台湾文化センターは紀伊國屋書店と連携し、18日に紀伊國屋書店新宿本店にて台湾の絵本作家である劉旭恭氏の日本語版新刊『こんなに ちらかして!』の刊行記念トークイベントを開催した。
イベントでは、「社会と子どもをつなぐ絵本」をテーマに、劉旭恭氏と日本の著名な絵本評論家・作家の松本猛氏による対談が行われた。日本で出版された台湾の絵本を通じてその創作の特徴を紹介するとともに、子どもにとって身近な日常生活から出発し、より広い社会問題や環境問題へと読者の思考を導く絵本の力について語り合った。
台湾の絵本作家・劉旭恭氏、日常から社会問題を描く
国立台湾大学土木工学研究所を修了後に絵本創作へと転身した劉旭恭氏は、イタリア・ボローニャ国際絵本原画展に入選するなど多数の受賞歴を持つ。代表作『こんなに ちらかして!』は2016年に台湾で初版が刊行され、翌年には台湾文化部の金鼎賞(児童および青少年図書賞)を受賞し、小中学生向け優良課外推薦図書にも選出された。
本作は片付けという日常的な行為から始まり、一見すると子どもの生活習慣を促す作品のようでありながら、物語の進展に伴い視野を社会や環境問題へと広げていく構成となっており、日常的な題材を多層的な思考へと深め、子どもだけでなく幅広い年代と対話できる台湾絵本の特徴を示している。
今回対談相手を務めた松本猛氏は、日本の名高い絵本画家である、いわさきちひろ氏の長男であり、ベテランの絵本評論家でもある。世界初の絵本専門美術館とされる「いわさきちひろ絵本美術館(現・ちひろ美術館・東京)」の設立に携わったほか、日本絵本学会の会長を務めるなど長年にわたり絵本芸術の保存と普及に尽力してきた。
また、劉旭恭氏の別作品『せいとがひとりだけの学校』の日本語版翻訳を手がけており、同氏の作風にも通じている。
絵本を通じた異文化理解、松本猛氏が台湾作品を高く評価
多くの愛好家が集まった会場では、まず劉旭恭氏が中国語で自作のお気に入りの場面を朗読して幕を開けた。劉旭恭氏は創作理念について、誰もが社会の一員であり上下の隔たりはなく、また大自然から多くの着想を得て作品内に自然風景を数多く取り入れていると語った。
松本猛氏は構図の美しさや物語のリズムを高く評価し、前日に参加した多文化交流フォーラムでの所感を交えながら、絵本は異文化理解のための優れた架け橋であると指摘した。さらに、台湾への訪問を重ねる同氏は、現在の台湾絵本の水準は日本に劣らないばかりか、むしろ凌駕する勢いにあると惜しみない賛辞を送った。
絵本が持つ視覚と言語の融合は言葉や文化の壁を乗り越えやすく、豊かな想像力で社会や環境を鋭く見つめる台湾の絵本は近年、国際出版界でも注目を高めている。
より多くの日本の読者にその多様な魅力を届けるため、台湾文化センターは日本の書店や出版社との連携による文学・漫画・絵本の普及に加え、今年は「上野の森 親子フェスタ」へ初参加し大きな反響を得た。
会場に駆けつけた台湾文化センターの曽鈐龍主任は、登壇した劉旭恭氏と松本猛氏、ならびに翻訳を手がけた中村加代子氏へ感謝の意を示した上で、今後も取り組みを継続し、日本の読者に台湾絵本の独創性と魅力を伝え、日本および世界での認知度を一層広げていきたいと意気込みを述べた。
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編集:小田菜々香


















































