公益財団法人フォーリン・プレスセンター(FPCJ)は10月13日、観光庁の木村典央長官を招き、オンラインでプレス・ブリーフィングを開催した。
木村長官は「持続可能な観光立国への挑戦―オーバーツーリズム対策と地方誘客―」をテーマに講演し、日本の観光の現状や、2026年3月に閣議決定された「第5次観光立国推進基本計画」、住宅宿泊事業(民泊)や統合型リゾート(IR)の動向、観光庁予算と国際観光旅客税の使途について幅広く説明した。
訪日外国人4268万人で過去最高 観光消費額は9.5兆円に
日本の観光の現状について、木村長官は、2025年の訪日外国人旅行者数が約4268万人と過去最高を更新し、訪日外国人旅行消費額も約9兆5000億円に達したと報告した。
訪日外国人による消費額は、日本の輸出産業と比較すると自動車産業に次ぐ規模となっており、観光は日本経済を牽引する極めて重要な産業に成長している。
一方、外国人延べ宿泊者数の約66%、旅行消費額の約75%が三大都市圏に集中していることを課題として挙げた。特に東京、大阪、京都への集中が顕著となっている。
一部の地域では、観光客の局所的な集中による混雑やマナー違反など、オーバーツーリズムに伴う問題が発生している。
木村長官は、こうした問題への対策と、訪日外国人旅行者の地方への分散が喫緊の課題だとの認識を示した。
2030年に訪日客6000万人、消費額15兆円へ 地方宿泊者数の倍増目指す
2026年度から2030年度までの5年間を対象とする「第5次観光立国推進基本計画」では、観光を日本の戦略産業と位置づけ、3つの柱を掲げている。
具体的には、「インバウンドの戦略的な誘客と住民生活の質の確保との両立」「国内交流・アウトバウンド拡大」「観光地・観光産業の強靱化」だ。
2030年の目標として、訪日外国人旅行者数6000万人、訪日外国人旅行消費額15兆円、旅行者1人当たりの消費額25万円を設定している。
特に、6000万人の目標のうち、3分の2に当たる4000万人を、地方への訪問意欲が高い訪日リピーターとすることを目指す。
また、地方部における外国人延べ宿泊者数を、現在の約2倍となる1億3000万人泊まで引き上げる方針だ。
これにより、三大都市圏と地方部の外国人延べ宿泊者数の比率を1対1とし、都市部に集中する観光需要の分散を図る。
民泊の届出住宅は4万745施設 「ゼロ日規制」や無届物件対策を推進
木村長官は、住宅宿泊事業(民泊)に関する施策についても説明した。
2026年5月時点で、全国の住宅宿泊事業の届出住宅数は4万745施設に達しており、延べ宿泊者数の約6割を外国人が占めている。
一方、民泊施設の増加に伴い、住宅地などでの騒音や迷惑行為によって、静穏な居住環境が損なわれる問題も生じている。 (関連記事: オーバーツーリズムの克服へ 田中俊徳准教授「持続可能な観光立国に必要なのはルールと分配」 | 関連記事をもっと読む )
こうした問題への対応として、観光庁は、住宅地や教育施設周辺などで必要に応じ、自治体が条例に基づいて民泊の営業日数を制限する、いわゆる「ゼロ日規制」を活用できることを周知している。













































