【ひと目でわかる】フランスで抗議なぜ拡大 「教員不足」から80万人規模に、一部で暴動・放火も

2026-10-19 11:22
10月17日にフランス全土で行われたデモは、学生による教育環境改善の要求から、生活費の上昇や公共サービスをめぐる訴えへと広がった。参加者は労組側の推計で約80万人、内務省の推計で約55万人に上り、その後、パリをはじめ複数の都市で放火や商店の略奪、警官隊との衝突が発生した。(AP通信)
10月17日にフランス全土で行われたデモは、学生による教育環境改善の要求から、生活費の上昇や公共サービスをめぐる訴えへと広がった。参加者は労組側の推計で約80万人、内務省の推計で約55万人に上り、その後、パリをはじめ複数の都市で放火や商店の略奪、警官隊との衝突が発生した。(AP通信)

フランスで続く抗議運動は、高校生が教員不足や学校施設の老朽化など、教育環境の改善を求めたことから始まった。その後、労働組合や市民団体、生活費の上昇に不満を抱く人々が加わり、要求は燃料価格、購買力の低下、公共サービスなどへと広がった。

10月17日の全国規模のデモでは、フランス労働総同盟(CGT)など主催者側が約80万人、内務省が約55万人が参加したと推計している。多くの参加者が平和的に行進する一方、パリ、リモージュ、マルセイユ、リヨンなどでは一部の集団と警官隊の衝突、商店の略奪、公共施設への放火が相次いだ。

フランスのデモはなぜ始まったのか 高校生の抗議が全国へ拡大

抗議は10月17日に突然始まったわけではない。今回の動きは、高校生が教育環境の改善を求めたことに端を発する。

生徒らが訴えてきた問題には、教員不足、教室や校舎の老朽化、過密な時間割、過密学級、一部の学校での予算や設備不足などがある。フランスの大学進学申請システム「Parcoursup(パルクールシュップ)」をめぐっても、選考のあり方に不公平感や不安を訴える声が出ていた。

高校から始まった抗議 教員不足や校舎の老朽化に不満

高校生による抗議は9月、パリ首都圏で始まり、その後急速に全国へ広がった。

10月2日には、フランス全土で560校を超える高校で授業や学校運営に影響が出た。生徒からは、教職員の欠勤や過密な教室、暑さへの対応など、日常的な教育環境への不満も上がっていた。

仏紙『ル・モンド』によると、高校生らは10月17日のデモを前にSNSを通じて参加を呼びかけ、「Gilets Jeunes(若者の黄色いベスト)」を掲げ、若者の要求と2018年に始まった「黄色いベスト運動」の社会的要求を結びつけようとする動きも広がった。

黄色いベスト運動の関係者の一部が高校生への支持を表明し、労働組合も参加した。ただ、高校生、労組、黄色いベスト支持者が街頭で合流した一方、それぞれが重視する問題は必ずしも同じではない。

10月17日、パリで、生活費の高騰への抗議と学生の要求への支持を訴えるデモの中、警官隊とにらみ合う抗議者ら(AP通信)
2026年10月17日、パリ。生活費の上昇への抗議や学生への連帯を訴えるデモで、警官隊と対峙する参加者。(AP通信)

なぜ抗議は教育問題から生活費や公共サービスへ広がったのか

参加者が増えるにつれ、抗議の焦点は教育問題だけにとどまらなくなった。

労働組合や市民団体は、生活費の上昇、燃料価格の高騰、購買力の低下、公共サービスの質などを問題として訴えた。一部の若者からは、大学卒業後も安定した仕事や、専攻を生かせる仕事を見つけにくいとの声も上がっている。

台湾の中央通信社(CNA)の取材に応じた、修士号を取得したばかりで求職中のデモ参加者は、見つかる仕事は不安定だったり、専攻と一致しなかったりすることが多いと語った。

2018年末に広がった「黄色いベスト運動」の参加者の一部も今回のデモに加わった。

当時の運動は、燃料価格の上昇や燃料税引き上げへの反発をきっかけに始まり、その後、中間層の購買力、富裕層への課税、政治制度などをめぐる幅広い要求へと拡大した。 (関連記事: 【写真特集】フランス大規模デモ、一部が暴徒化 築143年のリモージュ市庁舎が炎上、2400人超逮捕 | 関連記事をもっと読む )

今回も、教育環境の悪化と生活上の負担を、互いに関連する社会問題と捉える参加者がいる。

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