台湾・大同、AIデータセンター事業に参入 日本でも案件検討、コンテナ型は最短180日で納入
14日、「2026台湾国際スマートエネルギーウィーク」に出席した大同の張松鑌総経理。(撮影/魏鑫陽)
人工知能(AI)向けコンピューティング能力を巡る競争が激化する中、データセンターの電力供給と建設スピードが産業界の焦点となっている。台湾の総合電機メーカー大手・大同(証券コード:2371)の張松鑌総経理は14日、「2026台湾国際スマートエネルギーウィーク」で、重電設備、エネルギー管理、サーバールーム設計に関する能力を統合し、単純な設備サプライヤーからシステムインテグレーターへと事業領域を拡大する方針を明らかにし、グループ初の統合型ソリューションとして「AIデータセンター(AIDC)」を展開すると表明した。
現在、台湾国内で複数の案件について協議中のほか、日本でも特定の案件について接触、検討を進めている。コンテナモジュール型ソリューションであれば、受注後最速180日での納入が可能だという。
張氏は、大同は電力分野において既に、電力用および配電用変圧器、ガス絶縁開閉装置(GIS)、配電盤、ケーブル、スマートメーターなどの製品を手掛けていると説明。今回の展示会では、環境配慮型ガス絶縁ソリューション「Blue Air」を用いて六フッ化硫黄(SF6)使用のGIS製品を段階的に代替するなど、既存の設備にスマートアプリケーションとESG(環境・社会・企業統治)の要素を組み込んだ製品を披露した。
張氏は「大同グループは、もはや単なる設備サプライヤーではない」と述べ、AIデータセンターが大同として初めてグループの資源を結集して投入するシステム統合製品となると強調した。グループ傘下の大同世界科技がコンピューティング能力とサーバルームの統合設計能力を備えており、大同の電力設備およびエネルギー資源と組み合わせることで、顧客のニーズに応じた多様なデータセンター構築プランを提供できるとしている。
規模に応じたターンキー方式やモジュール化プランの提供
大同は現在、1MWおよび2MWの標準規格を計画しており、より大容量が必要な場合は並列接続によって拡張する。標準的なコンテナに無理に大容量を詰め込めば、標準化設計のメリットが失われる可能性があるとみている。大同が展示したコンピューティングラックは、16のGPUノードを収容できる設計となっている。張氏は、数十MWクラスの大型データセンターでは通常、従来の建築工法が採用されるが、コンテナモジュール型はエッジコンピューティングや中小規模の案件、迅速な導入を求めるニーズに適していると指摘する。
大同によれば、「CUBE」は受注後最速180日での納入が可能だ。ただし張氏は、実際のスケジュールはサーバーのサプライチェーンによる影響を受けると注意を促した。現在、サーバー価格は高騰し、供給が逼迫しており、一部の製品では納期が最大9カ月に達しているという。コンテナプランでは、水冷システムと配管を工場で事前に製作し、現場へ輸送して組み立てることができるため、施工期間の短縮に加え、現場の人手不足解消にも貢献するという。
天宇能源がUPSを供給、重電生産能力と北米展開も同時推進
グループの事業統合に関して、天宇能源がAIDCに必要な無停電電源装置(UPS)を供給することが明らかになった。張氏は、バッテリーモジュール事業を手がける天宇能源は、太陽光発電やエネルギー貯蔵の分野で従来より大同智能と業務上の取引があると説明。将来的には同社の技術と市場経験を活かし、海外展開や関連する協力関係を拡大していく方針を示した。
大同の既存のエネルギー事業には、太陽光発電、エネルギー貯蔵、グリーン電力販売、仮想発電所(VPP)サービスも含まれる。張氏は、今後はさらに多くのAIアプリケーションをグループの設備やソリューションに組み込み、システム統合事業を段階的に拡大していくと述べた。
重電設備の生産能力については、配電用変圧器を大園工場で継続的に拡張し、電力用変圧器は観音工場で増設を進めている。同社はまた、北米市場への展開を見据え、500kV変圧器の製造能力獲得を目標とした新たな超高圧電力用変圧器の生産ラインを計画中だ。張氏によると、現在台湾における超高圧送電の最高レベルは345kVであり、500kV製品は主に米国の需要をターゲットとしている。ただし、国際認証の取得や米国公益事業者の入札を待つ必要があり、その後に受注の機会が得られるとした。
さらに大同は、地政学的リスクや米国の関税政策の変化に対応するため、東南アジアまたは北米における重電設備および大型モーターの工場設置も検討中だ。張氏は、海外の重電需要は旺盛であり、最適な海外進出の手法を慎重に検討していくと強調した。
2027年の見通しについて張氏は、国内外の重電需要、生産能力の継続的な稼働、AIデータセンターおよびスマートエネルギー統合ソリューションの貢献を原動力として、2桁の増収を目指すと述べた。同氏は、利益率の高いシステム統合プロジェクトの割合が高まっていることから、来年の全体的な業績については楽観的な見方を示した。
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