台北市長選テレビ討論会、蒋氏の弁論に国民党内から絶賛の声 背後に趙少康氏らの助言
国民党陣営内では、蒋万安氏(写真)の討論会でのパフォーマンスは沈伯洋氏を上回ったと高い評価を受けている。(柯承恵撮影)
台北市長選挙のテレビ討論会が31日に開催された。野党・国民党の台北市長候補で現職の蒋万安氏のパフォーマンスに対し、国民党陣営の幹部や議員からは、与党・民進党候補の沈伯洋氏を大きく上回ったと高く評価する声が上がっており、無党派層や国民党寄りの有権者の支持を引き戻すと期待されている。
関係者によると、今回の討論会に向けた対策は、台北市研究発展考核委員会(研考会)の殷瑋主任委員が主導した。殷氏は自身が「仮想敵」として沈氏の想定質問をシミュレーションし、「LINEの友だちに追加しての第2回討論会」といった展開まで予測範囲に収めていたとされる。なお蒋氏陣営の準備期間はわずか1週間程度だったという。さらにラジオ局、中国広播(中広)の元董事長(会長)、趙少康氏とも緊密に連携し、多くの助言を受けたとされる。蒋氏が討論会で言及した建国高架道路や新生高架道路の「縫合(再整備・統合)」などの政策論点は、その多くが趙氏の提案によるものだという。
国民党の台北市における選挙支援チーム幹部は、「沈氏は弁が立ち、頭の回転が速いという一般的なイメージがあるが、きょうの討論会を通じて有権者の印象が覆る可能性がある」との見方を示す。蒋氏が、沈氏の主要な攻撃材料である児童虐待問題などに真っ向から対応した一方で、沈氏は蒋氏が提起した都市再開発(都更)や市民大道(高架道路)下スペースの活性化といった課題に対し、誤答や言い間違いを連発し、論点をすり替える場面も見られたと指摘。同幹部はこれを野球に例え、「蒋氏は三振を奪った上に本塁打を放ったようなものだ」と語り、討論会を視聴した支持者の士気は大きく向上し、今後の選挙戦における追い風になると期待を示した。
同幹部によれば、これまで理論構築に長け、討論においても高い戦闘能力を示してきた沈氏に対し、蒋陣営は「逃げ隠れせず、真っ向勝負を挑む」という戦略を立てたが、沈氏は予想以上に防戦一方となったと分析。例えば、市民大道の話題に対し、沈氏が「歩道の断絶」と的外れな回答をした点や、学校給食の安全基準である「三章一Q(3つの認証マークと1つのQRコード)」を「三規一章」と言い間違えたこと、都市再開発の遅延理由についても「再開発には寄り添いが必要」「道路を渡る際に心理的な壁がある」などと間違った回答をしたとし、すべて蒋氏に対する格好の攻撃の隙を与える結果となったと指摘した。
(関連記事:
台北市長選テレビ討論、沈伯洋氏「伝えたいのは自身がどう行動するか」 蒋氏の姿勢に苦言も
|
関連記事をもっと読む
)
蒋氏、「原稿読み」のレッテルを払拭か
蒋陣営のスタッフは、これまで蒋氏が対立候補から「原稿を読んでいるだけ」というレッテルを貼られてきたことについて、「蒋氏が反論しても、メディアに報じられないことが多かった」と振り返る。しかし、今回は直接対決であり、与党寄りのメディアであっても客観的かつ対等に報じざるを得ないため、討論全体を通じて蒋氏の市政への精通度を疑った者はいないはずだと強調した。蒋氏が自らの実績を基に、「都市再開発」「イメージチェンジ」「高架道路の縫合」など複数の議題において、野球でいう「スイートスポット」にボールを当ててホームランを打つような反撃を見せたことで、国民党所属の政治家や支持者の士気は確実に高まっており、討論会後の選挙戦の勢いはさらに加速すると見込んでいる。
国民党の北部選出立法委員(国会議員)は、多くの市民からの反響として、「沈氏の人物像は学者だが、討論会の前半を見る限り、まるで蒋氏が沈氏に市政を『指南』しているかのようだった」と指摘する。蒋氏は自身の実績から市政ビジョンの実現方法に至るまで、極めて豊富な内容を語り、有権者の関心が最も高い「非難の応酬」においても、蒋氏が沈氏の「市政に対する無理解」を再三にわたり痛撃し、言い間違いを追及したことが得点につながったと分析した。同議員によれば、沈氏は討論会の後半、明らかに弁論のペースを乱し、壇上で「LINEの友だちに(蒋氏)追加して」次回の討論会を約束しようとする場面や、その際の表情、立ち振る舞いなどから、有権者もその動揺を感じ取ったはずだという。同議員の事務所には支持者から「蒋氏は自信と専門性を示した」と称賛する電話が殺到したという。
蒋氏の討論会に向けた準備は、研考会を統括する殷氏が全面的に担当したとされる。蒋氏がこの日、沈氏の「台北市政への無理解」を主眼に置いた点や、沈氏が攻撃してくる可能性のある市政の課題については、すべて殷氏と市政府スタッフが情報を取りまとめ、蒋氏自身も退庁後に幾度となく殷氏と模擬討論を重ねたという。台湾中南部の雲林県出身で台湾語が堪能な殷氏のアイデアにより、蒋氏は討論会で台湾語のことわざ「歸暝全頭路、天光無半歩(夜には計画が山ほどあるが、朝になれば何も実行できない=口先だけで行動が伴わないこと)」を引用し、効果を上げた。また、樹木の無断伐採問題についても、蒋陣営は特別な対策を講じていた。会場の外では樹木保護団体が抗議活動を行う予定であったため、この問題が攻防の焦点になることは確実だったからだ。
市政府のスタッフが様々な市政データを用意し、蒋氏に安心感を与えただけでなく、選挙対策本部側でも、国民党の立法委員や台北市議会議員らが企画した地域イベントを通じ、蒋氏が支持者の熱意を肌で感じられる環境を整えていた。こうした背景が蒋氏の自信につながり、討論会でのよどみない受け答えを実現させたことが、今回の討論会を成功に導いた重要な鍵となったとされる。
更多新聞請搜尋🔍風傳媒日文版
最新ニュース
森万里子の24年ぶり国内大規模個展が森美術館で開幕 30年の軌跡と新作など40点を紹介森美術館は2026年10月31日から2027年3月28日まで、現代美術家・森万里子の個展「森万里子:燦燦(さんさん)」を開催する。同館が米ニューヨークのソロモン・R・グッゲンハイム財団の協力を得て実施するもので、日本国内における森の大規模個展としては、2002年に東京都現代美術館で開催された「森万里子 ピュアランド」以来、24年ぶりとなる。本展では30年以上......
台北市長選テレビ討論、沈伯洋氏「伝えたいのは自身がどう行動するか」 蒋氏の姿勢に苦言も2026年台北市長選挙のテレビ討論会が31日午後に開催された。抽選の結果、民進党の台北市長候補、沈伯洋氏が冒頭の政見発表を務め、同氏が最後に結論を述べて討論会は終了した。討論会後の囲み取材に応じた沈氏は、自身のパフォーマンスについての評価は市民に委ねるとしつつ、「対立候補が私にネガティブなレッテルを貼り続けようとしたのは残念だ。また、多くの質問に答えず、論点......
沈伯洋氏の「洋流」が蔣万安市長を猛追 民衆党の若年支持層も流出、苦悩する柯文哲氏台湾の与党・民進党の台北市長候補、沈伯洋氏は、自身を支持する潮流「洋流」を追い風に、最大野党・国民党所属で現職の台北市長、蔣万安氏を追い上げている。一方、第3党である台湾民衆党(以下、民衆党)の支持者は「小草」と呼ばれる。過去に無所属で台北市長選に出馬し、34万票を獲得した民衆党の黄珊珊元立法委員(国会議員に相当)は、「真の第3極とは特定の政党を指すのではな......
孔子学院を「国家安保上の脅威」に指定 米戦争省「30大学で80組織が別名で活動」ピート・ヘグセス米戦争長官は10月23日、中国政府の資金援助を受け、米国の大学キャンパスなどで活動してきた文化・教育機関「孔子学院(Confucius Institutes)」について、米戦争省(旧国防総省)が米国の国家安全保障上の脅威に指定したことを明らかにした。ロイター通信によると、米政府は長年にわたり、孔子学院が中国政府のプロパガンダの手段として利用さ......
沈伯洋氏へのインタビューで「戦犯」視された趙少康氏 「論評に立場はあっても、報道は公平に」2026年の台北市長選は当初、再選を目指す国民党の蔣万安市長が優位に選挙戦を進めるとみられていたが、予想以上の接戦となっている。こうした中、国民党内では、中国広播公司(中広、BCC)の元会長である趙少康氏が民進党の台北市長候補・沈伯洋氏にインタビューしたことについて、沈氏を支持する「洋流」の広がりを後押ししたとの批判が上がり、趙氏を「戦犯」とみなす声まで出て......
米陸軍新作戦指針に「台湾」シナリオ 舞台はフィリピン、対中国戦で「96時間ATOは機能せず」米陸軍が10月に公表した新たな作戦指針文書『How the Army Fights』で、「台湾」という言葉が直接登場するのは全文で1カ所だけだ。付録Eに記された想定シナリオ「台湾―陸軍の動的打撃への貢献(Taiwan – Dynamic Army Strike Contribution)」である。ただ、このシナリオの本文には台湾本島や台湾海峡での作戦について......
【独占取材】生産農家わずか8軒の「飯沼栗」を守る 老舗和菓子店「菓匠風月」、台湾から世界へ茨城県日立市で創業78年を迎える老舗和菓子店「菓匠風月」を運営する株式会社常陸風月堂の3代目代表取締役、藤田浩一氏が、台湾のニュースメディア「風傳媒(ストームメディア)」の独占書面取材に応じた。藤田氏は、現在わずか8軒の農家が栽培する希少なブランド栗「飯沼栗」を守るための取り組みや、独自の冷凍技術による伝統的な和菓子づくりの革新、台湾市場での成功を足がかりと......
【現地取材】防衛技術に「冒険心」を 西正典氏、ウクライナ戦争の塹壕戦とドローンに言及次世代の防衛・安全保障技術を議論する「Defence Innovation Forum(ディフェンス・イノベーション・フォーラム)」が開催され、無人機や宇宙、人工知能(AI)などの先端領域をテーマに、産官学の専門家が集まり、最新の技術動向や課題について議論を交わした。会場では、各種セッションに加え、関連技術を手がける企業12社による展示ブースも設けられた。デ......
台湾・新北メトロ三鶯線「話題のグルメ」TOP10 三峡の金牛角、豆花を抑え1位は?約10年の歳月をかけて整備された台湾・新北メトロ(新北捷運)三鶯線は、2026年6月30日に開業した。8月31日までの2カ月間は無料試乗期間が設けられ、多くの利用者が新路線を体験。9月1日からは通常の有料運行に移行している。新北市政府捷運工程局によると、開業初月の総利用者数は98万人を突破し、平日は1日平均約2万6000人、休日は約5万1000人に達した。三......
中国、日本巡視船8隻の追尾監視を認める 「政治的挑発」と非難、台湾側は「人道・国際法に合致」中国国防省の張暁剛報道官は10月29日、北京で開かれた定例記者会見で、台風を避けるため台湾海峡を航行した日本の海上保安庁の巡視船に対し、中国海警局の船艇が全行程にわたって追尾・監視したことを認めた。その上で、日本側が台風避難を口実に「政治的挑発」を行ったと非難した。台湾海巡署によると、今回の事案には日本の巡視船8隻と中国海警局の船艇5隻が関わっている。台湾の......
高市総理がマナーマ対話でビデオ演説 湾岸諸国の強靱化へ包括的協力計画を策定と表明高市早苗首相は11月1日、バーレーンの首都マナーマで開催中の国際会議「マナーマ対話」においてビデオメッセージを通じた特別講演を行い、中東情勢の早期沈静化と安定化に向けた日本の外交方針を表明した。あわせて、現地には内閣官房副長官補兼国家安全保障局次長の神戸康弘氏が出席し、総理のメッセージを踏まえた発言を行った。高市首相の発言は「新たな経済アジェンダ:復興と開発......
「シタディーンノース新宿東京」が開業 もーちぃ氏が語る新大久保の多国籍グルメと街の魅力2026年10月28日、東京・新宿区百人町のアパートメントホテル「シタディーンノース新宿東京」(東京都新宿区百人町2丁目27番7号)の開業を記念したディナーイベントが開催され、百人町生まれ・新大久保育ちの人気インフルエンサー、もーちぃ氏による特別プレゼンテーションが行われた。インフルエンサーのもーちぃ氏が、百人町の多文化が育んだ食文化の魅力を熱く語り、10月......
ハローキティにも日中関係の余波 サンリオ、『VIVANT』コラボ終了で謝罪日中関係の緊張が続く中、世界的な人気キャラクター「ハローキティ」も両国間の対立の余波を受ける形となった。サンリオは29日、TBS系ドラマ『VIVANT』とのコラボレーションを終了すると発表し、謝罪した。英紙『フィナンシャル・タイムズ(FT)』によると、数十億ドル規模のブランド価値を持つキャラクタービジネス大手のサンリオは、『VIVANT』を巡って中国国内で......
台湾陸委会「台湾独立の問題はない」 焦点は中国による「強制統一」、現状維持を強調台湾で対中政策を統括する大陸委員会(陸委会)の沈有忠副主任委員はこのほど、「台湾には従来より『台湾独立』という選択肢は存在しない」との見解を示した。これを踏まえ、中台対話が再開されるかに注目が集まる中、同委員会のもう一人の副主任委員、梁文傑氏は29日、中華民国にとって現在、台湾独立の問題は存在せず、中国共産党に統一を強制されるかどうかの問題があるのみだと説明......
NTT、光電融合と光量子で次世代計算基盤構築へ AI電力急増に対応、2026年度末に商用化NTTの木下真吾執行役員研究企画部門長は日本記者クラブで会見し、急激に普及するAIに伴う電力消費の爆発的な増大に対応するため、電気を光に置き換える光電融合技術を軸とした次世代情報通信基盤「IOWN」構想や、自社開発の軽量な生成AI「tsuzumi」、光量子コンピューターの研究開発戦略を明らかにした。米中が巨額投資を進める中、日本が強みを持つ光技術を結集し、低......
【台湾・最新好感度調査】蔡英文氏が61.7%で首位 20~30代・無党派層でもトップ台湾の主要政治家のうち、若年層や無党派層から最も好感を持たれているのは誰か。世論調査の専門家、戴立安氏が発表した10月の「台湾民心調査」によると、蔡英文前総統(民進党)が全国での好感度61.7%で首位に立ち、20〜29歳、30〜39歳および無党派層の間でもトップとなった。一方、台北市民の間では蕭美琴副総統(民進党)の好感度が最も高かった。また20〜29歳の層......
米陸軍、AH-64E「アパッチ」を一時飛行停止 台湾も保有29機の飛行停止米陸軍は10月2日、数百機の攻撃ヘリコプター「AH-64E」(通称アパッチ)に対し飛行停止を命じた。同機に搭載されているギアボックスの部品設計や材質の問題が、重大な航空事故を引き起こす可能性があることが主な原因と伝えられている。台湾が保有するアパッチへの影響を巡り、台湾の顧立雄国防部長(国防相)は29日、該当機の飛行を停止していることを認め、今後はローテーシ......
東アジア最大級「台湾LGBT+プライド」31日開催 ゲイバー捜索の余波、台北市長選も焦点に東アジア最大規模のプライドパレードとされる第24回「台湾LGBT+プライド(台湾同志遊行)」が10月31日(土)、台北市で開かれる。今年は、例年とは異なる政治・社会情勢の中で開催を迎える。4週間前には台北市内のゲイバーに対する警察の捜索が国内外で批判を呼び、パレードへの参加を表明している蔣万安市長は、約1カ月後に迫った2026年統一地方選挙で再選を目指してい......