TSMC・AIで電力需要急増、地元は発電所増設に反発 台湾電力のガス火力3計画が難航、誰がコストを負担するのか

2026-10-21 07:43
TSMCが半導体受託生産で世界をリードし続けるために、十分な電力をどう確保するかは、台湾政府にとって無視できない課題となっている。(資料写真、王秀禾撮影)
TSMCが半導体受託生産で世界をリードし続けるために、十分な電力をどう確保するかは、台湾政府にとって無視できない課題となっている。(資料写真、王秀禾撮影)

台湾では電力需要が増加を続けている。AIや半導体産業の急速な発展を背景に、「電力は計算力であり、国力でもある」との認識が強まるなか、台湾最大の電力供給事業者である台湾電力(台電)にとって、電源開発は大きな課題となっている。

こうしたなか、裁判所は8日、台中発電所のガス火力第2期計画をめぐり、環境影響評価の審査手続きや判断基準に瑕疵があったとして、環境影響評価の審査結果を取り消す判決を下した。これにより、当初予定されていた発電所拡張計画に不透明感が生じている。

台中発電所のガス火力第2期計画をめぐる環境影響評価の審査結果が裁判所に取り消されたほか、前月には興達発電所第2期計画の環境アセスメントも審査が継続となった。さらに、協和発電所の更新・建て替え計画では環境アセスメントに約7年を要した。

近年、台湾では発電所建設に必要な期間が当初の想定を上回るケースが相次いでいる。こうした状況下で、いかに安定した電力供給を確保するかが、台電にとって避けて通れない課題となっている。

台中ガス火力第2期、環境アセス審査結果を裁判所が取り消し 上訴か再審査か

台湾中部の電力供給と石炭火力削減目標を左右する台電の「台中発電所第2期新規ガス火力発電設備計画」をめぐり、先週の裁判所判決によって計画に不確実性が生じた。

台北高等行政法院(高等行政裁判所に相当)は、環境部(環境省に相当)が同計画について行った環境影響評価で、判断や審査基準に瑕疵があったとして、審査結果を取り消した。

一部の人々が台中火力発電所の石炭火力設備について「退役・非解体」を主張していることに対し、台中市政府環境保護局は「同意できず、支持もしない」と強調した。石炭とガスの「ダブルフル稼働」を引き起こす可能性が極めて高いとしている。(写真/台中市政府提供)
「台中発電所第2期新規ガス火力発電設備計画」をめぐる環境影響評価の審査結果は、裁判所の判決で取り消された。(資料写真、台中市政府提供)

裁判所が環境影響評価の審査結果を取り消した背景には、地域住民や環境保護団体による訴えがある。

住民らは、2024年に第1段階の環境影響評価を通過し、第2段階の環境影響評価を実施しないとした審査過程が拙速だったと主張していた。

判決理由では、同計画が新たなガス火力発電設備の建設を中心とする一方、既存の石炭火力設備6基を予備電源として残す計画であることが指摘された。

裁判所は、環境部が審査の過程で、石炭火力とガス火力が併存して稼働する場合の大気環境や地域環境への総合的な影響を十分に評価していなかったと判断した。

さらに、工事期間中の汚染に関する評価基準に誤りがあったほか、天然ガスの輸送・貯蔵過程で生じる可能性があるメタン漏出など、温室効果ガスに関するリスクについて具体的な評価や対応策が十分に示されていなかったとした。

一方、裁判所は、原告側が求めていた「第2段階の環境影響評価を継続して実施するよう命じること」については認めなかった。

判決を受け、環境部は、審査手続きは法令に基づいて適正に行われたとの立場を示した。当時の第1段階の環境影響評価では十分かつ実質的な議論が行われており、専門的判断にも問題はなかったとしている。

今後、判決全文を受け取り、裁判所の見解を確認したうえで、法に基づき上訴する方針だ。 (関連記事: 王美花・台湾前経済相、TSMC・ソニー協業に「大きな意義」 日台半導体は「奪い合いでなく補完」 | 関連記事をもっと読む )

台電の黄美蓮報道官は取材に対し、台電は司法判断を尊重するとした。

最新ニュース
ドル覇権を揺るがすのは人民元ではなく「米国自身」 UCバークレー教授が指摘する3つのリスク
【レアアース争奪戦】日本は16年で中国依存9割から6割へ それでも「脱中国」が難しい理由
第39回東京国際映画祭が参加型SNS企画を展開へ 「39キャンペーン」やアジア初のLetterboxd公式交流イベントも
フランスで大規模暴動、パリなどで夜間外出規制 欧州各地に広がる抗議の波
日米5.7万人、過去最大の共同統合演習「キーン・ソード27」 台湾有事も念頭、与那国に米対艦ミサイル初展開
【寄稿】中国空母「遼寧」が西太平洋へ 日中台の情報戦、「認知戦」で先手を取ったのは誰か
台湾出身女優シュアン、『VIVANT』第2シーズンに出演 堺雅人との共演に「とても光栄でした」
日本のサイバー被害607件、9カ月で前年通年超え トレンドマイクロが100億円相当支援
東京ステーションホテルで中東アフタヌーンティー 英国紅茶「NEWBY」とコラボ、各日30人限定
サンリオ「Hotel Floria Tokyo」でハロウィンイベント開催中 クロミの特別演出や限定グッズ、31日まで
異常気象が日本の仕事現場を直撃、8割超がリスク増を実感 働き方や人材確保にも影響
『鬼滅の刃』『進撃の巨人』『名探偵コナン』の名場面と生オーケストラが共演 倉木麻衣ら出演「TOKYO ANIME NEXT」
FPCJ創立50周年、外国メディアの日本取材を写真で振り返る 東京で記念展、30日まで
TIFFCOM 2026、『男はつらいよ』『BEYBLADE』など日本IP8作品を海外向けに紹介 映像化・リメイクを後押し
【レアアース争奪戦】日本でも16年かけて道半ば トランプ氏は「1年後には有り余る」、米国の脱中国は可能か
国家資格の「中国」表記を「台湾」に変更可能に 日本政府が制度見直し、医師免許など
大型で非常に強い台風30号(チャンパー)、23・24日に台湾上陸の可能性も 北部・東部で強風や大雨に警戒
観光庁・木村長官、訪日客6000万人目標「十分に達成可能」 地方誘客と混雑対策を強調
蔡英文氏と頼清徳氏、エネルギー展で際立つ「温度差」 台湾再エネ産業に広がる停滞感
【2026台湾統一地方選】ハーバード大モデルを応用し6直轄市長選を3万回試算 「国民党4・民進党2」維持か、最大の変数は新北
仲里依紗、渋谷・文化村通りの路上ランウェイに登場 「渋谷ファッションウィーク2026秋」開催
【舞台裏】沈伯洋氏の「洋流」だけではない 相次ぐ捜査に国民党組織が萎縮、蒋万安氏の再選戦にも影
台湾陸軍「陸勝2号」演習、攻撃側が3日で高雄から苗栗へ北上 防御側は後龍渓以北へ後退
JR東日本、竹芝・高輪・大井町を光と音でつなぐ「LIGHTBEATS」初開催 11月19日から、入場無料
台北市長選、蒋万安氏が盧秀燕・台中市長を選対トップに 沈伯洋氏の「洋流」に対抗へ
【舞台裏】台北市長選、蒋万安氏と沈伯洋氏が狙う「民衆党票」 柯文哲氏は蒋氏との共演を保留
【現地レポート】三菱地所、大手町の新たな街づくりを公開 水上リビングやAIロボット、健康施策も
【写真特集】フランス大規模デモ、一部が暴徒化 築143年のリモージュ市庁舎が炎上、2400人超逮捕
「TOKYO ANIME NEXT」上映会全ラインナップ解禁!『君の名は。』『鬼滅の刃』など全14作品を上映、無料企画も充実
令和8年都道府県地価調査受け三菱地所社長がコメント発表 三大都市圏の上昇拡大と地方の継続を指摘
虎ノ門ヒルズで美食巡りイベント 過去最多92店舗が集結、初のフライドポテトGPも開催
ANA「ちいかわジェット」国内線に就航 機体から機内までちいかわ仕様、23日から限定グッズも
トランプ氏、対ロ制裁の主要措置を適用除外 与野党猛反発も議会休会で対抗困難
アニメ東京ステーションで人気声優陣による公開収録イベントが11月2日に開催決定 冨永みーな、浪川大輔らが登壇
台湾・李洋スポーツ相、名古屋アジアパラ開会式を欠席 大会IDが「スポーツ相」から「ゲスト」に変更
東京レガシーハーフマラソン2026で男女ともに大会新記録 ムティソが初優勝、ゲティチ圧巻の独走で制す
Airbnb Japan、新キャンペーン「あつまる旅に、起きること」を発表 竹内涼真が東京Vユース時代の旧友との撮影秘話を披露
「進めーっ!」台湾大に『進撃の巨人』ファン集結 エルヴィン団長の誕生日、自転車で「突撃」再現
オリックスが台湾の有望株2選手と育成契約 チーム内の台湾出身選手は3人に
【ひと目でわかる】フランスで抗議なぜ拡大 「教員不足」から80万人規模に、一部で暴動・放火も
東急不動産など代官山で「ふるさとグルメマルシェ」開催へ 全国6地域の特産品や一流シェフの限定料理集結
台風30号(チャンパー)が台湾接近へ 5県市で強風域入り確率50%超、23~25日に最接近か
STU48、全国ツアー26公演を広島で完走 結成10周年サイト公開、12月27日に追加公演も
東京都、若手ファッションデザイナー育成「アカデミー」開講 TOMO KOIZUMIらが指導
ライブ配信に「音のハンコ」 CREOKとシヤチハタ、AI時代のなりすまし防止へ