パナソニックグループ傘下のパナソニック インダストリーは10月30日、AIサーバー向けの関連材料や電子部品の生産能力拡大に向け、約920億円を投じると発表した。投資対象地域は中国、タイ、インドネシア、日本にまたがる。内訳は、高機能多層基板材料の増産に670億円、GPU電源用コンデンサに170億円、次世代半導体パッケージ材料の開発に80億円となっている。同社はまた、台湾が高機能多層基板材料の世界5カ所の生産拠点の一つであることも明らかにした。
蘇州・タイに670億円追加投資 AI普及で低伝送損失材料の需要拡大
今回の投資で最大の比重を占めるのは、同社の高機能多層基板材料「MEGTRON(メグトロン)」である。同材料はAIサーバーやネットワークスイッチ、高速通信機器などに広く採用されている。AIの演算需要の高まりに伴い、サーバー内部ではプロセッサーと各種部品の間で大量のデータを高速に伝送する必要があり、低伝送損失の多層基板材料への需要が拡大している。
パナソニック インダストリーは中国・蘇州工場に300億円を追加投資し、第2期棟を建設する。稼働開始は2028年8月を予定している。また、タイ・アユタヤ工場には370億円を投じて第2期新工場を建設し、2029年4月の稼働開始を目指す。両工場はそれぞれ中国市場と東南アジア市場への供給を担う。
同社は2025年9月、MEGTRONのグローバル生産能力を5年間で約2倍に引き上げる計画を打ち出し、まずタイ第1期新工場の建設に170億円を投じる方針を示していた。今回の追加投資により、今後の増産規模とスケジュールがさらに明確になった。
台湾・新竹県湖口もグローバル5生産拠点の一つ
パナソニックのMEGTRONのグローバル生産体制は、日本の郡山、中国の蘇州と広州、タイのアユタヤ、台湾の各拠点で構成されている。
このうち、新竹県湖口郷に位置する台湾松下多層材料股份有限公司は1987年に設立され、主に多層プリント配線板(PCB)関連材料を生産している。顧客は台湾の主要PCBメーカーから海外企業まで多岐にわたる。
台湾のPCB産業は世界のAIサーバー供給網に深く関与しており、パナソニックは、AIサーバー向けを中心とした高速伝送対応材料の需要拡大を背景に、生産体制を強化している。今回のMEGTRONの追加投資は中国・蘇州とタイ・アユタヤが対象となる一方、台湾は引き続きグローバル5生産拠点の一つに位置付けられている。
GPU電源用コンデンサも増産 日本では次世代半導体材料の開発強化
回路基板材料に加え、パナソニック インダストリーは170億円を投じ、導電性高分子アルミ電解コンデンサ「SP-Cap」の生産能力も拡大する。同製品はGPUの電源回路に用いられ、高い演算負荷がかかるAIサーバーにおいて安定した電力供給を支える役割を果たす。
関連投資の対象は、日本の京都・宇治工場とインドネシアのバタム島に及ぶ。インドネシアでは、延床面積約5万平方メートルの5階建て新工場を建設し、2029年4月の稼働開始を予定している。
さらに、日本の三重県・四日市南工場に80億円を投じ、次世代半導体材料の開発棟を新設する。ここではパッケージ基板材料や封止材の開発に注力する。
AIチップの大型化や、複数のダイ(半導体チップ)を一つのパッケージに統合するチップレット(Chiplet)技術の発展に伴い、半導体パッケージ材料に求められる技術水準は継続的に高度化している。
今回のパナソニックの投資は、AIサーバーに必要な高速信号伝送、GPU電源、半導体パッケージの各領域にまたがるものとなる。このうち、蘇州、タイ、インドネシアでの新規生産能力は、2028年から2029年にかけて順次稼働する見通しだ。
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編集:柄澤南 (関連記事: メモリの次は「ABF基板」か エヌビディア供給網に「基板バブル」の兆し イビデンを台湾・中国勢が猛追、日台中の「三つ巴」が激化へ | 関連記事をもっと読む )













































