中国国防省の張暁剛報道官は10月29日、北京で開かれた定例記者会見で、台風を避けるため台湾海峡を航行した日本の海上保安庁の巡視船に対し、中国海警局の船艇が全行程にわたって追尾・監視したことを認めた。その上で、日本側が台風避難を口実に「政治的挑発」を行ったと非難した。
台湾海巡署によると、今回の事案には日本の巡視船8隻と中国海警局の船艇5隻が関わっている。台湾の海洋委員会海巡署(海巡署)はこれに先立ち、中国側が台風に乗じ、台湾海峡に管轄権を有しているかのような印象を作り出そうとしていると批判していた。
日本の巡視船、AISに「AVOID TYPHOON」 中国海警5隻が追尾
台湾海巡署の発表によると、台風30号(チャンパー)の影響を受け、日本の海上保安庁の巡視船8隻は10月22日午前6時から、台湾海峡の中間線に沿って北から南へ航行し、澎湖諸島・七美の南西にある台湾の接続水域外の海域へ向かい、洋上で台風を避けるため退避した。
その間、中国海警局の船艇5隻が追尾し、監視を続けた。海巡署は、統合的な情報収集、監視、偵察などを通じ、関連船舶の動向を全行程にわたり把握していたとしている。
台湾の公共テレビ(公視)が10月23日、船舶追跡サイトのデータを基に報じたところによると、巡視船には「やしま」「りゅうきゅう」「れいめい」「まつしま」などが含まれていた。
日本側の船艇は、船舶の名称や位置などの情報を送信する船舶自動識別装置(AIS)上に「AVOID TYPHOON」と表示し、今回の航行が台風を避けるためのものであることを明示していた。
中国国防省、追尾監視を認め「台風避難を口実に政治的挑発」と非難
10月29日の中国国防省の記者会見では、中国評論通信社(中評社)の記者が、日本の巡視船が台風避難中に中国海警局の船艇から追尾されたことや、台湾海巡署が中国側による台湾海峡の「内水化」を批判したことについて質問した。
中国国防省が公表した記録によると、張氏は、中国海警局が日本の巡視船に対し「全行程にわたって追尾・監視・警戒した」と述べ、「法と規則に基づいて対処した」と主張した。
その上で張氏は、台湾に対する中国政府の従来の主権主張を繰り返し、中国は台湾海峡において「主権、主権的権利および管轄権」を有していると述べた。
さらに、日本側が台風避難を口実に「政治的挑発」を行い、中国の主権を侵害していると非難。日本側に対し、台湾問題をめぐる挑発や地域の平和と安定を損なう行為をやめるよう求めた。
ただ、この質疑応答で張氏は、日本側に台風避難以外の政治的、または軍事的な目的があったとする具体的な根拠を示さず、「法と規則に基づく対処」にどのような行動が含まれていたのかについても説明しなかった。
台湾海巡署、中国が「台海を内水のように扱う印象」と批判
張氏による29日の発言に先立ち、台湾海巡署は23日、日本の巡視船が台湾側の法執行権を尊重する手続きを踏んだ上で台風を避けるために航行したと説明し、台湾側は人道的観点と海上での相互扶助の精神に基づき支援したと表明していた。
海巡署は台湾海峡を「国際水域」と位置づけ、国連海洋法条約(UNCLOS)などの国際法を根拠に、領海外では各国船舶に航行の自由が認められているとの立場を示した。その上で、台風を避けるための航行は、人道上の原則と国際法に合致すると主張した。
海巡署はまた、中国海警局が自然災害の際に外国の公船を追尾・監視することで、中国が台湾海峡に管轄権を有し、あたかも自国の内水であるかのような印象を作り出そうとしていると批判した。
同じ日本巡視船の台風避難をめぐり、台湾側は海上での相互扶助として支援する姿勢を示した一方、中国側は追尾・監視を行い、公の場で台湾海峡に対する管轄権を主張した。今回の事案をめぐる争点は、船舶の台風避難から、台湾海峡における航行の権利をめぐる問題へと広がっている。
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編集:加藤 (関連記事: 台風30号で台湾海峡に退避の海保巡視船8隻、中国海警船が追尾 台湾海巡署「『内水化』の虚像つくるな」 | 関連記事をもっと読む )













































