【舞台裏】台北市長選、蒋万安氏と沈伯洋氏が狙う「民衆党票」 柯文哲氏は蒋氏との共演を保留

民進党の台北市長候補、沈伯洋氏(前列右)が、再選を目指す国民党の蒋万安市長(左から2人目)を追い上げている。(中央通信社)
民進党の台北市長候補、沈伯洋氏(前列右)が、再選を目指す国民党の蒋万安市長(左から2人目)を追い上げている。(中央通信社)

2026年末の統一地方選挙が近づくなか、民進党は台北市長候補の沈伯洋氏を押し上げる「洋流」(沈氏の名の一字「洋」にかけ、支持の広がりを海流にたとえた言葉)をつくり出し、再選を目指す国民党の蒋万安市長にじりじりと迫っている。蒋氏は、薬物対策をめぐる発言の応酬や学校給食、警察によるLGBTQ向けバーの捜索といった問題で、若い世代の支持を落としている。

沈氏が出演したインタビュー動画が相次いで100万回再生を超え、従来の支持層を越えて浸透する勢いを見せるなか、蒋氏も10月15日、台湾民衆党の黄国昌主席とライブ配信で共演した。再生回数は1日で約30万回に達し、同じ日に公開された沈氏の台湾テレビ(台視)の単独インタビューと肩を並べる、蒋氏としては珍しい数字となった。注目されるのは、かつて前台北市長の柯文哲氏を「最もカネを使った市長」「コロナ対策を口げんかの種にした」と批判していた蒋氏が、この配信で柯氏が率いた市政チームに「本当に、本当に感謝している」とわざわざ述べたことだ。

黄氏は、蒋氏との配信に応じたのは台北市研究発展考核委員会(研考会)の殷瑋主任委員から頼まれたためだと説明している。蒋氏も最近、市議選の目標は国民党と民衆党の議席の最大化だと述べている。国民党の党本部は、蒋氏が民衆党の議員候補と単独で同じ場に立つことを禁じていたが、蒋氏はその後も何度か民衆党の議員候補と「偶然」顔を合わせている。選挙戦を安定させるため、蒋氏が民衆党の若い支持者の取り込みを必要としていることがうかがえる。

民衆党にとっても、蒋氏との配信は大きな意味を持った。立法院を離れて以降、黄氏のライブ配信の平均視聴数は10万回程度にとどまっていたが、今回だけは30万回を超え、民衆党にとっても最近では最高水準の数字となった。では、蒋氏と黄氏の「藍白合」(国民党と民衆党の連携。国民党のシンボルカラーの青と民衆党の白から)は、互いに得をする関係なのか。そして柯氏はこれをどう見ているのか。

民衆党の黄国昌主席(左)は、蒋万安台北市長(右)とライブ配信で共演したのは、台北市研考会の殷瑋主任委員から頼まれたためだと説明した。(資料写真、陳品佑撮影)
台湾民衆党の黄国昌主席(左)は、台北市の蒋万安市長(右)とのライブ配信について、台北市研究発展考核委員会(研考会)の殷瑋主任委員から依頼を受けたためだと説明している。(資料写真、陳品佑撮影)

多くの選挙区で候補者なし 「青鳥」が来なければ「小草」も戦わない

国民党は、民進党の沈氏が巻き起こした「洋流」に厳戒態勢で臨んでいる。一方、台北市長選に候補者を立てていない民衆党の内部には、2つの見方があるという。少数派は、2025年の「大リコール」(国民党の立法委員らを対象とした大規模なリコール運動)で沈氏が見せた言動について「行き過ぎだった」とみており、すべての若者が受け入れるとは限らないうえ、「洋流」の人出には民進党の組織的な動員も確かに働いているとみる。 (関連記事: 【舞台裏】台北市長選、沈伯洋氏が蒋万安氏を猛追 国民党・民衆党連携も、ネットで民衆党支持者「小草」の勢い見えず | 関連記事をもっと読む )

しかし多数派は、沈氏のネット上での発信力は確かに強く、声援を送る若者も少なくないとみている。蒋氏と沈氏による国民党と民進党の激しい対決の陰で、市長候補のいない第三勢力の民衆党は声がかき消されて存在感を失い、「洋流」が他地域にも波及するにつれて、台湾各地のいくつかの選挙区で民衆党の議員候補が存在感をのみ込まれる危機を感じているという。

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