台湾の経済成長とAI(人工知能)産業の好況がもたらした税収増を受け、行政院(内閣に相当)は、歳入と歳出の均衡を保ち、実質的に新たな借金をしないことを前提に、「AIの恩恵を共有する1人1万台湾ドルの現金給付」を進める方針を示した。
行政院の李慧芝報道官によると、給付に充てる2357億台湾ドルの予算は2027年度の中央政府総予算案に盛り込まれ、立法院(国会に相当)で審議されている。
頼清徳総統は14日、立法院が2027年1月5日までに中央政府総予算案を可決すれば、最速で旧正月前に給付を始められるとの見通しを示した。財政部(財務省に相当)が8日に示した現行計画では、総統が1月20日までに予算を公布した場合、1月25日からオンライン登録を始め、第1弾は最速で1月26日に振り込まれる。
一方、台湾各地の複数の郷・鎮(町村に相当)でも、地方の自主財源や歳計剰余金などを使った独自の現金給付が実施、または計画されている。金額は3000~6000台湾ドルで、彰化県竹塘郷では10月5日から23日まで各村を巡回して1人3000台湾ドルを給付している。15日は田頭村で配布された。
以下、中央政府による1万台湾ドルの給付計画と、5郷鎮の独自給付についてまとめた。
中央政府による2027年の1人1万台湾ドル現金給付
対象者
行政院によると、給付対象は主に次の5つの区分となる予定だ。これに加え、2027年末までに台湾で生まれた新生児も対象に含まれる。
台湾に戸籍を持たない中華民国国民で、居留許可を取得している人。
3.政府機関から公務で海外に派遣されている職員とその家族:
各級政府機関から公務で海外に派遣されている職員と、中華民国籍を持つその家族。
中国大陸、香港・マカオの住民または外国人で、台湾国民の配偶者となり、居留許可を取得している人。
台湾の永久居留許可(APRC)を取得している外国人。
このほか、2027年12月31日までに台湾で生まれた新生児も給付対象となる予定。2027年8月1日から12月31日までに生まれた新生児については、受け取り期限が2028年1月31日まで延長される。
給付額
給付時期
2027年度中央政府総予算案が1月5日までに立法院を通過し、1月20日までに総統が公布されることを前提に、最速で1月26日に第1弾を振り込む計画となっている。
2027年の1万台湾ドル給付、5つの受け取り方法
行政院は、過去の現金給付と同様に「自動振り込み」「オンライン登録による振り込み」「ATMでの現金受け取り」「郵便局窓口での現金受け取り」「名簿による給付」の5方式を採用する方針だ。
1.自動振り込み
障害者生活補助や高齢農業者手当など、特定の社会福祉給付を受給している人については、システムで対象者を照合し、既存の受取口座に直接振り込む方式となる見通し。
2.オンライン登録による振り込み
現行計画では、総予算案が予定通り成立・公布された場合、2027年1月25日からオンライン登録を始める。
オンライン登録に使用する公式サイトのURLや、身分証番号による登録日の振り分け、入力が必要な情報など、具体的な手続きの詳細は今後、政府が正式に発表する。
過去の給付では、身分証番号または居留証番号、金融機関の口座番号、健康保険カード番号などを使用して登録した。
3.ATMでの現金受け取り
現行計画では、2027年2月15日からATMでの現金受け取りを始める予定。
利用できる金融機関やATMでの具体的な操作方法は、今後政府が正式に発表する。
過去の給付では、指定金融機関や郵便局の対象ATMで、キャッシュカードなどを使って受け取る方式が採用された。
4.郵便局窓口での現金受け取り
2027年2月22日から郵便局の窓口で受け取れるようにする計画。
必要書類や窓口での分散受け付けなど、具体的な方法については今後正式に発表される。
5.へき地・特別名簿による給付
ATMや郵便局を利用しにくい特定のへき地の住民については、自治体などが対象者名簿を作成して給付する。
刑務所などの矯正施設の収容者についても、施設側が名簿を作成して給付する方式が採用される予定。
財政部は、政府機関の正規のウェブサイトは「.gov.tw」のドメインを使用するとして、給付を装った詐欺への注意を呼びかけている。
政府がショートメッセージや電子メールで現金給付の受け取りを促したり、電話でATMやインターネットバンキングを使った送金操作を求めたりすることはない。不審なメッセージや電話を受けた場合は、詐欺防止ホットライン「165」などで確認するよう呼びかけている。
台湾5郷鎮の独自現金給付
中央政府の1万台湾ドル給付とは別に、台湾各地の郷・鎮では、自主財源などを使った独自の現金給付を実施・計画している。
中央政府の給付が実施された場合でも、地方の独自給付とは別制度のため、それぞれの資格を満たせば双方を受け取ることができる。
1.彰化県竹塘郷:1人3000台湾ドル
2026年6月30日までに竹塘郷に戸籍を置き、対象者名簿作成時点でも引き続き戸籍がある人。
第1段階として10月5~23日、各村の指定場所を巡回して給付する。
第2段階は10月29日から12月15日まで。必要書類を持参し、竹塘郷公所1階の窓口で受け取る。期限を過ぎた場合は受給できない。
2.彰化県花壇郷:1人6000台湾ドル
2026年3月1日(当日を含む)までに花壇郷に戸籍を置いている人。
中央政府による1万台湾ドル給付が実施され、双方の受給資格を満たす場合は、合計1万6000台湾ドルとなる。
第1段階として7月20日から8月14日まで各村の指定場所で給付した。
まだ受け取っていない人は、第2段階として8月19日から11月30日までの毎週水曜日に、花壇郷公所の窓口で受け取れる。
3.宜蘭県頭城鎮:1人3000台湾ドル
自治条例と関連予算が鎮民代表会で可決された2026年8月6日までに頭城鎮に戸籍を置き、給付時にも引き続き戸籍がある住民。約2万7600人が対象となる見通し。
2026年10月からの給付開始が計画されている。具体的な日時、場所、手続きは頭城鎮公所の最新の発表に従う。
4.雲林県林内郷:1人3600台湾ドル
2026年3月31日までに林内郷に戸籍を置くなど、郷公所が定める条件を満たす人。
第1段階の各村での現金給付は7月27日から8月9日まで、第2段階の郷公所窓口での現金給付は8月10日から9月9日まで行われた。
第3段階として、2026年9月14日から12月31日まで、書面での申請による銀行振り込みまたは小切手での受け取りを受け付けている。
5.台東県延平郷:1人5000台湾ドル
延平郷に戸籍を置く住民。戸籍の基準日などの詳細は郷公所の規定に従う。
関連する2027年度予算の成立を前提に、2027年の旧正月前までに給付を終える計画。具体的な場所や給付方法は延平郷公所が改めて発表する。
| 郷鎮 | 対象の要点 | 金額 | 時期と方法の主な日程 |
| 彰化県花壇郷 | 2026年3月1日までに花壇郷に戸籍を置いている人 | 1人6000台湾ドル | 各村での給付は終了。未受領者は8月19日~11月30日の毎週水曜日に花壇郷公所で受け取り |
| 彰化県竹塘郷 | 2026年6月30日までに戸籍を置き、名簿作成時にも引き続き在籍する人 | 1人3000台湾ドル | 第1段階は10月5~23日に各村を巡回。第2段階は10月29日~12月15日に竹塘郷公所で受け取り |
| 宜蘭県頭城鎮 | 2026年8月6日までに戸籍を置き、給付時にも引き続き在籍する住民 | 1人3000台湾ドル | 2026年10月からの給付を計画。具体的な日時・方法は頭城鎮公所が発表 |
| 雲林県林内郷 | 2026年3月31日までに戸籍を置くなど所定の条件を満たす人 | 1人3600台湾ドル | 現金給付は終了。9月14日~12月31日は書面申請による振り込みまたは小切手で受け取り |
| 台東県延平郷 | 延平郷に戸籍を置く住民。基準日などは郷公所の規定による | 1人5000台湾ドル | 2027年度予算の成立を前提に、旧正月前までの給付を計画 |
中央と地方の現金給付、よくある質問
Q1:郷・鎮の独自給付を受け取っても、中央政府の1万台湾ドルは受け取れるのか。
地方の独自給付と中央政府が計画する1万台湾ドル給付は別制度であり、それぞれの受給条件を満たせば併給が可能だ。
Q2:今すぐ現金給付のある郷・鎮に戸籍を移せば、地方の給付に間に合うか。
各郷鎮は給付対象を決めるための戸籍基準日を設けている。例えば竹塘郷では2026年6月30日まで、頭城鎮では8月6日までに戸籍を置いていることなどが条件となる。
基準日より後に戸籍を移した場合、その郷・鎮の給付対象にはならない。
Q3:本人が現地に行けない場合、家族や知人に代理で受け取ってもらえるか。
多くの郷・鎮では代理受領が可能だが、代理人になれる人や必要書類は自治体ごとに異なる。
本人と代理人の身分証、印鑑、委任状などを求められる場合があり、一部では親族関係を証明する書類なども必要になる。
受け取り前に各郷鎮公所の最新の規定を確認する必要がある。
Q4:なぜ郷・鎮によって独自給付の金額にこれほど差があるのか。
主に各地方政府の財政状況や歳計剰余金、自主財源の違いによる。
地方の現金給付は、各郷鎮公所がそれぞれの財政状況や予算に応じて独自に決定しているため、今回紹介した地域でも3000~6000台湾ドルと金額に差がある。中央政府が一律に金額を定めているものではない。