【北京観察】中国、台湾と国交持つ2カ国の閣僚を制裁 米国「威圧と侵略」と非難、中南米で米中競争激化か

2026年2月13日、ドイツ・ミュンヘンで開かれたミュンヘン安全保障会議に合わせ、ルビオ米国務長官は中国の王毅外相と会談した。(AP)
2026年2月13日、ドイツ・ミュンヘンで開かれたミュンヘン安全保障会議に合わせ、ルビオ米国務長官は中国の王毅外相と会談した。(AP)

中国がパラグアイとベリーズの閣僚2人に制裁を科したことを受け、米国は直ちに、北京による他国への威圧に反対する姿勢を表明した。台湾が外交関係を持つ数少ない国々をめぐる外交上の苦境から、西半球の戦略的利益をめぐる米政府の思惑まで、個別の政府高官を標的にしたかに見える今回の制裁騒動は、もはや中台間の外交攻防にとどまらず、中南米での影響力をめぐる米中の競争をも映し出している。

台湾と国交のある国に対する中国の外交圧力は、国家レベルで外交関係の切り替えを迫る段階から、相手国の現職閣僚への制裁にまで広がりつつある。中国外交部(外務省)は10月12日、パラグアイのグスタボ・エミグディオ・ビジャテ・サマニエゴ(Gustavo Emigdio Villate Samaniego)情報通信技術相と、ベリーズのフランシス・フォンセカ(Francis Fonseca)外相兼外国貿易相に対する対抗措置を発表した。2人の中国国内の財産の凍結、中国国内の組織や個人との取引・協力の禁止、中国本土と香港、マカオへの入国禁止などを含み、即日発効した。

台湾外交部は「内容は荒唐無稽極まりなく、手段は卑劣だ」と強く非難した。対中国政策を担う大陸委員会(陸委会)の邱垂正主任委員は「台湾に対する新たな形の越境弾圧(トランスナショナル・リプレッション)」だと指摘し、卓榮泰行政院長(首相に相当)も、中国は「繰り返し対外的に覇権的な姿勢を示しており、すでに世界中の反感を招いている」と批判した。一方、この決定はすぐに米政府の注目を集めることになった。

「懸念」から「威圧と侵略」の名指し批判へ

米国務省のトミー・ピゴット(Tommy Pigott)報道官は声明で、「トランプ政権は、主権的権利を行使したことを理由に、西半球の国々に対して中国が威圧と侵略(coercion and aggression)を行うことに反対する」と明言した。さらにルビオ国務長官の過去の発言を引き、米国は「われわれが暮らすこの地域が、敵対勢力や競争相手、ライバルが米国の安全を脅かしたり、パートナーシップを損なったりするための活動拠点となることを許さない」と強調。最後には「われわれは台湾を含む友人やパートナーとともにある」と踏み込んだ。

パラグアイ中央銀行のカルバジョ総裁は中央社の取材に対し、パラグアイと台湾は長年にわたり重要な関係を維持しており、多年の協力を土台に、経済・貿易分野ではなお大きな発展の余地があると述べた(中央社)
パラグアイ中央銀行のカルロス・カルバージョ総裁は中央通信社(CNA)のインタビューで、パラグアイと台湾は長年にわたる協力を基盤に重要な関係を維持しており、経済・貿易分野には今後も大きな発展の余地があると述べた。(中央通信社)

中国による台湾の国交樹立国の切り崩しに対する、ここ数年の米国の姿勢と比べると、今回は語調が明らかに強まっている。とりわけ、トランプ政権が再発足し、ルビオ氏が国務長官を務める中での変化だ。

パラグアイとベリーズはいずれも台湾と正式な外交関係を維持しており、両国の閣僚が日常の公務で中国本土を訪れる必要は通常ない。そのため、入国禁止や中国国内資産の凍結が2人に与える直接の影響は限られる可能性がある。こうした措置の実効性は、多分に象徴的な意味合いにとどまる。 (関連記事: 中国、台湾と国交維持のパラグアイ・ベリーズ閣僚を制裁 国交樹立国の高官では初 | 関連記事をもっと読む )

中国にとって、制裁のメッセージは対象となった政府高官だけでなく、台湾と国交を維持するほかの国々にも向けられている可能性がある。台湾を支持するという外交上の選択には、追加の政治的・経済的コストが伴いかねない、というメッセージだ。

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