NTTの木下真吾執行役員研究企画部門長は日本記者クラブで会見し、急激に普及するAIに伴う電力消費の爆発的な増大に対応するため、電気を光に置き換える光電融合技術を軸とした次世代情報通信基盤「IOWN」構想や、自社開発の軽量な生成AI「tsuzumi」、光量子コンピューターの研究開発戦略を明らかにした。
米中が巨額投資を進める中、日本が強みを持つ光技術を結集し、低消費電力かつ高性能な計算基盤の実装を急ぐ。
光電融合技術でAIの電力消費削減を目指す
AI開発は兆単位のパラメータを持つ超大規模モデルが主流となり、開発や推論にかかる電力やコストが世界的な課題となっている。
木下氏は、従来の電気配線では伝送距離や通信速度が上がると消費電力が急増するのに対し、光配線は距離や速度が伸びても消費電力がほとんど増加しない利点を説明した。この特性を生かし、データセンターや計算機内部の電気配線を光に置き換えることで、劇的な省電力化と低遅延化を実現する。
NTTが進めるIOWN構想では、光化の範囲を4段階で拡張している。データセンター間を結ぶ1.0から、サーバー間を光化する2.0、ボード上のチップ間を結ぶ3.0、半導体チップ内のダイ間を光で接続する4.0へと順次進める。
現在、AIデータセンターの通信ボトルネック解消で最も注目される2.0では、スイッチ用ASICの至近に超小型の光エンジンを配置するスイッチ装置を開発中であり、2026年度末の商用化開始を予定している。
生成AI「tsuzumi」の効率化と光量子コンピューター開発を推進
計算環境の光化に加え、AIモデル自体の効率化も推進する。NTTが独自開発した生成AI「tsuzumi」は300億パラメータの軽量設計で、安価な単一GPU上で動作する。
オンプレミス環境に設置可能なため、高いセキュリティと省電力性を両立できる。質の高い日本語学習データを重視することで、海外製の大規模モデルに劣らない高い日本語処理能力や画像理解性能を確保している。
さらに将来の抜本的な解決策として、光量子コンピューターの開発を加速させる。超伝導方式などが極低温や真空環境を必要とするのに対し、光方式は常温・常圧で動作し、既存の光通信技術や部品を広く流用できる強みがある。東京大学発スタートアップのOptQCと連携し、2027年に1万量子ビット、2030年に100万量子ビット、将来的には1億量子ビットの実現を目指す。
木下氏は質疑応答で、光通信や半導体の材料、前工程・後工程における日本の高いポテンシャルを強調した。光電融合デバイスは立ち上がったばかりの分野であり、日本企業が勝ち筋を見いだせる領域であるとし、共同研究や投資、状況に応じたM&Aも視野に入れながら社会実装を推進していく姿勢を示した。
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(関連記事: AIデータセンターの次世代通信でCPOが台頭 TSMCや台湾企業が3.2T時代に布石 | 関連記事をもっと読む )編集:小田菜々香













































