はシンプルで直接的だった。人々の心を動かすスローガンも打ち出した。

現在の「洋流」について、この段階になってもその存在を否定する人がいるとすれば、それは不自然だろう。今、確かに「洋流」と呼ばれる勢いが生まれていること自体は、もう否定しにくい。 (関連記事: 台北市長選、蒋万安氏が盧秀燕・台中市長を選対トップに 沈伯洋氏の「洋流」に対抗へ | 関連記事をもっと読む )

私は、「洋流」が勢いを増した背景には、いくつかの政治的な流れが合流し、最終的に大きな一つの流れになったことがあると考えている。

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